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コロナでも混雑と無縁、必ず座れる通勤電車たち

2020年6月16日(火) 鉄道コムスタッフ

新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが立たないなか、通勤電車の混雑はなるべく避けたいものです。ピーク時間帯を避けた時差通勤が難しい場合は、JRや一部私鉄が運行する「ライナー列車」を利用するのも選択肢です。隣に他の利用者が座ることは避けられませんが、大勢の立席利用者もいる通常の通勤電車よりは、「密」ではない空間となっています。

運行路線や列車本数にも限りがあり、誰もが利用できる列車だとは決していえませんが、首都圏を中心に多く運転されている「必ず座れる通勤電車」、ライナー列車をご紹介します。

東武東上線の「TJライナー」と日比谷線直通の「THライナー」

東武鉄道では、東武スカイツリーライン・伊勢崎線と東上線の2路線で、ライナー列車を運行しています。

日比谷線に直通する「THライナー」
日比谷線に直通する「THライナー」

東武スカイツリーラインと伊勢崎線を走るのは、東京メトロ日比谷線に直通する「THライナー」。6月6日に運転を開始したばかりの列車です。運転区間は久喜~霞ケ関・恵比寿間で、午前中に恵比寿駅行きの上り列車が2本、夕夜間に霞ケ関駅発の下り列車が5本運転されています。

停車駅は、東武線内が久喜、東武動物公園、春日部、せんげん台、新越谷の各駅、日比谷線内が上野駅、秋葉原駅、茅場町駅、銀座駅と、霞ケ関~恵比寿間の各駅です。

上り列車では東武線内が乗車専用、上野~銀座間が降車専用で、下り列車はその逆。東武線内のみの利用はできません。日比谷線でも同様に線内のみの利用は原則不可ですが、上り列車に限っては霞ケ関~恵比寿間がフリー乗降区間となっており、この区間では座席指定料金は不要です。

座席指定料金は、久喜駅、東武動物公園駅、春日部駅発着が大人680円、小児350円で、せんげん台駅、新越谷駅発着が大人580円、小児300円。事前に購入せず乗車した場合、車内での発売料金として一律200円が加算されます。

東武東上線を走る「TJライナー」
東武東上線を走る「TJライナー」

東上線では、池袋~森林公園・小川町間で「TJライナー」が運転されています。平日の下りは夕夜間に小川町駅行きが12本、森林公園駅行きが2本、土休日の下りは小川町駅行きが11本の運転で、平日は17時30分から0時ちょうどまで、土休日は17時ちょうどから22時ちょうどまで、それぞれ30分間隔で運転されています。また、平日の朝には、森林公園駅発の上り列車も2本設定されています。

停車駅は上下列車で異なり、下り列車は池袋駅、ふじみ野駅、川越駅、川越市駅、坂戸駅と、東松山~小川町間の各駅、上り列車は森林公園駅、東松山駅、坂戸駅、川越駅、ふじみ野駅、池袋駅です。下り列車のふじみ野駅以遠はどの駅でも乗降可能ですが、上り列車は終点の池袋駅まで途中降車できません。

TJライナーの座席指定料金は、下り列車は大人370円、小児190円。上り列車は乗車駅によって異なり、ふじみ野駅発が大人370円、小児190円で、上り列車の川越駅以遠発が大人470円、小児240円となっています。

東武スカイツリーライン系統では、日光・伊勢崎方面の特急「けごん」「りょうもう」、朝時間帯のみ運転の「スカイツリーライナー」なども、THライナーと同様に通勤時の着席保証列車として利用可能。このほか、平日夕夜間には、東武スカイツリーライン・東武アーバンパークラインで特急「アーバンパークライナー」が運転されています。

アーバンパークライナーの運転区間と本数は、浅草~大宮・柏間が各1本、大宮~柏間が上下各2本、大宮~運河間が1本、柏~春日部間が1本。浅草駅発は18時台、大宮駅発は20~22時台、柏駅発は20~23時台に、それぞれ運転されています。

