小田急12年ぶりの新型通勤車両、「5000形」を見る

2019年11月14日(木) 鉄道コムスタッフ

小田急電鉄は11月11日、新型の通勤型車両「5000形」を報道陣に公開しました。2007年にデビューした4000形以来、約12年ぶりとなる新型の通勤型車両ですが、これまでの車両とは大きく異なる箇所も。新たな時代を走る5000形、その車内外をご紹介します。

小田急12年ぶりの新型通勤車両「5000形」
小田急12年ぶりの新型通勤車両「5000形」

「より広く、より快適に」がキーワードの5000形。小田急電鉄では2018年に東北沢~世田谷代田間の複々線化を完成させましたが、これによる混雑緩和をより実感できるよう、拡幅車体を採用しているのが特徴です。

車両外観は、「価値観の変化にとらわれない」というシンプルなデザイン。先頭部は流線型とし、スピード感を強調しています。ヘッドライトは、中央の細長い帯状のものと、左右のものの2つ。中央のものは、テールライトとしても機能します。なお、車体はオールステンレスですが、先頭部は普通鋼となっています。

車両側面の表示器は、E233系と同じサイズであった4000形よりも大型のものを搭載。窓下には帯を配していますが、4000形から採用された「インペリアルブルー」に加え、「アズールブルー」も採用した2色の構成で、スマート感を表現しています。

シンプルなデザインを目指したという外観に比べ、車内は小田急電鉄の力の入れようが見て取れます。

拡幅車体の採用により、室内はこれまでの3000形や4000形よりも広い空間に。車両間の仕切り扉や荷棚、座席袖の仕切りに大型の強化ガラスを採用したこととあわせ、開放感を演出しています。また、座席はオレンジ色のモケット、床面は木目調とし、従来車よりも暖かみのある空間となっています。ちなみに、座席は硬くもなく、柔らかすぎもない印象。快速急行で新宿から小田原まで乗り通しても問題なさそうなレベルです。

拡幅車体の採用で、車内は従来車よりも広々
拡幅車体の採用で、車内は従来車よりも広々

照明はLEDですが、むき出しではなくカバーを装着。天井埋め込み型となっていることとあわせ、閉塞感の緩和を図っています。空調機器には、パナソニック製の「nanoe(ナノイー)」付き空気清浄機を搭載。なお、西武鉄道001系「Laview」などが搭載しているシャープ製の「プラズマクラスター」発生器とは原理が異なるそうで、nanoeの機器は一般旅客が見える位置には無いということです。

バリアフリー対策としては、全車両に車いすペースを設置。この箇所では、手すりを車いす着座時に掴みやすい低い位置に加え、高い位置にも設置。緊急時にもとっさに掴みやすくなっています。なお、4000形の初期投入編成まで、両先頭車の車いすスペースには折りたたみ式の椅子が設置されていましたが、5000形は当初からこれを設置していません。

ドア上には案内情報や広告映像を表示する車内案内表示器を設置。また、防犯対策として、超広角の監視カメラを車内案内表示器横に千鳥配置しています。カメラは1車両あたり4基の設置ですが、これで車内ほぼ全域をカバーしているとのこと。車内の非常通報ボタンが押された場合、近くの監視カメラの映像を乗務員室からリアルタイムで見ることもできるといいます。

吊革は、現在のトレンドである三角形ではなく、昔ながらの丸形のものを採用。これは「持ち手部分を回せば、他人が握っていない場所を掴める」という理由に加え、「三角形では握られた際にねじれてしまう」という、人間工学上の理由もあるとのことです。

各車両の機器状態を監視する車両情報管理装置(モニタ装置)は、3000形や4000形が搭載していた「TIOS」から、イーサネットを用いた「N-TIOS」に進化。JR東日本のE235系等が採用する「INTEROS」の同等品で、大容量のデータを車両間のみならず地上へも伝送できます。

そのN-TIOSからの情報を表示する運転台のモニタ画面は、3000形や4000形(登場時)の1枚から3枚へと増加。速度計や圧力計もデジタル表示となり、グラスコクピット化されました。

5000形の乗務員室
5000形の乗務員室

制御機器には、1000形リニューアル車や70000形「GSE」に続き、SiC素子適用VVVFインバータ制御装置を採用。1基で4台の主電動機を制御する1C4M制御の構成で、10両編成ではこれを1編成あたり5基搭載します。

車両の設計は、川崎重工、総合車両製作所、日本車輛製造の3社によるもの。溶接技術は川崎重工の、車両妻面のオフセット衝突対策については総合車両製作所の、そして車体のブロック工法は日本車輌の技術をそれぞれ採用。各メーカーが持つ技術を結集した車両に仕上がっています。

5000形は、2019年度中に10両編成1本の営業運転を開始する予定。その後、2020年度には10両編成5本を投入する予定となっています。投入されるのは、小田原線や多摩線、江ノ島線の一般列車。東京メトロ千代田線への乗り入れは非対応で、また10両編成のため、箱根登山鉄道線の小田原~箱根湯本間への乗り入れもありません。

なお、今回公開された5051編成(5051×10)は川崎重工が製造しましたが、2020年度に導入する5本は、川崎重工と総合車両製作所が分担して製造します。日本車輌は製造ラインが埋まっているため、2020年度までの導入分は担当しないそうですが、今後の導入分で関わる可能性があるとのことです。なお、5000形が装備する台車については、車体の製造メーカーにかかわらず、全車が日本車輌製のものを採用します。

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