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相鉄・JR直通線開業

鉄道ファンが注目したい「相鉄・JR直通線」4つのポイント

2019年11月28日(木) 鉄道コムスタッフ

新たに開業する羽沢横浜国大駅

直通線とあわせて開業する羽沢横浜国大駅は、相鉄26番目となる新駅です。今回開業する相鉄・JR直通線の境界駅となるほか、2022年度には相鉄・東急直通線との分岐駅にもなる予定です。

新たに開業する「羽沢横浜国大駅」
新たに開業する「羽沢横浜国大駅」

駅はJR貨物の「横浜羽沢駅」に隣接した場所に設置されます。羽沢横浜国大駅の駅舎付近には横浜羽沢駅をまたぐ跨線橋があり、タイミングが合えば貨物列車も見られます。

駅舎のデザインは、相鉄が進める「デザインブランドアッププロジェクト」に基づいたもの。駅の世界観の創出や、鉄道発祥の地「横浜」のアイデンティティを醸し出す素材として、「レンガ」「鉄」「ガラス」というキーマテリアルを設定し、時間をかけて醸成していくデザインとなっています。

地上階のコンコースは、高い天井が特徴。膜屋根を通して、やわらかな自然光が降り注ぎます。

高い天井が特徴のコンコース。屋根からの自然光が暖かく降り注ぎます
高い天井が特徴のコンコース。屋根からの自然光が暖かく降り注ぎます

地下に降りると、一転してグレーの落ち着いた印象に。ホームは相対式の2面2線。両方向の折り返しに対応しており、海老名方面の下りホーム1番線、新宿方面の上りホーム2番線とも、逆方面への出発が可能となっています。ちなみに、開業時のダイヤでは、2番線からの西谷・海老名行き列車が朝に4本設定されています。

コンコースの雰囲気とは一転して、落ち着いた雰囲気となったホーム階
コンコースの雰囲気とは一転して、落ち着いた雰囲気となったホーム階

相鉄とJR東日本の境界駅であり、両社の新駅として開業する羽沢横浜国大駅。しかし、駅の営業・管理は相鉄が担当。設備・機器類もほとんどが相鉄のものです。

自動改札機は、東芝インフラシステムズ製の「EG-5000」を4機設置。うち2機がICカード専用となっています。券売機は、オムロン製の「V8」が2台。高見沢サイバネティクス製のチャージ機「VTQ-300」シリーズも1台設置されています。

券売機は相鉄仕様。運賃表は、相鉄とJRの双方のものが設置されています
券売機は相鉄仕様。運賃表は、相鉄とJRの双方のものが設置されています

券売機では、相鉄線の乗車券、回数券、PASMOのほか、相鉄が発売する各種企画乗車券も購入可能。JR線の乗車券も、1690円区間までの範囲で購入できます。ただし、相鉄仕様の機器のため、JR線の長距離きっぷやJR線回数券、Suicaの購入は不可能となっています。

ホーム階も、発車標や駅名標、ホームドアといった旅客用設備は、相鉄仕様のものが設置されています。JRらしさが見えるのは、新宿方面への出発信号など、ごくわずかなもののみです。

発車標も相鉄仕様
発車標も相鉄仕様

先述の通り、上下線とも両方向への出発に対応している羽沢横浜国大駅。西谷寄りには両線からの出発信号が設置されているほか、新宿寄りにはJR線方面、新横浜・東急線方面の2つの出発信号が、両線に対応し設置されています。また、信号現示にあわせて点灯する「出発反応標識」も、西谷方面、JR線方面に加え、東急線方面のものが既に設置されています。

新宿方の出発信号。JR線方面(左、右下)のほか、東急線方面(中、右上)のものも既に設置されています
新宿方の出発信号。JR線方面(左、右下)のほか、東急線方面(中、右上)のものも既に設置されています
出発反応標識も、JR線方面(中)と東急線方面(右)が設置されています
出発反応標識も、JR線方面(中)と東急線方面(右)が設置されています

近年各社で設置が進められているホームドアは、羽沢横浜国大駅は開業時から設置します。相鉄では横浜駅に高見沢サイバネティクス製のものを設置していますが、羽沢横浜国大駅のものは日本信号製となっています。

羽沢横浜国大駅のホームドア
羽沢横浜国大駅のホームドア

ホームドアは、山手線などのようなトランスポンダ地上子を介して連動するタイプではなく、車両の定位置停止や車両ドアの開閉をセンサーで認識し、連動するもの。車両が定位置に停止すると自動でホームドアを開き、車掌が車両ドアを閉めるとホームドアも連携し閉扉することができます。

また、無線での連動にも対応。乗務員室が来る位置には、ホームドアの軌道側に無線アンテナがあり、車両側のドア操作に連動してホームドアを開閉できます。12000系は製造時より連動用のアンテナを搭載しており、E233系7000番台も、直通線開業用の増備車両は製造時より、既存車両は改造により、それぞれ搭載しています。この無線によるホームドア制御システムは、総武快速線の新小岩駅で既に実用化されていますが、私鉄の駅では初めての採用となります。

ホームドアの端部。上部の左右にある明るいグレーの箱が、ホームドア連動用の無線アンテナです
ホームドアの端部。上部の左右にある明るいグレーの箱が、ホームドア連動用の無線アンテナです
相鉄12000系の先頭車には、ホームドア連動用の無線アンテナを設置(右の枠内)。E233系7000番台も、乗務員室内に無線アンテナを設置しています
相鉄12000系の先頭車には、ホームドア連動用の無線アンテナを設置(右の枠内)。E233系7000番台も、乗務員室内に無線アンテナを設置しています

なお、ホームドア設置駅での停車支援用に使用される「TASC(定位置停止装置)」地上子は、相鉄独自のものを設置。相鉄では2022年度までに全駅へホームドアを設置する計画で、既に各駅でも羽沢横浜国大駅と同様のTASC地上子が設置されています。

なお、駅の管理体制としては、羽沢横浜国大駅は西谷管区となり、西谷駅長が同駅を管轄。同駅の最上級職は副駅長となります。

ダイヤ改正で変わる相鉄線や埼京線、東海道本線

相鉄・JR直通線の開業にあわせ、関連する相鉄線や埼京線などでも、ダイヤが改正されます。

相鉄線では、新種別「通勤特急」「通勤急行」が平日に設定。一方で、2014年に運転を開始した「特急」は、いずみ野線では廃止されます。

2014年に運転を開始したいずみ野線「特急」は、5年で役目を終えることに
2014年に運転を開始したいずみ野線「特急」は、5年で役目を終えることに

埼京線では、ダイヤ改正後は快速が武蔵浦和~大宮間も各駅に停車するようになります。中浦和、南与野、北与野の各駅を快速が通過するシーンは改正後は見ることができなくなるので、押さえておきたいポイントです。なお、通勤快速はこれまで通り赤羽~大宮間で快速運転となります。

東海道本線の湘南ライナーにも影響が及びます。直通線が走るための線路容量を確保するため、小田原発品川行きの湘南ライナー10号は、近接して運転している小田原発東京行きの湘南ライナー8号へ統合されます。この10号は、185系200番台の7両編成が上り湘南ライナーで唯一充当される列車ですが、今回の改正で見納めとなります。

相鉄・JR直通線開業と合わせて消滅する、185系7両編成の「湘南ライナー」
相鉄・JR直通線開業と合わせて消滅する、185系7両編成の「湘南ライナー」

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