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時速320キロ「はやぶさ」よりも速い列車が 新幹線と在来線の「表定速度」2023年版ランキング

2023年8月19日(土) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

スピードのもう一つの指標、「表定速度」が日本で最も高い列車とは

高速列車において所要時間は重要なアピールポイントですが、これを短縮するためには、最高速度を引き上げるほか、高速で継続的に走れる環境づくりも必要です。たとえば、100キロの区間のうち10キロで時速300キロ運転が可能だとしても、残り90キロを時速120キロで走行しては、高速走行する意味が薄れます。それよりも、全区間を時速270キロで運転できた方が、より所要時間は短くなります。

このような、目的地までの所要時間に対する速度を「表定速度」といい、距離を所要時間で除することで導き出せます。先の例の場合は、前者は表定速度が遅い列車で、後者は表定速度が速い列車となります。最高速度はわかりやすい指標ですが、表定速度もまた、列車の速さを見ることのできる指標なのです。

この表定速度は、対象とする区間によって変動しますが、今回は各列車のうち最速達列車の全運転区間、たとえば東京~博多間の「のぞみ」であれば、時速300キロで運転する山陽新幹線区間だけでなく、東京~博多間の全区間をもとに算出しました。なお、東京~新大阪間の「のぞみ」など、一部区間のみの運転となる列車がある場合は、これも比較対象としています。

また、比較対象は列車名単位とし、号数による違いは考慮していません。対象は毎日運転の定期列車のみで、平日のみ運転の列車や、繁忙期に運転される臨時列車は、比較対象外としています。

それでは、2023年3月改正のダイヤにおいて、日本で最も表定速度が高い列車を紹介していきましょう。第1位は、東海道・山陽新幹線「のぞみ」でした。

表定速度が最も高いのは「のぞみ」
表定速度が最も高いのは「のぞみ」

定期列車では表定速度が日本最速となる「のぞみ」64号は、東京~博多間1069.1キロ(実キロ、以下同様)を4時間46分かけて走行します。東海道新幹線では最高時速285キロですが、山陽新幹線の最高時速は300キロ。この列車の表定速度は、時速224キロ(小数点以下は四捨五入、以下同様)となります。

「のぞみ」64号が1位となる理由は、最高速度の高さはもちろんですが、停車駅の少なさと、東海道新幹線の上り最終列車という点にあります。日中時間帯では前を走る「こだま」との間隔が詰まって速度を落とす場面もありますが、この64号に関係する先行列車は、東海道新幹線区間では名古屋駅で接続する「こだま」1本のみ。通過駅直前で徐行する必要がないので、ほぼトップスピードを維持できるのです。

また、今回は定期列車のみをピックアップ対象としていますが、臨時列車ではさらに表定速度が高い列車も。こちらも同じ「のぞみ」の491号。3月の相鉄・東急直通線開業にあわせて運転を開始した、新横浜駅始発の列車です。491号の運転区間は新横浜~新大阪間の489.9キロですが、この区間を2時間3分で走破。表定速度は時速239キロに達します。64号同様に先行列車がほぼ存在しないことに加え、走行速度が抑えられる東京~新横浜間を走らないこと、停車駅数が少なく表定速度ではロスとなる駅停車のための加減速が少ないことが、64号以上の速さを実現できた理由と考えられます。

山陽・九州新幹線を走る「みずほ」は、新大阪~熊本間を走る615号の表定速度が時速220キロとなり、「はやぶさ」を超える3位にランクイン。九州新幹線の最高速度は時速260キロですが、山陽新幹線では最高時速300キロで運転できることから、高い数値となりました。なお、2023年3月のダイヤ改正以前は、新大阪~鹿児島中央間を走る「みずほ」603号が、時速220キロの表定速度をマークしていました。現在のダイヤでは、同列車は毎日運転の臨時列車となっており、定期列車のみを対象とする本ランキングでは算定対象外となっています。

スピードでは国内最速の「はやぶさ」は3位。新青森~東京間674.9キロを3時間5分で結ぶ速達タイプの「はやぶさ」4号では、表定速度が時速219キロとなります。本ランキングでは算定対象外ですが、東北新幹線で高速走行が可能な区間のみを抽出すると、仙台発東京行きの「はやぶさ」2号が、大宮~仙台間を1時間6分で走行。表定速度は時速267キロとなります。

今年のランキングでは、上越新幹線の最高速度が時速240キロから時速275キロに変更されたことにより、上越新幹線の「とき」「たにがわ」、高崎まで上越新幹線を経由する北陸新幹線の「かがやき」「はくたか」「あさま」の順位が変動しました。「あさま」は最速列車の所要時間増でランキングの順位は落ちているものの、その他の列車はいずれも表定速度が向上。「とき」は最速の311号の表定速度が時速203キロ(2022年は時速188キロ)となり、「さくら」(547号)と並ぶ4位に浮上しました。

最高時速向上で所要時間が短縮された上越新幹線。車両もすべてE7系になりました
最高時速向上で所要時間が短縮された上越新幹線。車両もすべてE7系になりました

また、2022年9月には西九州新幹線が開業しており、今回のランキングは「かもめ」も対象になりました。最速の「かもめ」16・17号は、武雄温泉~長崎間66.0キロを23分で結ぶので、表定速度は時速172キロ。ランキングでは10位となっています。

2022年9月に開業した西九州新幹線。「かもめ」は今回からランキング入りです
2022年9月に開業した西九州新幹線。「かもめ」は今回からランキング入りです

ランキングの比較のついでに、北海道新幹線の速度向上による表定速度の違いも見てみましょう。

北海道新幹線が通る青函トンネルでは、新幹線と在来線が線路を共有しています。ここで新幹線が高速走行すると、風圧の影響で在来線を走る貨物列車に影響を与えるおそれがあることから、通常では同区間の最高速度は時速160キロに抑えられています。しかし、貨物列車が少ない繁忙期では、一部の列車に限って、最高速度を時速210キロに向上して運転されています。

青函トンネルを通る北海道新幹線。通常時は最高速度160キロで運転されています
青函トンネルを通る北海道新幹線。通常時は最高速度160キロで運転されています

東京~新函館北斗間を最速で結ぶ「はやぶさ」7号は、通常時は823.7キロを3時間57分で結び、表定速度は時速209キロに達します。青函トンネルで高速走行が可能な期間では、同区間の所要時間は3時間54分となり、表定速度も時速211キロに。たかが3分、たかが時速2キロなのですが、細かい数字の積み重ねでスピードアップや所要時間の短縮を図ってきた鉄道の歴史を見ると、このわずかな数字でも大きなものとなるのです。

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