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【密着取材】引退直前の京急2000形の特別貸切列車

2018年3月26日(月) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

3月25日、京浜急行電鉄2000形の引退を前に、特別貸切列車が運転された。

品川駅で発車を待つ特別貸切列車「ありがとう2000形」。同駅を始め、沿線には多くのファンが詰めかけた
品川駅で発車を待つ特別貸切列車「ありがとう2000形」。同駅を始め、沿線には多くのファンが詰めかけた
発車前に乗務員も記念撮影
発車前に乗務員も記念撮影

2000形は、1982年にデビューした車両。2扉クロスシート車両として製造され、当時は主に快速特急(現在の快特)に使用された。1983年には新幹線200系に大差をつけてブルーリボン賞に選定されたほか、1984年と1986年には御乗用列車に充当されるなど、同社のフラッグシップとして運用されてきた。後継となる2100形の登場以降、順次3扉ロングシートへと改造され、2000年に全編成の改造が終了した。3扉に改造されて以降は、ラッシュ時間帯の優等列車や、2011年に運転を開始したエアポート急行などで活躍してきた。老朽化により2012年より廃車されており、最後に残った2011編成も、2018年3月をもって引退となる。

特別貸切列車は、9時2分に品川駅を出発。途中、乗務員交代のために金沢文庫駅に停車した以外は全ての駅を通過。現在全列車が停車する上大岡駅を通過するなど、珍しいシーンが展開された。9時58分に京急ファインテック久里浜工場に到着した後、車両撮影会や、タレントの久野知美さん・吉川正洋さん(ダーリンハニー)・岡安章介さん(ななめ45°)によるトークショーなどが行われた。

2000形はデビュー当時は2扉全席クロスシートだったが、3扉化改造とあわせて、車端部を除きロングシートに変更された
2000形はデビュー当時は2扉全席クロスシートだったが、3扉化改造とあわせて、車端部を除きロングシートに変更された
一見すると普通の通勤電車といった様相に変化した2000形だが、車端部以外の日よけカーテンは横引き式が継続使用されるなど、かつてのフラッグシップ車両としての面影を残している
一見すると普通の通勤電車といった様相に変化した2000形だが、車端部以外の日よけカーテンは横引き式が継続使用されるなど、かつてのフラッグシップ車両としての面影を残している
2011編成は、2013年よりデビュー当時の塗装に戻されて運転されている。車端部には、この告知広告が掲出されていた
2011編成は、2013年よりデビュー当時の塗装に戻されて運転されている。車端部には、この告知広告が掲出されていた
貸切列車でも人気を集めた先頭車。列車は金沢文庫駅以外の全駅を通過する設定で運転され、かつて活躍した快速特急のような走りが堪能できた
貸切列車でも人気を集めた先頭車。列車は金沢文庫駅以外の全駅を通過する設定で運転され、かつて活躍した快速特急のような走りが堪能できた
2000形の運転台は、一世代前の普通列車用車両800形に類似している
2000形の運転台は、一世代前の普通列車用車両800形に類似している
独特の右手型ワンハンドルマスコン。この形状は、同社でも2000形と800形の2形式しか採用していない。元乗務員の同社社員によると、新1000形などの両手型の物と比較しても、操作が特段難しいといったことはないという
独特の右手型ワンハンドルマスコン。この形状は、同社でも2000形と800形の2形式しか採用していない。元乗務員の同社社員によると、新1000形などの両手型の物と比較しても、操作が特段難しいといったことはないという
京急ファインテック久里浜工場に到着。行先などは、登場時をほうふつとさせる「1A 快特 京急久里浜」を表示して展示された
京急ファインテック久里浜工場に到着。行先などは、登場時をほうふつとさせる「1A 快特 京急久里浜」を表示して展示された
くの字型の車体に大きな窓ガラスの前面デザインは、それまでの京急の車両とは異なる斬新なデザインとして注目を集めた。その大きな前面ガラスのため、夏場は日差しによって暑くなってしまったと、元乗務員の同社社員は語っていた
くの字型の車体に大きな窓ガラスの前面デザインは、それまでの京急の車両とは異なる斬新なデザインとして注目を集めた。その大きな前面ガラスのため、夏場は日差しによって暑くなってしまったと、元乗務員の同社社員は語っていた
今回の列車に掲出された「ありがとう2000形」のヘッドマークは、かつてのブルーリボン賞受賞記念ヘッドマークを模したもの。当時のヘッドマークは、車体下部のアンチクライマーに留めるものだったが、固定用の金具が無いなどの理由により、今回はステッカーでの掲出となったという
今回の列車に掲出された「ありがとう2000形」のヘッドマークは、かつてのブルーリボン賞受賞記念ヘッドマークを模したもの。当時のヘッドマークは、車体下部のアンチクライマーに留めるものだったが、固定用の金具が無いなどの理由により、今回はステッカーでの掲出となったという
2扉から3扉へと改造された2000形だが、大幅な窓配置の変更は行われていないため、見方によってはかつての姿が伝わってくる
2扉から3扉へと改造された2000形だが、大幅な窓配置の変更は行われていないため、見方によってはかつての姿が伝わってくる
「幕回し」が行われ、「17D エアポート急行 羽田空港」の表示に。2010年に新設されたエアポート急行は、2000形の格好の活躍の場となっていた
「幕回し」が行われ、「17D エアポート急行 羽田空港」の表示に。2010年に新設されたエアポート急行は、2000形の格好の活躍の場となっていた
続いて「13B 特急 金沢文庫」表示に。運行番号の「B」は、主に朝ラッシュ時間帯に金沢文庫駅で特急から快特に種別を変更する列車に使用される。エアポート急行の運転開始前は、2000形は主にこのようなラッシュ時間帯の列車に充当されていた
続いて「13B 特急 金沢文庫」表示に。運行番号の「B」は、主に朝ラッシュ時間帯に金沢文庫駅で特急から快特に種別を変更する列車に使用される。エアポート急行の運転開始前は、2000形は主にこのようなラッシュ時間帯の列車に充当されていた
最後に表示されたのが、「71H 特急 三崎口」。2018年の初日の出参拝客向けに運転された「初日号」の表示で、同列車のヘッドマークも掲出された
最後に表示されたのが、「71H 特急 三崎口」。2018年の初日の出参拝客向けに運転された「初日号」の表示で、同列車のヘッドマークも掲出された
撮影会の合間に行われた、久野知美さん、吉川正洋さん、岡安章介さんによるトークショー。2000形の思い出を語り合ったほか、京急の駅のうち乗降人数が11位~20位の駅を当てるクイズも行われた
撮影会の合間に行われた、久野知美さん、吉川正洋さん、岡安章介さんによるトークショー。2000形の思い出を語り合ったほか、京急の駅のうち乗降人数が11位~20位の駅を当てるクイズも行われた
久里浜工場を出発する前のヒトコマ。先頭部には、花束が添えられていた
久里浜工場を出発する前のヒトコマ。先頭部には、花束が添えられていた

京浜急行電鉄によると、2000形については今後、先頭車両などの保存を目指しているというが、詳細については未定だとしている。

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