鉄道コムおかげさまで鉄道コムは25周年

鉄道コらム

すべての駅にとまる種別を複数持つ理由とは? 「普通」と「各停」の両方がある南海電車

2024年5月6日(祝) 鉄道コムスタッフ 井上拓己

終着駅までのすべての駅にとまる列車には、様々な呼び方があります。メジャーなものは「普通」と「各駅停車(各停)」で、その意味は基本的に、どちらも同じです。

ですが、これはあくまで「基本的に」の話。なかには、「普通」「各停」の両方を設定し、使い分けている会社もあります。

関西で見られる例は、南海電気鉄道のもの。南海本線が「普通」、高野線系統が「各停」と、路線系統で使い分けています。これは、本線と高野線が並走する難波~岸里玉出間のうち、今宮戎駅と萩ノ茶屋駅は高野線側にしかホームが設置されていないため。本線の列車は、両駅のホームがないので、すべての駅にとまることが物理的にできません。そこで、「普通」と「各駅停車」を分け、両駅の停車の有無を区別しているのです。「普通列車の下位に各駅停車を設定している」ともいえるでしょう。

今宮戎駅を通過する南海本線の普通列車。同駅のホームは、南海本線(左側2線)にはありません
今宮戎駅を通過する南海本線の普通列車。同駅のホームは、南海本線(左側2線)にはありません

このような事情から、南海の普通列車では、「天下茶屋までの各駅と、新今宮にとまります」などのように、停車駅の案内があります。また、「汐見橋線」とも呼ばれる岸里玉出~汐見橋間の列車は、「各駅停車」の扱いになっています。これは、この区間が高野線の一部であり、各駅にとまる種別の名称を、同線が使っているものに合わせたため。現在、車両の表示は「汐見橋‐岸里玉出」と、運転区間だけを示す形態ですが、時刻表などには「各停」の表記が残っています。

難波駅の発車案内。本線(右側)の普通の欄に、停車駅の案内が入っています
難波駅の発車案内。本線(右側)の普通の欄に、停車駅の案内が入っています

ちなみに2005年3月まで、神戸電鉄でも「普通」と「各駅停車」の2種類がありました。これは、廃止された菊水山駅の停車有無による違い。電車や駅、時刻表などの種別表示は「普通」で統一されていましたが、車内のアナウンスでは、菊水山にとまる列車で「各駅停車」の文言が聞かれました。また、駅の自動アナウンスでは、「普通列車」に対して「菊水山にはとまりません」という言葉が追加されていました。

鉄道コムおすすめ情報

画像

夏臨の185系はわずか2列車のみ

2024年夏の臨時列車では、185系の充当列車は「谷川岳もぐら」「谷川岳ループ」のみ。今後どうなるのでしょうか。

画像

デビュー20年超の東急車リニューアルへ

2024年度設備投資計画で発表。3000系以外も対象に?東急広報へ聞きました。

画像

近鉄新型の形式名は「8A系」

新型一般車両「8A系」。2024年10月に奈良線・京都線でデビュー。2025年度には名古屋線にも。

画像

「表定速度」日本最速は?

「表定速度」が最も速い列車は? 新幹線と在来線の各列車を見る2024年度版ランキング

画像

あえて「車両が無い」鉄道写真

鉄道写真は、車両が写っている写真だけではありません。列車以外の鉄道写真の撮り方を、カメラマンの助川さんが解説します。

画像

5月の鉄道イベント一覧

新緑がまぶしい季節となりました。5月のプラン立てには、鉄道コムのイベント情報をどうぞ。

画像

特急「185」投稿写真募集中!

185系による臨時特急「185」。みなさまが撮影した写真を大募集!投稿はこちらから。