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渋谷駅、「列車を止めず」山手線の線路切換工事 全5回の切換工事がいよいよ完了

2023年11月25日(土) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

11月18日~19日、山手線の渋谷駅で、線路の切換工事が実施されました。

11月18日の山手線外回りの工事。内回り(写真左側)を運転しながらの工事でした
11月18日の山手線外回りの工事。内回り(写真左側)を運転しながらの工事でした

渋谷駅では2018年から、駅改良工事にともなう線路の切換が断続的に進められてきました。今回の工事は、その最終段階となる5回目。山手線の線路とホームをかさ上げする内容です。

高架駅の渋谷駅では、線路の下に連絡通路が設置されていますが、線路の位置の関係で、通路に最大14パーセントという急勾配がありました。加えて、埼京線の線路(すでにかさ上げ済み)下では高さが最低2.1メートルと高さが低い部分があり、これらをすべて解消し、フラットで天井が高い東西自由通路を構築するため、今回の工事が実施されました。

今回の工事の概要(画像:JR東日本)
今回の工事の概要(画像:JR東日本)

線路のかさ上げを目的とした今回の工事では、運休時間を最小限とするため、事前に着手可能な部分で作業が進められていました。ホーム部の大部分では、線路を仮設の桁の上に載せ、作業当日はジャッキなどで最大約0.2メートル上昇させました。また、ホーム区間外でも高さの変更があり、工事前までに最大0.3メートル、今回の工事で最大0.22メートル上昇。切換工事後も、最大0.41メートル上昇させるといいます。

渋谷駅北側の工事現場
渋谷駅北側の工事現場
営業列車が走る横で、線路の上昇作業が進められていました
営業列車が走る横で、線路の上昇作業が進められていました
こちらは渋谷駅南側の現場。バラスト関連の作業を見ることができました
こちらは渋谷駅南側の現場。バラスト関連の作業を見ることができました
2人1組でスコップを使う作業員ら
2人1組でスコップを使う作業員ら
バラストを突き固める「タイタンパ」を使う作業員ら。ちなみに、保守用車の「マルチプルタイタンパ」は、この機械を自動化したものです
バラストを突き固める「タイタンパ」を使う作業員ら。ちなみに、保守用車の「マルチプルタイタンパ」は、この機械を自動化したものです
タイタンパのアタッチメントを装着した軌陸車も登場
タイタンパのアタッチメントを装着した軌陸車も登場

線路のかさ上げ作業では、レールの位置だけではなく、ホームの高さも上昇させる必要があります。ここでは、ホームという構造物自体をジャッキで上昇させるのではなく、仮設の床をかさ上げする方法で、作業が進められていました。ホームの下には鋼管が配置されており、その上に木の土台を置くことで、ホーム高さを調整する仕組みです。もちろん、これは仮設の床のため、今後あらためて本設ホームの工事が進められる予定です。

鋼管の上に木の土台を置き、その上に床のパネルを置く仕組み
鋼管の上に木の土台を置き、その上に床のパネルを置く仕組み
仮設ホームを整備する作業員ら
仮設ホームを整備する作業員ら

また、今回の工事では、線路のかさ上げだけでなく、停車位置の変更も実施されました。ホームを新宿方に約26メートル(1両強分)延長し、停止位置を変更。大崎方のホーム約25メートル部分は通路化します。これにより、ハチ公口改札、国道南口改札につながる昇降設備を、それぞれ整備する狙いです。

新宿方に延長した山手線ホーム
新宿方に延長した山手線ホーム

今回の取材では、1月の工事で使用を終了した旧外回りホームに立ち入ることができました。現在も営業当時の面影を残すこのホームは、今後の再開発にあわせて順次撤去する計画だといいます。

渋谷駅の山手線旧外回り(1番線)ホーム。すでに本来の屋根の柱は撤去され、架設柱で支えられている状態でした
渋谷駅の山手線旧外回り(1番線)ホーム。すでに本来の屋根の柱は撤去され、架設柱で支えられている状態でした

渋谷駅では、今回の工事の前にも、2018年5・6月に埼京線南行(大崎方面)の線路を移設する工事2020年5・6月に埼京線ホームを山手線ホームの並列位置に移設する工事2021年10月に山手線内回りホームを拡幅する工事、2023年1月に山手線外回り線路を移設し内外ホームを統合する工事が、それぞれ実施されました。いずれも列車運休をともなうものでしたが、環状線である山手線の工事では、内外いずれかは本数を減らしながらも列車が運転されており、その横で工事を進めるという困難な作業が展開されました。

渋谷駅における全5回の線路切換工事(画像:JR東日本)
渋谷駅における全5回の線路切換工事(画像:JR東日本)

渋谷駅では、JR線のほか、東京メトロ銀座線でも線路切換工事が進められ、2020年1月に現在のホームの供用が始まっています。さらに振り返れば、2013年3月の東急東横線と東京メトロ副都心線の直通開始で、東横線渋谷駅が地上(高架線)から地下に移設されています。この10年間で、渋谷駅の線路は大きく変化しました。

地上時代の東横線渋谷駅ホーム
地上時代の東横線渋谷駅ホーム
2020年に供用開始された銀座線新ホーム
2020年に供用開始された銀座線新ホーム

今回の工事が終了したことで、渋谷駅の線路切換工事予定は完了したことになります。とはいえ、渋谷駅の工事自体が終了したわけではありません。かつての東急百貨店本店や同東横店の跡地には、再開発ビル「渋谷スクランブルスクエア」第II期(西棟・中央棟)が、2027年度の開業を目指し、建設される予定です。渋谷駅は、まだまだ未来に向けた工事が続いていきます。

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