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JR西日本の「DEC741」登場 屋根上に大量のカメラを搭載

2021年10月27日(水) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

JR西日本は10月27日、新型検測車「DEC(でっく)741」の導入を発表しました。

新型検測車「DEC741」
新型検測車「DEC741」

発表に先立って公開されたDEC741の実車写真とともに、新たな検測車をご紹介します。

「映え」を意識した青と黄色の塗装

DEC741は、電気設備撮像装置などを搭載する電動車のDEC741-1と、架線検測装置などを搭載するトレーラー車のDEC741-101の2両編成です。外観デザインは、警戒色で検測車のイメージでもある黄色と、143系のような事業用車に使われる青色の2色。この2色による「映え」も意識したデザインとのこと。DEC741-101の側面には、この車両のコンセプト「鉄道の安全を守ること」や「DEC741が走る風景」といったことを示すロゴがデザインされています。

架線検測装置などを搭載するDEC741-101
架線検測装置などを搭載するDEC741-101
DEC741-101の側面に配されたロゴ
DEC741-101の側面に配されたロゴ

なお、車体は普通鋼とのこと。これは、検測装置の重量が大きいことに加え、将来的に車内の検測機器を交換する際、車体を切り開いて搬出入することを考慮したといいます。また、車体幅は2800ミリと、205系のような裾絞りのない車両と同じ数値。ですが、車体長が約21メートルとなり、そのままでは曲線通過時に車両限界を突破してしまう恐れがあるため、この車体幅ながら裾絞りのある形状となっています。

車体幅は2800ミリながら、裾絞りのある形状に
車体幅は2800ミリながら、裾絞りのある形状に

走行システムは2021年9月に試験を開始した「DEC700」と同等で、エンジン一体型の発電機で生み出した電力でモーターを動かす電気式気動車。また、DEC700と同様に、走行用蓄電池の搭載にも対応しているといいます。

形式名については、DEC700の報道公開の際、第1位の「7」は電気式気動車という動力方式、第2位の「0」は通勤・近郊型、第3位の「0」は設計順を表すとしていました。このルールに則ると、DEC741の第2位の「4」は、143系や443系などと同様、事業用車を示す区分となります。

屋根上などにカメラが50台! 電気設備をくまなく監視するDEC741

DEC741は、電気設備や線路設備などを走行しながら検査・測定する「総合検測車」。2021年7月に廃車となった443系の代替となる車両です。

総合検測車の導入は、JR西日本グループの中期経営計画2022に盛り込まれた「JR西日本グループデジタル戦略」を実現するための一手です。

これまで作業員が直接出向いて検査していた電柱、信号機、がいしといった電気設備、レール締結金具などの線路設備について、車上での検査を実現し、データの可視化やネットワーク化を推進。これにより、少子高齢化によって作業員数が減少する中での生産性向上を図るといいます。また、地上での作業を車両による検査に置き換えることで、線路上という危険な場所での作業を削減し、労働災害の発生を防ぐことも狙いだとしています。

「電気設備診断システム」の装置
「電気設備診断システム」の装置
AIによって設備の良否を自動判定
AIによって設備の良否を自動判定

これの実現のために開発されたのが、今回発表されたDEC741です。屋根上には、「電気設備診断システム」関連装置装置、架線摩耗状態の検測装置を搭載。床下には将来的に線路設備診断システムを設置する計画です。

DEC741が初導入となる「電気設備診断システム」は、電気設備撮像装置、電気設備測定装置と、新開発の画像解析装置から構成されます。

「電気設備診断システム」の撮像・測定装置を搭載するDEC741
「電気設備診断システム」の撮像・測定装置を搭載するDEC741

電気設備撮像装置は、沿線の電柱や信号機、がいしなどを、50台のカメラで撮影。電気設備測定装置は、架線周りの設備の高低差や離れ具合などを4台のカメラで撮影します。そして、これらの画像データを地上の解析装置へと送信し、AIによって測定対象の設備を自動で抽出。撮影画像の中から検測に適する画像をAIで自動選別し、選別後の写真でAIが設備の良否を判定する仕組みです。このように、車上から広範囲に設備データを取得し、AIによって解析するシステムは、国内鉄道事業者では初だとしています。

電柱や信号機などを撮影する「電気設備撮像装置」
電柱や信号機などを撮影する「電気設備撮像装置」
カメラを50台搭載
カメラを50台搭載
4台のカメラで架線周りを測定する「電気設備測定装置」
4台のカメラで架線周りを測定する「電気設備測定装置」
取得したデータは車内のPCでも確認できます
取得したデータは車内のPCでも確認できます
「電気設備撮像装置」で取得した画像のイメージ
「電気設備撮像装置」で取得した画像のイメージ

また、将来搭載となる「線路設備診断システム」は、レール表面の状態や締結金具などを測定するもの。現在新幹線で試行段階となっていますが、同様のシステムがDEC741にも搭載されることとなります。

なお、架線検測装置については、443系が装備していた装置を流用しています。

手前のテーブルのような機材が架線検測装置の機器。443系からの流用品です
手前のテーブルのような機材が架線検測装置の機器。443系からの流用品です
屋根上の架線検測装置。パンタグラフなどは新品となっています
屋根上の架線検測装置。パンタグラフなどは新品となっています

11月より試験運用を開始

DEC741は、2021年11月より試験運用を開始。電気設備診断システムや線路設備診断システムの試験を実施し、2025年度にこれらシステムを実用化する予定としています。なお先述した通り、架線検測装置については443系から移設した実績のある機器のため、試験は不要。DEC741の運用は、架線検測の本運用と同時に、電気設備診断システムなどの試験を実施することとなります。

また、先代の443系では、JR九州などの他社でも検測を実施していました。今回のDEC741も同様に、他社での検測を実施する予定だといいます。

加えて、同社では信号通信設備や軌道設備の検測を担うキヤ141系を2本保有しています。DEC741とこのキヤ141系では検測対象が異なるため、キヤ141系は置き換えられるわけではないとのこと。両形式は、今後も共存して各線で検測を実施していきます。

キヤ141系はDEC741と共存して活躍することに
キヤ141系はDEC741と共存して活躍することに

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スペシャル動画(1分57秒)

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