ハチロク、貴婦人、C61が活躍した時代 SL現役時代の写真を見る

2019年3月15日(金) 文:鉄道コムスタッフ 写真提供:ニッポン写真遺産

かつて日本の運輸を支えたSL、その現役時代末期の貴重な写真をご紹介します。

写真は、朝日新聞社のアルバム・古写真デジタル化サービス「ニッポン写真遺産」で画像データ化されたもののから、1970年代に撮影された蒸気機関車の一部を集めたものです。今回は、神奈川県大和市の芳賀和士さんの写真を、ご本人の許諾を得て掲載します。

1972年の10月14日と15日、日本の鉄道開業100周年を記念して、「鉄道百年記念列車」が汐留~東横浜間で運転されました。かつての三等車を模して赤帯を入れた客車を、C57形7号機がけん引するというもので、京浜間では久しぶりのSL列車運転ということもあり、かなりの人出があったようです。こちらの写真は、10月15日に東海道本線の六郷川橋りょうで撮影されたもの。鉄橋の上、線路敷地内で撮影する多くのファンが写っています。現在は線路内に立ち入っての撮影は絶対に許されるものではありませんが、当時は規制も緩く、列車妨害にならない範囲であれば黙認されていたようです。
1972年の10月14日と15日、日本の鉄道開業100周年を記念して、「鉄道百年記念列車」が汐留~東横浜間で運転されました。かつての三等車を模して赤帯を入れた客車を、C57形7号機がけん引するというもので、京浜間では久しぶりのSL列車運転ということもあり、かなりの人出があったようです。こちらの写真は、10月15日に東海道本線の六郷川橋りょうで撮影されたもの。鉄橋の上、線路敷地内で撮影する多くのファンが写っています。現在は線路内に立ち入っての撮影は絶対に許されるものではありませんが、当時は規制も緩く、列車妨害にならない範囲であれば黙認されていたようです。
アングルを変えてもう1枚。カメラを構えるファンのみならず、一般の見物者も大勢見えます。1976年の(保存機を除く)国鉄蒸機全廃を控えた当時、消えつつあるSLに向けるファンの視線は熱く、SLブームを引き起こしていました。この人気の高まりにより、梅小路蒸気機関車館の開設など、現在のSL動態保存への道筋が作られることとなります。一方で、線路敷地内で撮影するという危険な行為はその後も幾度となく繰り返され、ついには1976年に京都~大阪間で運転されたSL列車「京阪100年号」が、線路内に立ち入った小学生をはねてしまうという、最悪の事故を起こしてしまいます。
アングルを変えてもう1枚。カメラを構えるファンのみならず、一般の見物者も大勢見えます。1976年の(保存機を除く)国鉄蒸機全廃を控えた当時、消えつつあるSLに向けるファンの視線は熱く、SLブームを引き起こしていました。この人気の高まりにより、梅小路蒸気機関車館の開設など、現在のSL動態保存への道筋が作られることとなります。一方で、線路敷地内で撮影するという危険な行為はその後も幾度となく繰り返され、ついには1976年に京都~大阪間で運転されたSL列車「京阪100年号」が、線路内に立ち入った小学生をはねてしまうという、最悪の事故を起こしてしまいます。
奥羽本線で客車列車をけん引するC61形20号機。1971年7月の撮影です。D51のボイラーを流用して1949年に落成した同機は、青森機関区や仙台機関区に配置され、東北地方の旅客列車に充当されていました。C61-20はその後、写真の撮影直後である9月に宮崎機関区へと転属し、2年後の1973年に廃車されます。1974年より群馬県伊勢崎市で保存された後、2011年に動態保存車として復活。以来、群馬県を中心としたJR東日本管内の各路線で、SL列車の先頭に立って大活躍しています。
奥羽本線で客車列車をけん引するC61形20号機。1971年7月の撮影です。D51のボイラーを流用して1949年に落成した同機は、青森機関区や仙台機関区に配置され、東北地方の旅客列車に充当されていました。C61-20はその後、写真の撮影直後である9月に宮崎機関区へと転属し、2年後の1973年に廃車されます。1974年より群馬県伊勢崎市で保存された後、2011年に動態保存車として復活。以来、群馬県を中心としたJR東日本管内の各路線で、SL列車の先頭に立って大活躍しています。
花輪線の龍ヶ森駅(現:安比高原駅)にて撮影された、盛岡機関区所属の8620形78646号。8620形の587号機です。キャブ(運転台)にカーテンが取り付けられているのがわかります。8620形のキャブは扉がない開放型ですが、東北地方や北海道といった寒冷地での運用機には、寒さや風をしのぐためのカーテンが装着されていました。
