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新車両リポート

JR西日本初の電気式気動車「DEC700」登場!

2021年8月11日(水) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

JR西日本は8月11日、新型電気式気動車「DEC700」(デックななひゃく)を、報道陣に公開しました。

JR西日本のDEC700
JR西日本のDEC700

DEC700は、ディーゼルエンジンで発電機を回し発電した電力で、モーターを駆動し走行する電気式気動車です。

DEC700のシステム構成(画像:JR西日本)
DEC700のシステム構成(画像:JR西日本)

電気式気動車は、主変換装置(直流電車の制御装置=VVVFインバータなどに相当)やモーターといった構成が電車と共通。電車と気動車のシステムを部分的に共通化することで、メンテナンスの効率化や品質管理強化、技術向上を実現します。

また、従来型気動車で必須だった回転部品(推進軸)などの機械部品が削減できるため、部品脱落事故の防止といった、運行時やメンテナンス時の安全性・安定性向上が可能になるといいます。

キハ40系の床下。斜めに設置されている部品が、回転部品の推進軸です
キハ40系の床下。斜めに設置されている部品が、回転部品の推進軸です

さらにDEC700では、ハイブリッド方式への変更にも対応しています。ハイブリッド式気動車は、電気式気動車に走行用バッテリーを追加した構成。エンジンのアイドリングストップや、回生ブレーキの使用などで、エネルギー効率の向上が図られます。

乗務員の運用にもメリットがあります。鉄道車両を運転する免許は、電車と気動車は別物となっているため、電車の免許のみを持つ運転士が気動車を運転することはできません。一方、DEC700は電車と気動車双方の特徴を有しています。そのため、電車の免許保有者は気動車の、気動車の免許保有者は電車の構造についての講習を受けることで、どちらの免許を持っていてもDEC700が運転できるようになるといいます。

一方、電気式気動車の宿命として、機器スペースが従来型気動車よりも大きくなるデメリットがあります。DEC700では、主変換装置については床上の客室内機器室に設置。また、エンジン起動用や、将来のハイブリッド方式対応時に搭載するバッテリーについては、屋根上への設置となっています。

エンジンや発電機などを詰め込んだ床下
エンジンや発電機などを詰め込んだ床下

また、従来車よりも何割の燃費を削減できるか、などのエネルギー効率化の割合については、今後の試験にて検証するということです。

なお、形式名については、第1位の「7」は電気式気動車という動力方式を表すもの、第2位の「0」は通勤・近郊型、第3位の「0」は設計順だといいます。

DEC700では、走行システムだけでなく、車体やデザインの進化・安全性向上も図られています。

車両は、切妻の箱形車体。前面は衝撃吸収構造を採用しており、万が一の事故発生時における乗務員や乗客の安全確保を図っています。

衝撃吸収構造を採用した先頭部
衝撃吸収構造を採用した先頭部

外観のデザインは、中国地域色である黄色をベースカラーに採用。側面には、形式を表した楽譜のデザインが描かれています。これは、「列車が走ることで流れるメロディに乗るように、お客様や沿線の皆さんの日常を明るく快適にすることを表現」したといいます。

メロディをモチーフとしたロゴが描かれた側面
メロディをモチーフとしたロゴが描かれた側面

車内には、2-1列の転換クロスシートを配置しています。このほか、片側の車端部には、車いす対応のトイレを設置。ドア上部へのLED案内表示器の搭載、車いすスペースの設置などとあわせ、バリアフリーへ配慮した設計となっています。

DEC700の車内
DEC700の車内
座席は転換クロスシートを採用
座席は転換クロスシートを採用
車内には車いす対応のバリアフリートイレ(左)を設置。トイレ付近では1人掛けの転換クロスシート(右)が設置されています
車内には車いす対応のバリアフリートイレ(左)を設置。トイレ付近では1人掛けの転換クロスシート(右)が設置されています
トイレの向かい側、最もドアに近い窓1つ分の区画には、車いすスペースが設置されています
トイレの向かい側、最もドアに近い窓1つ分の区画には、車いすスペースが設置されています
ドア上の案内表示器は、227系などと同じ、1段のLEDタイプ
ドア上の案内表示器は、227系などと同じ、1段のLEDタイプ

その他、安全・信頼性向上に向けては、大阪環状線用の323系などにも採用されている「EB-N装置」を搭載。運転台のマスコン・ブレーキハンドルにスイッチを設置し、スイッチを放すと5秒後にブレーキが掛かる安全装置です。加えて、脱線などの衝撃を検知する「車両異常挙動検知システム」の搭載、両先頭部への転落防止ホロ設置、電動空気圧縮機やATSの2重化などの対策を採用しています。

乗務員室直後の壁。営業運転を想定した整理券番号や料金などの表示器(上)は設置されていますが、運賃箱は未搭載です
乗務員室直後の壁。営業運転を想定した整理券番号や料金などの表示器(上)は設置されていますが、運賃箱は未搭載です
整理券発券機は設置済み
整理券発券機は設置済み
DEC700の乗務員室内
DEC700の乗務員室内
DEC700の運転台
DEC700の運転台
マスコンハンドルの裏面にあるのが、EB-N装置のスイッチ
マスコンハンドルの裏面にあるのが、EB-N装置のスイッチ
カメラのモニターなどを搭載している運転台右側
カメラのモニターなどを搭載している運転台右側

DEC700は、JR西日本がおおむね20年後のありたい姿を示した技術ビジョンにおいて掲げた「持続可能な鉄道・交通システムの構築」を目指す取り組みの一環として導入したもの。車両技術の共通化や効率化、安全・安定性の向上によってこの目標を実現するべく、今後さまざまな試験を実施する予定です。

今回製造されたのは、1両編成1本。この車両の配属先については、気動車対応設備があること、近隣の下関総合車両所と連携できることなどから、同総合車両所新山口支所となりました。しかしながら、試験は山口エリアに留まらず、米子エリアや京都エリアでも実施する予定。各エリアにおいて、車両の基本性能や、エリアごとの特性に応じた試験を実施することとなります。

DEC700の性能試験は、8月16日に開始する予定。当初は建屋内での性能測定試験となり、本線上での試験は9月以降を予定しているといいます。

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