鉄道コムおかげさまで鉄道コムは25周年

北海道での運行に向け「ロイヤルエクスプレス」が伊豆から出発

2020年7月21日(火) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

東急が夏に北海道で運行する「THE ROYAL EXPRESS」が、7月21日に伊豆半島から旅立ちました。

7月21日に伊豆半島から旅立った「THE ROYAL EXPRESS」
7月21日に伊豆半島から旅立った「THE ROYAL EXPRESS」

THE ROYAL EXPRESSは、横浜~伊豆急下田間を走るリゾート列車です。車両の内外装は水戸岡鋭治さんによるデザインで、座席車両に加えて食堂車やキッチンカーなどを連結。車内ではフルコースやお重といった料理が提供されています。

普段は横浜~伊豆急下田間で運行されるTHE ROYAL EXPRESS
普段は横浜~伊豆急下田間で運行されるTHE ROYAL EXPRESS

東急は、2018年に発生した「北海道胆振東部地震」の復興支援策として、JR北海道と共同でTHE ROYAL EXPRESSを北海道エリアで運行することを決定。JR東日本、JR貨物を含めた4社共同のプロジェクトによって準備が進められてきました。

普段は直流電化区間を走るTHE ROYAL EXPRESSですが、北海道で走る区間はほとんどが非電化となるほか、電化区間も交流電源のため、そのままでは自走できません。そのため、北海道での運行時には、JR北海道が保有するディーゼル機関車が重連でけん引。さらにTHE ROYAL EXPRESSへサービス用電源を供給するため、JR東日本から譲渡された電源車を連結して走ることとなりました。

客車となるTHE ROYAL EXPRESSは、通常運行時の8両編成から、1・4・5・6・8号車の5両編成に短縮されました。これは、電源車の電源供給能力のほか、JR北海道内の駅有効長の兼ね合いとのこと。両先頭車に加え、キッチンカーの4号車、トイレ付き車両の5号車、「プラチナクラス」車両の6号車が選定されています。

8両編成から5両編成に短縮されたTHE ROYAL EXPRESS
8両編成から5両編成に短縮されたTHE ROYAL EXPRESS
北海道での運行時には不要となるパンタグラフは撤去されていました
北海道での運行時には不要となるパンタグラフは撤去されていました

また、普段は両先頭車に連結器カバーを装着しているTHE ROYAL EXPRESSですが、今回の運行では電源車や機関車と連結する必要があるため、連結器カバーを撤去。また、ブレーキ用配管や電源供給用のケーブルが設置されています。

電源車との連結部分。連結器カバーは撤去されています
電源車との連結部分。連結器カバーは撤去されています

電源車は、かつてJR東日本が保有したジョイフルトレイン「ゆう」が、非電化区間を走行する際にサービス電源を供給するために改造された荷物車、マヤ50-2186。かつては「ゆうマニ」とも呼ばれていました。今回のプロジェクト発足に際し、電源供給設備を備えたゆうマニがタイミング良く用途廃止となったことから、東急がJR東日本からこれを譲受。THE ROYAL EXPRESSの北海道運行に向けた作業が進められてきました。

THE ROYAL EXPRESSと連結して走る電源車。外観は水戸岡鋭治さんによるデザインとなりました
THE ROYAL EXPRESSと連結して走る電源車。外観は水戸岡鋭治さんによるデザインとなりました

譲受時はゆうの塗装に揃えられていたマヤ50-2186ですが、外観は水戸岡鋭治さんによるデザインに変更。THE ROYAL EXPRESSの「ロイヤルブルー」と、けん引する機関車のオレンジをつなぐ色として「白・ホワイト」をメインカラーとしたものとなりました。なお、機器類は基本的に譲受時のままで、小規模なメンテナンスを実施した程度ということです。

所有者の表記は「東急電鉄」
所有者の表記は「東急電鉄」
車両番号はJR東日本時代のままです
車両番号はJR東日本時代のままです
かつて東急電鉄の車両基地に搬入された際のマヤ50-2186
かつて東急電鉄の車両基地に搬入された際のマヤ50-2186

そして、この編成を北海道まで甲種輸送で運搬するのがJR貨物。伊東駅からの直流区間は、EF65形電気機関車がこれをけん引します。

JR貨物の機関車(奥)が、JR東日本から譲渡された東急電鉄保有の電源車(中)と、伊豆急行が保有し東急が運行するTHE ROYAL EXPRESS(手前)を、JR北海道の車両基地まで運搬します
JR貨物の機関車(奥)が、JR東日本から譲渡された東急電鉄保有の電源車(中)と、伊豆急行が保有し東急が運行するTHE ROYAL EXPRESS(手前)を、JR北海道の車両基地まで運搬します

7月21日の早朝に伊東駅を発ったTHE ROYAL EXPRESSは、数日かけてJR北海道の車両基地まで運ばれる予定。到着後は試運転を実施し、8月28日から始まる本運行に向けた体制を整えていくとのことです。

伊東駅を出発するTHE ROYAL EXPRESS
伊東駅を出発するTHE ROYAL EXPRESS

北海道内でのTHE ROYAL EXPRESSの運行は、当初は3泊4日のツアーを5回開催する予定でした。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によって、第1回・第2回の運行は中止。2020年の運行は3回となってしまいました。

しかし、2020年運行分について多くの申込があったことから、東急とJR北海道は2021年もTHE ROYAL EXPRESSを北海道内で運行することを決定。2020年に中止となった2回分の振り替えを含め、計7回の運行が予定されています。

なお、東急でTHE ROYAL EXPRESSのプロジェクトを担当する片桐淳也さんは、「現状では北海道運行を成功させることが使命」としながらも、「地域活性化などにわれわれが力を発揮できるお声がけがあれば検討していきたい」と、今後のさらなる運行にも含みを持たせていました。

東急でTHE ROYAL EXPRESSのプロジェクトを担当する片桐淳也さん
東急でTHE ROYAL EXPRESSのプロジェクトを担当する片桐淳也さん
 

鉄道コムの最新情報をプッシュ通知でお知らせします無料で受け取りますか?

アンケート

このリポート記事について、よろしければ、あなたの評価を5段階でお聞かせください。

鉄道コムおすすめ情報

画像

常磐緩行線209系が撮影会に

209系・E231系の地下鉄直通車を並べる有料撮影会が11月開催。209系は常磐緩行線仕様への一部復元も。

画像

ばたでん5010号引退

一畑電車の5000系5010号・5110号が2025年1月に引退。さよならイベントの開催を予定。

画像

山手線の車庫一望のホテルなど

大井町駅付近の開発計画が進行中。山手線の車両基地が一望できるホテルなどが、2026年3月に誕生します。

画像

新幹線の1000形とは?

新幹線の初代車両は0系。ですが、その前にも「1000形」と名乗る試作車両が存在していました。

画像

10月の鉄道イベント一覧

芸術、食欲、そして鉄道の秋。鉄道の日イベントの情報は、イベントページのカレンダーから。

画像

イベント投稿写真募集中!

鉄道コムでは、臨時列車や基地公開など、さまざまなイベントの投稿写真を募集中! 投稿写真一覧はこちら。