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30年前の鉄道

C62ニセコ号、フラノエクスプレスの夏~平成2年の鉄道風景(北海道編)

2020年5月30日(土) 鉄道コムスタッフ 冨田行一

30年前(平成2年)を振り返るシリーズ。今回は、1990年夏の北海道での鉄道風景を、JRの車両を中心にご紹介します。

JR北海道のリゾート列車の1つ「フラノエクスプレス」(富良野駅で撮影)。デビューは1986年で、翌年「ブルーリボン賞」を受賞しました
JR北海道のリゾート列車の1つ「フラノエクスプレス」(富良野駅で撮影)。デビューは1986年で、翌年「ブルーリボン賞」を受賞しました

ニセコ号、リゾートエクスプレスの夏

広大な北海道は、特急列車を使っても移動に時間がかかるのは今も昔も大きくは変わりません。その時間の長さは、旅を楽しむ時間がそれだけ長くなると考えればむしろ歓迎すべきもので、北海道での鉄道旅行の醍醐味とも言えます。特に気候のよい夏場は、北海道を鉄道で旅する好機。JR北海道では、そうした需要に応えるため、観光列車、リゾート列車などを多く設定し、さまざまな車両を運用していました。

5月から10月までの土曜・休日を中心に小樽~ニセコ間では、「C62ニセコ号」が力走。1948年製のC62形3号機がスハフ44形をけん引し、小樽→ニセコ間を1時間40分、ニセコ→小樽間を約2時間で結んでいました。カフェカーも連結し、飲食サービスのほか、記念スタンプも設置されていました。

ニセコ号のけん引機「C62形3号機」。ニセコ号の運行は1988年~1995年と長くはなく、同列車の終了とともにC62も引退となりました
ニセコ号のけん引機「C62形3号機」。ニセコ号の運行は1988年~1995年と長くはなく、同列車の終了とともにC62も引退となりました
ニセコ駅に停車中のニセコ号。スハフ44形4両とカフェカー1両という客車編成でした
ニセコ駅に停車中のニセコ号。スハフ44形4両とカフェカー1両という客車編成でした
ニセコ号の指定席券、ニセコ駅の記念入場券、C62のプロフィールシート。シートの裏面は、スタンプ台紙になっていました
ニセコ号の指定席券、ニセコ駅の記念入場券、C62のプロフィールシート。シートの裏面は、スタンプ台紙になっていました

行楽シーズンを中心に活躍したのが、当時の花形とも言える「北海道リゾートエクスプレス」のラインナップ。登場順に「アルファ・コンチネンタルエクスプレス」「フラノエクスプレス」「トマム・サホロエクスプレス」「ニセコエクスプレス」「クリスタルエクスプレス トマム・サホロ」の5つの編成が1990年までにそろい、行楽・観光客の輸送に活躍しました。このうち同年夏に運行していた列車は、クリスタルエクスプレス車両を使った「マリンクリスタル」(札幌~小樽間)、「クリスタルエクスプレス」(札幌~新得間)、アルファ・コンチネンタルエクスプレス車両による「ペパーミントエクスプレス」(札幌~北見間)、そして、札幌~富良野間の「フラノエクスプレス」(車両・列車名とも)でした。

筆者は、できるだけ多くのエクスプレスに乗れるよう行程を組み、フラノ、ペパーミント、クリスタルの順で1日ずつ乗車。展望車での前面展望もさることながら、特にフラノ、クリスタルの各エクスプレス車両では、天井まで届く大きな窓が中間車にも設けられており、北海道ならではの雄大な風景を満喫することができました。乗ることを楽しむ列車での長距離移動。贅沢な旅だったと思います。

札幌駅入線後の「フラノエクスプレス」。往路は札幌8時55分発、富良野11時13分着でした
札幌駅入線後の「フラノエクスプレス」。往路は札幌8時55分発、富良野11時13分着でした
千歳空港駅(後の南千歳駅)に停車中の「クリスタルエクスプレス」。運転席は2階部にあり、先頭部での展望が全面的に楽しめるのが特徴でした
千歳空港駅(後の南千歳駅)に停車中の「クリスタルエクスプレス」。運転席は2階部にあり、先頭部での展望が全面的に楽しめるのが特徴でした
1990年当時のリゾート列車のチラシ。いずれも人気の列車でした
1990年当時のリゾート列車のチラシ。いずれも人気の列車でした

1985年から1989年にかけて順次デビューしたJR北海道のリゾート列車でしたが、1995年にはアルファコンチネンタルエクスプレスが引退。以後、フラノエクスプレス、トマム・サホロエクスプレスも順次退きました。2017年にはニセコエクスプレスが運転を終了。クリスタルエクスプレスは丸30年活躍し、2019年に役目を終えました。

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