料金は各列車ごとに均一で、浅草駅発が大人420円、大宮駅発と柏駅発がそれぞれ大人320円。いずれも小児半額です。浅草駅発はせんげん台駅以遠、大宮駅発は春日部駅以遠、柏駅発は運河駅以遠で、それぞれ料金不要となります。

西武線の「S-TRAIN」「拝島ライナー」

西武池袋線と西武新宿線という、2つの基幹路線を持つ西武鉄道。同社では、それぞれの系統で「S-TRAIN」と「拝島ライナー」というライナー列車を運行しています。

西武池袋線系統で運転される「S-TRAIN」
西武池袋線系統で運転される「S-TRAIN」

池袋線系統で運転されるS-TRAINは、平日は小手指・所沢~豊洲間で運転。朝時間帯に所沢駅発豊洲駅行きが2本、夕夜間に豊洲駅発小手指駅行きが5本設定されています。東京メトロ有楽町線に乗り入れ、飯田橋や有楽町、豊洲周辺への通勤需要に応える列車となっています。

停車駅は、小手指駅、西所沢駅、所沢駅、保谷駅、石神井公園駅、練馬駅、飯田橋駅、有楽町駅、豊洲駅。上り列車は西武線内は乗車専用、有楽町線内が降車専用で、下り列車はその逆となっています。料金は全区間共通で、大人510円、小児260円です。指定券を事前に購入せず乗車した場合、車内発売料金として200円が加算されます。

なお、S-TRAINは土休日には性格が変わり、西武秩父~新宿三丁目~元町・中華街間を走る行楽向け列車となります。

新宿線系統の拝島ライナーは、夕夜間に下りのみが運転される列車。平日・土休日ともに6本が設定されています。運転区間は西武新宿~拝島間で、小平駅からは拝島線に直通します。

停車駅は、西武新宿駅、高田馬場駅と、小平~拝島間の各駅。小平駅以遠は乗車券類のみで乗車可能です。料金は全区間共通で、大人300円、小児150円。S-TRAIN同様、指定券を持たずに乗車すると200円が加算されます。

京王線の座席指定列車「京王ライナー」

東京西部の路線を持つ京王電鉄では、座席指定列車「京王ライナー」を運行しています。

京王線の座席指定列車「京王ライナー」((c)funny face - stock.adobe.com)
京王線の座席指定列車「京王ライナー」((c)funny face - stock.adobe.com)

京王ライナーの運転区間は、新宿~京王八王子間、新宿~橋本間の2系統。新宿駅行きの上り列車が朝時間帯に、新宿駅発の下り列車が夕夜間に、それぞれ運転されています。

運転本数は、平日の京王八王子駅発が3本、橋本駅発が4本で、土休日は共に1本。下り列車では、平日の京王八王子駅行き・橋本駅行きが共に7本で、土休日の京王八王子駅行きは6本、橋本駅行きは8本となっています。新宿駅行きの下り列車では、一部時間帯を除き、それぞれがおよそ1時間間隔で運転されています。

停車駅は、京王八王子駅発着が京王八王子駅、北野駅、高幡不動駅、聖蹟桜ヶ丘駅、分倍河原駅、府中駅、新宿駅。橋本駅発着は、橋本駅、南大沢駅、京王多摩センター駅、京王永山駅、新宿駅。上り列車は新宿駅まで降車不可ですが、下り列車は府中駅、京王永山駅以遠は乗降可能で、両駅から先は座席指定券も不要です。

座席指定券の料金は、大人・小児同額で410円。座席指定券を持たずに乗車した場合、車内で700円の支払いが必要となります。

なお、京王電鉄では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた利用状況をふまえ、当面の間、京王ライナーのダイヤを変更して運転しています。

平日朝には京王八王子駅発を2本、橋本駅発を1本、それぞれ増発しているほか、平日夜間の京王八王子駅行き、橋本駅行きを各1本運休しています。また、土休日の京王ライナーについては、全列車が当面の間運休となっています。

