鉄道コムおかげさまで鉄道コムは25周年

相鉄・JR直通線開業

鉄道ファンが注目したい「相鉄・JR直通線」4つのポイント

2019年11月28日(木) 鉄道コムスタッフ

11月30日に開業する「相鉄・JR直通線」。新たな開業区間を含むルートとしては、2010年7月の京成電鉄成田スカイアクセス線以来、首都圏では約9年ぶりとなる新路線の開業です。

新たな路線や運行ルートと新駅「羽沢横浜国大駅」の開業など、鉄道ファンとしては見逃せない要素が盛りだくさん。ファンの視点から押さえたいポイントをご紹介します。

相鉄線と渋谷・新宿を乗り換え無しで結ぶ相鉄・JR直通線
相鉄線と渋谷・新宿を乗り換え無しで結ぶ相鉄・JR直通線

この記事のポイント

・運転区間は海老名~新宿間が基本。朝には新宿以北発着があるほか、土休日には川越駅始発の海老名行きが1本設定。

・「相鉄新横浜線」の路線名は「相鉄・東急直通線」開業までお預け?

・新駅「羽沢横浜国大駅」は相鉄仕様。

・いずみ野線の「特急」や、185系7両編成の湘南ライナーは見納めに。

ダイヤと車両、路線のキホン

相鉄・JR直通線は、相鉄本線の西谷駅から、羽沢横浜国大駅や東海道貨物線、品鶴線、山手貨物線を経由し、新宿駅へと至る路線。海老名~新宿間での運転が基本ですが、朝時間帯には指扇駅発や武蔵浦和駅発、川越駅発着、大宮駅行き、赤羽駅行きといった列車が運転されるほか、早朝・深夜には西谷~羽沢横浜国大間の区間列車が設定されています。

今回の直通運転で使用されるのは、相鉄側が12000系、JR側がE233系7000番台。12000系は、平常ダイヤにおいては海老名~新宿間のみの運転に限られますが、E233系は海老名~新宿間のほか、新宿以北発着の列車にも充当されます。

直通運転に使用される相鉄12000系
直通運転に使用される相鉄12000系
直通運転に使用されるJR東日本のE233系7000番台
直通運転に使用されるJR東日本のE233系7000番台

直通線を走る列車の種別は、JR線内の羽沢横浜国大~新宿間は各駅停車のみですが、相鉄線内は「特急」と「各停」の2種類。車両によって列車種別が分かれているわけではありません。そのため、相鉄線内に限りますが、一般型車両であるE233系が特急として走るという、JR線の感覚としては不思議な光景が見られます。

ダイヤ乱れ時の運用はどうなるでしょうか。実際の輸送障害発生時でないと不明な点はありますが、12000系は埼京線新宿以北への試運転の実績があるため、同区間で運用される可能性はあります。一方で、東京臨海高速鉄道りんかい線での試運転の実績はなく、こちらへの入線の可能性はありません。同様に、りんかい線70-000形の直通線列車(新宿~海老名間)への充当も現時点ではあり得ません。

開業時のダイヤで注目したい列車は、土休日ダイヤにおいて、川越駅を7時03分、大宮駅を7時30分に出発する、海老名行き快速列車「4700F(新宿以南は123M)」。E233系による「快速 海老名」の表示が見られるのは、現ダイヤにおいてはこの列車のみです。

さて、その列車番号ですが、相鉄側とJR線側では、羽沢横浜国大駅を境に変更されます。列車番号の付番には法則があり、相鉄線内で特急運転となる列車は、JR線内は121M(下り、上りは120M)から順に、相鉄線内で各停となる列車は221M(下り、上りは220M)から順に、それぞれ足していきます。相鉄線内では、特急はJRの列車番号に3000を足してMを取った数字(例:121M→3121)、各停は6000を足してMを取った数字(例:221M→6221)が付与されます。

