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富山軌道線南北接続

なぜ富山の鉄道は発展を続けるのか 「鉄道王国」といわれる理由

2020年3月28日(土) 鉄道コムスタッフ

「地方」鉄道なのに大手並みの富山地鉄

富山駅から黒部や宇奈月、立山へ伸びる鉄道路線と、富山市内の路面電車、そして富山県内の路線バスなどを運行している富山地方鉄道(富山地鉄)。大手・準大手私鉄を除いた地方都市の鉄道事業者としては、随一の規模です。

富山地鉄が運営する鉄道路線は、電鉄富山駅から滑川や黒部を経て宇奈月温泉に至る本線、途中の寺田駅から立山黒部アルペンルートの玄関口である立山駅までを結ぶ立山線、稲荷町駅から岩峅寺駅までをバイパスする不二越線・上滝線の4線3系統。加えて、富山市街地を走る路面電車の富山軌道線、富山駅北側を走るLRT路線の富山港線の、計6路線を運営しています。

富山地鉄では、西武鉄道の5000系「レッドアロー」の車体を活用した16010形や、京阪電気鉄道の初代3000系を譲受した10030形、元東京急行電鉄8590系の17480形といった、元の使用者では見られなくなった車両が活躍中。このうち10030形の1編成は、富山地鉄のオリジナルカラーから京阪時代の塗装に復元し、さらに2013年からは2階建て車を組み込んだ「ダブルデッカーエキスプレス」として運転されています。また、16010形の1編成も、2011年に観光列車「アルプスエキスプレス」としてリニューアルされています。

左から、元西武鉄道5000系の16010形、元東急8590系の17480形、電気機関車のデキ12020形、増結用車両のクハ175
左から、元西武鉄道5000系の16010形、元東急8590系の17480形、電気機関車のデキ12020形、増結用車両のクハ175
京阪初代3000系を譲受した10030形は、1編成が京阪時代の塗装となり「ダブルデッカーエキスプレス」として運転中
京阪初代3000系を譲受した10030形は、1編成が京阪時代の塗装となり「ダブルデッカーエキスプレス」として運転中

譲渡車両ではない、自社導入車両もあります。1979年から1981年にかけて製造された14760形は、転換クロスシートとロングシートを備えた、観光需要と通勤需要の双方に対応した車両。増結用の制御車であるクハ175という特徴的な車両を含め、全15両が現役です。また、2019年に引退したものの、1960年代に導入された10020形と14720形は、現役最後のいわゆる「日車ロマンスカー」として人気を集めていました。

自社発注車の14760形。普通列車から特急列車まで幅広く使用されています
自社発注車の14760形。普通列車から特急列車まで幅広く使用されています

また、観光地である宇奈月・立山へアクセスする路線を持つ富山地鉄は、観光需要に応える列車の運転に積極的です。かつては北陸本線から特急「サンダーバード」などが乗り入れていたほか、急行・特急「北アルプス」が、遠く名古屋鉄道の神宮前駅から直通していたこともありました。現在は自社線内完結の列車のみですが、電鉄富山~宇奈月温泉間の特急「うなづき号」や、立山~宇奈月温泉間を直通する「アルペン特急」などが、観光客向けに運転されています。

一般列車の本数も多めです。本線の電鉄富山~上市間では日中約20分間隔、立山線の電鉄富山~岩峅寺間では日中約30分間隔と、比較的高頻度。その他の区間でも、日中は約1時間間隔で運転されています。また、ラッシュ時には2両編成2本を連結した4両編成や、運転台のみを持ち自走できないクハ175を連結した3両編成が運転されており、通勤・通学需要に応えています。また、早朝の立山線下りには中小私鉄では富山地鉄のみに存在する「快速急行」が設定されているなど、種別のバラエティにも富んでいます。

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