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新車両リポート

227系「Urara」お披露目! 岡山の車両は「黄色一色」から「ピンク・グラデーション」へ

2023年2月2日(木) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

JR西日本は2日、岡山・備後エリアに投入する227系500番台を報道公開しました。

岡山・備後エリア向けの227系500番台
岡山・備後エリア向けの227系500番台

227系は、地方都市路線向けに投入されている車両。2015年には広島エリアで、2019年には和歌山エリアで、それぞれデビューしています。今回公開された岡山・備後エリア向けは、これらに続く3種類目の227系。2両編成と3両編成をあわせて101両導入し、既存車両を順次置き換えていきます。

広島エリア向けの227系
広島エリア向けの227系

車両の愛称は「Urara(うらら)」。2022年5月に岡山支社がTwitterで募集し、約1200件の応募の中から、デザインコンセプトにふさわしく、親しみをもって呼びやすいこの名称を選定したといいます。

車両愛称は「Urara」
車両愛称は「Urara」

今回公開されたのは2両編成で、両車ともモーター搭載車です。編成番号は、公開された2両編成が「R編成」、今後登場する3両編成は「L編成」。ちなみに、この編成番号は、所属組織で被らない英字から、現場が好きなものを選んで決めているとのことです。

岡山・備後エリア向けの227系のデザインコンセプトは、「豊饒」「穏和」からの造語となる「豊穏(ほうおん)の彩(いろどり)」。岡山の桃、福山のバラ、尾道の桜など、沿線を象徴するピンク色をシンボルカラーに、太陽の恵みや穏やかさを暖色のグラデーションで表現するデザインです。赤が基調の広島エリア向け車両とは同じ暖色系ですが、それとは異なる岡山独自のカラーリングとなっています。

デザインコンセプト「豊穏の彩」
デザインコンセプト「豊穏の彩」

車両のデザインは、沿線利用者に愛されることや、岡山らしさの表現を目指し、これまでの本社やメーカー主導ではなく、岡山支社が加わったワークショップを開催して検討が進められました。その中では、岡山エリアを走る車両の伝統を引き継ぐことも案に上がり、その結果、側面のグラデーションにはかつての117系「サンライナー」塗装をイメージさせる意味合いも込められたといいます。

「サンライナー」をもイメージしたというグラデーション帯
「サンライナー」をもイメージしたというグラデーション帯
「サンライナー」塗装の117系
「サンライナー」塗装の117系

細かいデザインの部分では、愛称の「Urara」のほか、岡山の10路線を描いたエリアシンボルマークを配置。暮らしや街を繋ぐスムーズな移動の実現や、晴れの国の太陽のイメージを表現しています。

愛称のロゴや岡山・備後エリアのシンボルマークは、車体各所に描かれています
愛称のロゴや岡山・備後エリアのシンボルマークは、車体各所に描かれています

車内は、広島エリア向けの車両と同様に、転換クロスシートを中心に設置。ただし、扉付近の混雑を解消して乗降をスムーズにするため、ドア付近のスペースを広く取りました。これによって、扉間の座席は広島エリア向けより1列少ない4列配置となっています。

227系500番台の車内
227系500番台の車内
扉間の転換クロスシートは4列
扉間の転換クロスシートは4列
拡大された出入口スペース。一部には折りたたみ座席を設置しています
拡大された出入口スペース。一部には折りたたみ座席を設置しています

ドア上には、LED式の情報表示装置を設置。2か国語での案内に対応しました。また、この装置の横には防犯カメラを千鳥配置し、車内セキュリティ向上も図っています。

ドア上の情報表示装置
ドア上の情報表示装置

機器などの細かい部分も見ていきましょう。

運転台は広島エリア向けの227系に類似。駅での集札による、いわゆる「都市型ワンマン運転」に対応しており、運転台にはドア操作スイッチが設けられています。複数編成を連結する際には運転台側のみを施錠することができ、向かって右側(車掌台側)は立ち入り可能なスペースとなります。

227系500番台の運転台
227系500番台の運転台
運転台に設置されているドアスイッチ
運転台に設置されているドアスイッチ
保安装置としてEB-N装置を搭載。ハンドル裏側の銀色の出っ張りがEB-Nスイッチです
保安装置としてEB-N装置を搭載。ハンドル裏側の銀色の出っ張りがEB-Nスイッチです
複数編成連結時は車掌台側に立ち入り可
複数編成連結時は車掌台側に立ち入り可

車体側面の表記によると、保安装置はATS-S(Sw)およびATS-Pを搭載しています。岡山・備後エリアの保安装置は大部分がATS-Swですが、山陽本線の上郡駅以東ではATS-Pが設置されています。投入線区については明言はされていないものの、たとえば姫路駅への入線は「理論上は可能」(JR西日本広報担当者)だといいます。

ATS-P対応の表記
ATS-P対応の表記

また、車体側面には監視カメラの準備工事と思われる部分が。ワンマン運転時に「入口」「出口」などと表示する機器の設置箇所も準備されているようです。JR西日本の担当者は、将来的には整理券を発券するタイプのワンマン運転にも対応すると説明していました。

側面監視カメラの設置準備工事部分
側面監視カメラの設置準備工事部分
うっすらと出入口表示用機器の設置位置が準備されているのがわかります
うっすらと出入口表示用機器の設置位置が準備されているのがわかります

車両の妻面には、上下二つのドアコックが設けられています。下のドアコックは、扱うと車両全ての扉が開放できるもの。上のドアコックは、扱った側のドアのみが開放できるもので、ホーム上での取り扱い時における事故を防止することができる装備です。こちらは323系などでも設けられている装備で、位置も他系列と共通。この位置へのドアコック設置はホームドアを想定した車両が多いのですが、岡山・備後エリアの在来線でホームドアを設置する計画があるというわけではなく、単にJR西日本の車両として設置位置を共通化しているということでした。

各車妻面には上下2つずつのドアコックが
各車妻面には上下2つずつのドアコックが
上のドアコックは片側のみ開扉できるもの。近年のJR西日本車両では同じ位置に設置しているといいます
上のドアコックは片側のみ開扉できるもの。近年のJR西日本車両では同じ位置に設置しているといいます

2両編成ではパンタグラフはクモハ227形の妻面側に1基が搭載されていますが、先頭側へも準備工事が施されています。ただし、この準備工事はJR西日本の車両に共通したもの。岡山・備後エリアではパンタグラフを2基装備した車両も在籍していますが、227系については「現在のところ予定はない」(JR西日本広報担当者)といいます。

側面の所属車両基地の表記は「中オカ」。中国統括本部が所管する、下関総合車両所岡山電車支所に所属する、という意味です。これまで岡山の電車車両基地は「岡山電車区」を名乗り、「岡オカ」と表記されてきました。2022年10月に中国統括本部が発足し、岡山電車区も下関総合車両所の支所に組織改編された結果、表記が変更されています。

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227系で置き換えられる車両は? 旧型車両はどうなる?今回の227系の導入計画については、明確に発表されているのは両数と編成数のみ。具体的な投入路線や、置き換え対象の車両については発表されていません。どの路線に投入され、何を置き換えていくのか、判明している情報を元に分析してみましょう。岡山支社では、

今回発表された227系500番台は、2023年度から2024年度にかけて101両を順次製造する予定です。具体的な投入路線は検討中だといいますが、今後、山陽本線を中心とした岡山・備後エリア各線で、新たな岡山の顔となっていきます。

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