赤羽・大宮方面と直通する列車に関しては、列車番号は新宿駅で変更されます。新宿以北は、上2桁が始発駅を出発する時刻(例:8時30分発→08)、下2桁が車両の運行番号を表すという、埼京線の法則に則った列車番号を付与。ただし、直通線の列車の場合は4000番台の列車番号(例:平日ダイヤにおいて、運行番号37による武蔵浦和駅7時19分発の海老名行き列車は4736K)となります。

また、羽沢横浜国大駅を始発・終着駅とし、相鉄線内で完結する列車については、7000番台の列車番号が付与されます。

ちなみに、相鉄・JR直通線のうち、西谷~羽沢横浜国大間の正式な路線名は「相鉄新横浜線」です。しかし、こちらは当分の間、大きくアピールすることはないとのこと。相鉄の広報担当者によると「新横浜へ行かない路線が『新横浜線』と名乗るのは案内上紛らわしい」とのことで、2022年度下期に予定される「相鉄・東急直通線(西谷~新横浜~日吉間)」の開業までは、JR赤羽線(池袋~赤羽間)のような隠れた路線名となるようです。

「相鉄新横浜線」の路線名は、羽沢横浜国大~新横浜間の開業までは「お預け」のようです
「相鉄新横浜線」の路線名は、羽沢横浜国大~新横浜間の開業までは「お預け」のようです

直通線沿線の見どころ

直通線開業に先立つ11月7日、試運転列車に試乗し、西谷駅から新宿駅へと向かってみました。配線図とあわせてご覧ください。

相鉄・JR直通線 西谷~武蔵小杉間の配線図。保守用車用の渡り線や、京浜東北線鶴見駅の引き上げ線などは省略しています
相鉄・JR直通線 西谷~武蔵小杉間の配線図。保守用車用の渡り線や、京浜東北線鶴見駅の引き上げ線などは省略しています

島式ホーム2面4線からなる西谷駅。直通線の列車は、外側の1・4番線から発着します。西谷駅を出発すると、すぐに「西谷トンネル」に進入します。次の羽沢横浜国大駅までは4分ほどで到着。西谷駅出発直後を除いたほとんどの区間がトンネル内で、外を見ることはできません。

羽沢横浜国大駅は、相対式の2面2線。西谷寄りと新宿寄りに、それぞれ片渡り線が設置されており、ダイヤ乱れ時などの折り返し運転にも対応しています。運転扱い上は、この駅からはJR線。建設中の相鉄・東急直通線と別れ、東海道貨物線に乗り入れます。

新宿方面の上り線は、地下から出て東急線方面と分かれると、そのまま勾配を駆け上がって東海道貨物線と合流。一方、新宿方面から相鉄線方面へ向かう下り線の場合は、東海道貨物線と交差するため、総延長約172メートルの「横浜羽沢駅トンネル」を通ります。なお、資産上の相鉄とJRの分界点は、東海道貨物線との合流点付近とのことです。

羽沢横浜国大駅停車中の車内から見た新宿方。中央が新横浜・東急線方面で、左右がJR線方面です
羽沢横浜国大駅停車中の車内から見た新宿方。中央が新横浜・東急線方面で、左右がJR線方面です

東海道貨物線と合流すると、線路はまもなく「港北トンネル」へ。しばらくはトンネルの中を進みます。一部では高架線を走行するのですが、この区間は騒音軽減のためにシェルターとなっており、外の風景は見えません。港北トンネルとシェルター、そしてシェルターに続く「生見尾(うみお)トンネル」の間、計約6.5キロの区間は、暗闇の中を進むことになります。

次に地上に現れるのは、京急線の生麦駅~花月園前駅付近。横浜の臨港エリアを走る貨物線「高島線」と合流すると、まもなく鶴見駅です。鶴見駅のホームは京浜東北線・鶴見線用以外は設置されていないため、直通線の列車は同駅を通過します。