京急線の「ウィング号」

京浜急行電鉄の「ウィング号」
京浜急行電鉄の「ウィング号」

泉岳寺・品川と三浦半島を結ぶ京浜急行電鉄では、朝夕に「モーニング・ウィング号」「イブニング・ウィング号」を運転しています。

両列車とも平日のみ運転。朝時間帯には横須賀中央駅発品川駅行き、三浦海岸駅発品川駅行き、三浦海岸駅発泉岳寺駅行きがそれぞれ1本、夕夜間には品川駅始発の京急久里浜駅・三崎口駅行きが計11本設定されています。

停車駅は、上り列車が三浦海岸駅、横須賀中央駅、金沢文庫駅、上大岡駅、品川駅。下り列車では、品川駅、上大岡駅、金沢文庫駅、金沢八景駅、横須賀中央駅と、堀ノ内~三崎口間の各駅です。上り列車では品川駅まで降車できませんが、下り列車は上大岡駅以遠は乗降可能駅で、同駅からは座席指定券「Wing Ticket」も不要です。

座席指定券は大人・小児同額で、全区間とも300円です。

京阪でも走る着席保証列車「ライナー」

「ライナー」でも使用される京阪8000系
「ライナー」でも使用される京阪8000系

淀川左岸を走り、京都と大阪を結ぶ京阪電気鉄道京阪本線では、朝夕に「ライナー」が運行されています。

ライナーの運転区間は、淀屋橋~出町柳間。平日朝に出町柳駅・樟葉駅・枚方市駅発淀屋橋駅行きが各1本、平日夕夜間に淀屋橋駅発出町柳駅行きが2本、それぞれ運転されています。

ライナーの停車駅は、淀屋橋駅、北浜駅、天満橋駅、京橋駅、枚方市駅、樟葉駅、中書島駅、丹波橋駅、七条駅、祇園四条駅、三条駅、出町柳駅。料金不要の特急と同じ停車駅で、使用する車両も同じ8000系。両列車は、着席保証の有無の違いのみとなっています。

ライナー券の料金は区間によって異なり、300円または380円。ライナー列車に連結される「プレミアムカー」を利用する場合には、ライナー券ではなく400円または500円のプレミアムカー券が必要となります。

指定席車両であるプレミアムカーは、京阪特急の一部にも連結されており、ライナーと同様にプレミアムカー券で乗車できます。ライナーの運転時間が合わない方でも、プレミアムカーを利用すれば、「密」にならずに快適な空間で通勤できます。

京成電鉄の「モーニングライナー」「イブニングライナー」

「モーニングライナー」「イブニングライナー」に使用される京成AE形
「モーニングライナー」「イブニングライナー」に使用される京成AE形

成田スカイアクセス線経由で都心と成田空港を結ぶ「スカイライナー」を運行している京成電鉄ですが、朝夕にはスカイライナーの一部列車を京成本線経由の「モーニングライナー」「イブニングライナー」として運転しています。

運転区間・本数は、上り列車のモーニングライナーは、京成成田~京成上野間が3本、成田空港~京成上野間が1本。下り列車のイブニングライナーは、上野~京成成田間が4本、上野~成田空港間が3本。平日・土休日とも同じ区間・本数です。

停車駅は、京成上野駅、日暮里駅、青砥駅、京成船橋駅、八千代台駅、京成佐倉駅、京成成田駅、空港第2ビル駅、成田空港駅。料金は全区間共通で、大人420円、小児210円です。

東海道線の通勤需要を支える「湘南ライナー」

JRにおいても、特急列車用車両などを使用したライナー列車を運行しています。東海道線方面の「湘南ライナー」「おはようライナー新宿」「ホームライナー小田原」です。いずれも平日のみに運転される列車です。

東海道線で運転される「湘南ライナー」
東海道線で運転される「湘南ライナー」

東海道線を走る湘南ライナーは、東京~小田原間で運転。朝時間帯に上り列車6本、夕夜間に下り列車9本が設定されています。

湘南新宿ラインでは、朝時間帯運転の上り列車であるおはようライナー新宿と、夕夜間運転の下り列車であるホームライナー小田原の2つを設定。上り列車は小田原~新宿間で3本、下り列車は同区間で2本運転されています。

