西武鉄道は6日、無線式列車制御(CBTC)システムの走行試験を、10日に開始すると発表した。
CBTCシステムは、無線技術を活用して列車の位置、速度を常時把握し、列車間の安全な距離を確保するよう速度を制御する、信号保安装置。従来のシステムで用いていた、地上信号機、列車位置の検知を目的にレールに電流を流す「軌道回路」といった設備が不要となり、列車の間隔も地上の信号機位置に左右されないため、維持コストの削減や故障リスクの低減、効率的な運行が可能となる。
同社では、既存設備を活用して効率的に無線式列車制御システムを実現する「西武式CBTCシステム」の実証を進める。今回の実証試験では、車上の装置が進行方向や速度、距離などの認識、地上装置が列車位置の認識、列車ブレーキパターンの情報更新、本システムによる踏切制御の高度化など、CBTCシステムの動作を検証する。
試験は多摩川線で実施。101系に車上アンテナを搭載したほか、地上にも対応設備を設置し対応する。試験期間は、3月10日から2025年1月まで。営業運転終了後の時間帯に実施する。
西武は、走行試験での検証結果、鉄道各社の動向などを踏まえ、次世代信号システムの方式を決定し、2030年代に全線での導入を目指すとしている。
CBTCシステムは、国外では複数の採用例がある。国内では、東京メトロが丸ノ内線で実証実験を実施したほか、東京メトロ半蔵門線、都営地下鉄大江戸線、東急田園都市線などで、導入が計画されている。また、CBTCシステム同様、無線を活用した技術として、JR東日本は「ATACS」を開発。仙石線、埼京線のほか、同技術を転用したシステムが小海線で導入されている。