京急線の生麦駅~花月園前駅付近で地上に出る東海道貨物線
京急線の生麦駅~花月園前駅付近で地上に出る東海道貨物線

鶴見駅から先、東海道本線の貨物線は、東京貨物ターミナル駅へ向かう線路と、新鶴見信号場方面に向かう品鶴線の2つに分かれます。直通線は新鶴見信号場方面へ。東海道本線の旅客線や京浜東北線を高架で乗り越え、次いで山側を走っていた横須賀線・湘南新宿ラインの線路をくぐり、新鶴見信号場へと至ります。

新川崎駅に隣接する新鶴見信号場・新鶴見機関区。横須賀線や湘南新宿ラインの車内から見ることができるのは東側のみでしたが、直通線の新宿方面の列車は西側の線路を走行。これまでとは違う風景が広がります。試乗の際は、JR貨物のM250系「スーパーレールカーゴ」が、大宮車両所への入場回送中に時間調整のため停車している光景が見られました。開業後の列車は新鶴見信号場を通過するため、じっくりと観察はできないでしょうが、時にはこのような珍しい出会いがあるかもしれません。

試乗時には「スーパーレールカーゴ」と遭遇。開業後もこのような出会いがあるかもしれません
試乗時には「スーパーレールカーゴ」と遭遇。開業後もこのような出会いがあるかもしれません

新鶴見信号場を通過すると、武蔵野線の南側区間、通称「武蔵野南線」と別れ、横須賀線や湘南新宿ラインの線路と合流。NECの高層ビルを横に見ながら、武蔵小杉駅に到着します。

武蔵小杉より先は、湘南新宿ラインと同じルートを進みます。西大井駅を経て大崎駅に到着すると、ここで乗務員が交代。ダイヤが記載されている「スタフ」が、縦長の「列車ダイヤ」のものから、横長の「電車ダイヤ」のものへと差し替えられました。JR東日本の広報担当者によると、新宿運輸区の乗務員が直通線の乗務担当になるとのこと。ただし、今回の試乗列車では、羽沢横浜国大~大崎間が新宿運輸区、大崎~新宿間は大宮運転区の担当となっていました。

横須賀線などと同じ線路を走る直通線の列車
横須賀線などと同じ線路を走る直通線の列車
大崎駅で乗務員が交代。スタフが横長のものに差し替えられました
大崎駅で乗務員が交代。スタフが横長のものに差し替えられました

恵比寿駅や渋谷駅を通り、列車はいよいよ終点の新宿駅へ。試乗会の列車は「成田エクスプレス」などが発着する5番線に到着しましたが、開業後の列車は2番線からの発着が基本となります。今回試乗した西谷~新宿間の約36キロ、開業後は約40分で結ばれることとなります。

関連鉄道リポート

関連鉄道イベント情報

関連鉄道未来ニュース

鉄道コムお知らせ

画像

行きたいエリアに一票を

「青春18きっぷ」で行ってみたいエリアに投票してください。「旅と鉄道」共同企画

鉄道コムおすすめ情報

画像

京急ファミリーフェスタ

5月26日、久里浜工場にて開催。今年度は親子限定の事前申込制。

画像

東海道新幹線に「個室」

東海道新幹線にグリーン車以上の「個室」設置へ。1編成2室設置、2026年度中に提供開始予定。

画像

スタートレイン計画

JR北海道が「赤い星」「青い星」導入計画「スタートレイン計画」を発表。2026年春デビュー。

画像

東武の新型「80000系」

野田線用の新型車両。2025年春より5両編成25本を導入。一部中間車は60000系から転用。

画像

あえて「車両が無い」鉄道写真

鉄道写真は、車両が写っている写真だけではありません。列車以外の鉄道写真の撮り方を、カメラマンの助川さんが解説します。

画像

4月の鉄道イベント一覧

いよいよ新年度。本年度も鉄道コムをよろしくお願いします。鉄道旅行や撮影の計画は、イベント情報から。