乗車に必要なライナー券の料金は、大人・小児同額で520円です。

なお、湘南ライナーなどの各列車にはグリーン車も連結されていますが、こちらは全車自由席で着席保証はありません。

JRグループでは湘南ライナーの他にも、JR北海道が小樽・手稲~札幌間で「ホームライナー」を、JR東日本が新潟~直江津間で「らくらくトレイン信越」「おはよう信越」、新潟~村上間で「らくらくトレイン村上」を、JR東海が静岡・名古屋エリアで「ホームライナー静岡」「ホームライナー中津川」などを、それぞれ運行しています。

また、北陸新幹線金沢開業による経営分離で誕生した第三セクター、あいの風とやま鉄道とIRいしかわ鉄道でも、金沢~泊間で「あいの風ライナー」を運転。同じく第三セクターのしなの鉄道でも、7月6日から快速「しなのサンライズ」「しなのサンセット」を座席指定制列車として運転する予定です。

1両だけの座席指定サービス「Qシート」

Qシートを連結した6020系。編成中央のオレンジ色にラッピングされている車両がQシートです
Qシートを連結した6020系。編成中央のオレンジ色にラッピングされている車両がQシートです

ライナー列車での運行ではありませんが、東急電鉄でも夕夜間に座席指定サービスを提供しています。大井町線と田園都市線で運用している「Qシート」です。

他社のライナー列車のように列車全体が指定席となっているのではなく、7両編成のうち1両のみが有料座席指定車両として設定されているのが特徴的です。

Qシートが設定されるのは、平日夕夜間に大井町~長津田間で運転される下り急行列車。17時30分~21時40分の間の10本で、Qシートのサービスが提供されています。

停車駅は、大井町駅、旗の台駅、大岡山駅、自由が丘駅、二子玉川駅、溝の口駅、鷺沼駅、たまプラーザ駅、あざみ野駅、青葉台駅、長津田駅。大井町~自由が丘間は乗車のみ、二子玉川~鷺沼間は降車のみ可能。たまプラーザ駅以遠は乗降どちらも可能です。料金は一律400円となっています。

なお、新型コロナウイルス感染拡大にともなう旅客の鉄道利用状況を踏まえ、2020年6月7日現在、Qシートのサービス提供は中止されています。

特急列車やグリーン車の活用も

通勤時間帯に運転されている特急列車を利用するのも、「密」を避けるのに有効です。

JR東日本では、かつて「ホームライナー〇〇」などとして運転していた列車の一部を、現在は特急列車として運転しています。高崎線の「スワローあかぎ」、中央線・青梅線の「はちおうじ」「おうめ」です。

高崎線の特急「スワローあかぎ」
高崎線の特急「スワローあかぎ」

これらの列車は他のライナー列車よりは割高ではありますが、全席指定席列車となっているため、空いた空間で確実に着席できる列車となっています。

JR西日本では、6月1日~30日に「期間限定・定期券併用チケットレス特急券」を発売しています。同社が提供するネット予約サイト「e5489」で購入可能な指定席特急券で、京都~大阪間や姫路~大阪間などで利用が可能です。

利用には別途定期券が必要(通常の乗車券やフレックス定期券は不可)ですが、料金は設定全区間で300円均一。「らくラクはりま」や「スーパーはくと」などが利用できる姫路~大阪間の指定席特急料金は通常期で1520円となっているので、大幅値引きとなっています。

JR西日本では、このチケットレス特急券の発売期間中、利用率を一定レベルに抑えるため、普通車指定席は定員の5割程度を上限として発売するとしています。

このほかの特急列車や、首都圏の中距離電車に連結されているグリーン車、さらにはJR西日本の新快速に連結されている「Aシート」も、混雑を避けるのに有効……ではあるのですが、グリーン車やAシートは(実質)自由席。特急列車でも、小田急ロマンスカーや南海・泉北高速鉄道の特急「泉北ライナー」のように全席指定、あるいは名鉄特急や南海の特急「サザン」のように一部指定席連結であれば問題ありませんが、JRの一部特急のように自由席を連結している車両では、確実な着席や空いた空間の保証はありません。

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