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変わったのは車両だけじゃない? 移動を楽しみたい人々にもアピールする、東海道新幹線N700Sデビューキャンペーン

2020年7月19日(日) フォトライター 栗原景

開業50周年キャンペーンからコンセプトが変化?

東海道新幹線では、これまでにもさまざまなプロモーションが行われてきましたが、そのコンセプトは時代と共に変化してきています。

1992年に、初めて300系〔のぞみ〕が登場した頃までは、「シンデレラエクスプレス」「ハックルベリーエクスプレス」など旅情にフォーカスしたCMが多く制作されましたが、1999年の700系デビューからは、技術力やスピード、〔のぞみ〕増発など、東海道新幹線の「高頻度・高速輸送」をアピールする広告が増えていきます。

1999年にデビューした700系。当時の広告は、技術力や高頻度・高速運行をアピールしていました
1999年にデビューした700系。当時の広告は、技術力や高頻度・高速運行をアピールしていました

2003年の東海道新幹線品川開業に伴う「AMBITIOUS JAPAN」キャンペーンでは、人気グループTOKIOを採用。700系〔のぞみ〕とともに、メンバーが全力疾走するスピード感あふれるCMが制作されました。

2004年の、東海道新幹線開業40周年キャンペーンのコピーは「たしかな時間。ゆたかな時間。」ポスターには新幹線に乗務する乗務員たちが描かれ、「高頻度・高速輸送」を全うする東海道新幹線の実直な姿勢が表現されています。

「輸送」ひと筋のコンセプトに変化が現れるのは、2014年の開業50周年キャンペーンから。シニア層に向けた旅行商品「50周年記念の旅 for 50+」や、今では「東海道新幹線弁当」として定着した「東海道新幹線50周年弁当」が発売されるなど、輸送以外の、「旅情」「ゆとりある旅」に着目したキャンペーンが展開されるようになります。

2017年のJR東海発足30周年キャンペーンでは、ファミリー向けに従来公開される機会がなかった施設が公開されるなど、幅広い年代に「東海道新幹線」に親しみを感じてもらうキャンペーンが各地で開催されました。

「将来、リニア中央新幹線が全線開業すれば、東海道新幹線は〔ひかり〕〔こだま〕中心のダイヤとなっていきます。大都市間を短時間で結ぶ輸送はリニアが担い、東海道新幹線はこれまで以上にさまざまな使われ方をしていくでしょう。新型コロナウイルスの影響により、テレワークが増えていますが、逆に転勤などをしなくても、普段は地元でテレワークを行い、必要に応じて新幹線で出かけるという使われ方もあるのではないでしょうか」(安田氏)

東海道新幹線に代わる東名阪の高速輸送手段として、試験・建設が進められている超電導リニア
東海道新幹線に代わる東名阪の高速輸送手段として、試験・建設が進められている超電導リニア

「新幹線は、手軽に予約できて、いつでも乗れて、変更も簡単という点が強みです。例えば大阪にいる友だちにお祝い事があったら、すぐ出かけてお祝いができるというのは新幹線ならではの利点だと思います。世の中はどんどん変わっていきますが、N700Sのようなブラッシュアップを今後も続けて、世の中に必要とされるようにしていきたいと考えています」(辻原氏)

これまでは、ビジネス利用、高速移動というイメージが強かった東海道新幹線。より快適になったN700Sの登場によって、シニアや学生など、旅や移動を楽しむ層にもアピールしていくのかもしれません。

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