花輪線の龍ヶ森駅(現:安比高原駅)にて撮影された、盛岡機関区所属の8620形78646号。8620形の587号機です。キャブ(運転台)にカーテンが取り付けられているのがわかります。8620形のキャブは扉がない開放型ですが、東北地方や北海道といった寒冷地での運用機には、寒さや風をしのぐためのカーテンが装着されていました。
花輪線で運転されていた、8620形三重連による貨物列車です。花輪線は安比高原駅付近を頂上に33パーミルの勾配があり、ここを越える長編成の貨物列車は、機関車を複数両連結した重連で運転されていました。列車によっては3両連結した三重連での運転もあり、多くのファンを引きつけていたようです。1968年に東北本線が全線電化され、沼宮内(現:いわて沼宮内)~一戸間の十三本木峠越えからC61形などのSL三重連が去った後は、この花輪線の龍ヶ森付近がファンにとっての「聖地」となっていました。この写真が撮影されたのは、1971年の7月。花輪線はこの年の秋に無煙化され、蒸気機関車のドラフト音は八幡平から去っていったのでした。花輪線が無煙化され、全列車が気動車に置き換えられた後も、勾配との闘いは続きました。同線には八戸線のような平坦線で使用されていた1エンジン搭載車のキハ40系ではなく、エンジンを2つ搭載したキハ55系やキハ58系が投入されていました。2007年以降に水郡線から転属したキハ110系の導入により車両性能の向上が図られましたが、かつて蒸気機関車を苦しめた勾配は、今も変わらず花輪線の難所として健在です。
花輪線で運転されていた、8620形三重連による貨物列車です。花輪線は安比高原駅付近を頂上に33パーミルの勾配があり、ここを越える長編成の貨物列車は、機関車を複数両連結した重連で運転されていました。列車によっては3両連結した三重連での運転もあり、多くのファンを引きつけていたようです。1968年に東北本線が全線電化され、沼宮内(現:いわて沼宮内)~一戸間の十三本木峠越えからC61形などのSL三重連が去った後は、この花輪線の龍ヶ森付近がファンにとっての「聖地」となっていました。この写真が撮影されたのは、1971年の7月。花輪線はこの年の秋に無煙化され、蒸気機関車のドラフト音は八幡平から去っていったのでした。花輪線が無煙化され、全列車が気動車に置き換えられた後も、勾配との闘いは続きました。同線には八戸線のような平坦線で使用されていた1エンジン搭載車のキハ40系ではなく、エンジンを2つ搭載したキハ55系やキハ58系が投入されていました。2007年以降に水郡線から転属したキハ110系の導入により車両性能の向上が図られましたが、かつて蒸気機関車を苦しめた勾配は、今も変わらず花輪線の難所として健在です。
室蘭本線の栗丘駅付近を走るSL旅客列車。そのスタイルの美しさから、「貴婦人」とも呼ばれたC57形がけん引しています。駅を出発した直後なのでしょうか、黒煙を力強く吐き出しています。1974年の撮影です。
室蘭本線の栗丘駅付近を走るSL旅客列車。そのスタイルの美しさから、「貴婦人」とも呼ばれたC57形がけん引しています。駅を出発した直後なのでしょうか、黒煙を力強く吐き出しています。1974年の撮影です。
苫小牧機関区で休息を取るC11形227号機。1973年7月の撮影です。苫小牧機関区に所属していた同機は、当時は日高本線や富内線などで運用されていました。撮影された当時には、現在は東武鉄道のSL「大樹」けん引機として活躍しているC11形207号機も、同じ苫小牧機関区に所属していました。写真の227号機は、撮影から2年後の1975年に廃車されますが、そのまま大井川鉄道(現:大井川鐵道)に譲渡されました。ボイラーを交換するなど手は加えられているものの、現在もSL急行「かわね路」などのけん引機として、製造から70年以上が経過した現在も現役です。
苫小牧機関区で休息を取るC11形227号機。1973年7月の撮影です。苫小牧機関区に所属していた同機は、当時は日高本線や富内線などで運用されていました。撮影された当時には、現在は東武鉄道のSL「大樹」けん引機として活躍しているC11形207号機も、同じ苫小牧機関区に所属していました。写真の227号機は、撮影から2年後の1975年に廃車されますが、そのまま大井川鉄道(現:大井川鐵道)に譲渡されました。ボイラーを交換するなど手は加えられているものの、現在もSL急行「かわね路」などのけん引機として、製造から70年以上が経過した現在も現役です。
1973年7月、室蘭本線の栗丘駅で撮影された旅客列車。けん引機は、C57形の149号機です。煙突前には、前照灯が2つ。向かって左側の小さな補助灯は、交流電化区間を有する地域独特の装備です。前照灯が球切れした際に電球を交換する際、20000ボルトの高電圧となっている交流電化区間では、架線に触れなくとも感電する恐れがありました。もちろん夜間に前照灯非点灯で走ることは認められていないため、このような補助灯を設置して、万が一の対策としていたそうです。前照灯の下には、「架線注意」の表記も見られます。149号機は、1974年に廃車。車体も解体されてしまいますが、第1動輪のみが保存され、現在は新潟県の新津駅付近で展示されています。
1973年7月、室蘭本線の栗丘駅で撮影された旅客列車。けん引機は、C57形の149号機です。煙突前には、前照灯が2つ。向かって左側の小さな補助灯は、交流電化区間を有する地域独特の装備です。前照灯が球切れした際に電球を交換する際、20000ボルトの高電圧となっている交流電化区間では、架線に触れなくとも感電する恐れがありました。もちろん夜間に前照灯非点灯で走ることは認められていないため、このような補助灯を設置して、万が一の対策としていたそうです。前照灯の下には、「架線注意」の表記も見られます。149号機は、1974年に廃車。車体も解体されてしまいますが、第1動輪のみが保存され、現在は新潟県の新津駅付近で展示されています。
前の写真と同じ、1973年7月に室蘭本線栗丘駅付近で撮影された、C57形135号機けん引の列車。岩見沢第一機関区に所属する機関車です。この写真が撮影された2年後の1975年12月14日、国鉄最後の蒸気機関車けん引列車が室蘭本線室蘭~岩見沢間で運転されるのですが、この列車のけん引機に抜擢されたのが135号機でした。同機はこの経歴により、国鉄蒸機のマイルストーン的存在として、廃車後は交通博物館(東京都)に収蔵、展示保存されます。同館の閉館後は、2007年に開館した鉄道博物館(埼玉県)に移され、現在も同館「車両ステーション」の目玉展示の一つとして、来場者の注目の的となっています。C57形135号機けん引による最後の蒸気機関車けん引旅客列車運転後も、国鉄蒸機の歴史は少しだけ続きました。1975年12月24日、D51形のけん引による、最後のSL貨物列車が夕張線(当時)で運転され、営業線上のSL「列車」は全廃。翌1976年の3月、追分機関区の9600形の入換仕業が消滅したことにより、国鉄線上から保存機以外の蒸気機関車の火は消えることとなりました。
前の写真と同じ、1973年7月に室蘭本線栗丘駅付近で撮影された、C57形135号機けん引の列車。岩見沢第一機関区に所属する機関車です。この写真が撮影された2年後の1975年12月14日、国鉄最後の蒸気機関車けん引列車が室蘭本線室蘭~岩見沢間で運転されるのですが、この列車のけん引機に抜擢されたのが135号機でした。同機はこの経歴により、国鉄蒸機のマイルストーン的存在として、廃車後は交通博物館(東京都)に収蔵、展示保存されます。同館の閉館後は、2007年に開館した鉄道博物館(埼玉県)に移され、現在も同館「車両ステーション」の目玉展示の一つとして、来場者の注目の的となっています。C57形135号機けん引による最後の蒸気機関車けん引旅客列車運転後も、国鉄蒸機の歴史は少しだけ続きました。1975年12月24日、D51形のけん引による、最後のSL貨物列車が夕張線(当時)で運転され、営業線上のSL「列車」は全廃。翌1976年の3月、追分機関区の9600形の入換仕業が消滅したことにより、国鉄線上から保存機以外の蒸気機関車の火は消えることとなりました。

ニッポン写真遺産について

本リポートで紹介した写真は、朝日新聞社のアルバム・古写真デジタル化サービス「ニッポン写真遺産 」で画像データ化された一部です。

長年の保存に伴って傷みや劣化が進むアルバム・プリント写真、ネガフィルム等を送付してデジタル化を依頼できます。デジタルデータ化された写真は、パソコンなどで閲覧できるDVD-Rに納められ、大切な写真が守られるだけでなく、未来の世代にも引き継ぎやすくなります。

写真の汚れやキズを取り除き、きれいに復活させる「写真修復オプション」サービスも提供されています。

サービスの詳細は、朝日新聞社ニッポン写真遺産のWebサイトでご確認ください。

「ニッポン写真遺産」のWebサイトはこちら

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