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貨物線沿線を歩く

「東京メガループ」内側の貨物駅を見る

2021年9月12日(日) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

首都圏における環状線は、鉄道では山手線や武蔵野線など、道路では「環七」「環八」や、首都高中央環状線・外環道・圏央道の「3環状」と、放射状に延びる鉄道や道路を接続・バイパスする重要な路線です。

JR東日本では、この環状線のうち、武蔵野線、京葉線、横浜線、南武線の4線を「東京メガループ」として位置づけ、2010年代より輸送力改善に向け注力しています。

「東京メガループ」の1つ、武蔵野線
「東京メガループ」の1つ、武蔵野線

この東京メガループのうち、武蔵野線と京葉線は、当初は貨物専用線「東京外環状線」として計画されていました。高度経済成長期、都心部を通る貨物線の需要が高まる中で、さらなる本数増に対応するため、郊外をバイパスする路線が計画されたのです。

当初想定よりも貨物列車本数が減少した結果、現在は多くの旅客列車が運転されている武蔵野線と京葉線ですが、現在でも貨物列車は多数設定されており、武蔵野線内には貨物駅も設けられています。また京葉線は、当初計画では現在の川崎貨物首都圏における環状線は、鉄道では山手線や武蔵野線など駅を基点とし、東海道貨物線と接続する予定でした。

旅客、貨物と共に重要な役目を担っている「東京メガループ」。今回は、「東京メガループ」の内側で現役となっている貨物駅を巡ります。

東京の主要貨物線と現役の貨物駅(国土地理院「地理院地図Vector」の淡色地図に加筆)
東京の主要貨物線と現役の貨物駅(国土地理院「地理院地図Vector」の淡色地図に加筆)

東京の貨物輸送拠点駅、東京貨物ターミナル駅

東京貨物ターミナル駅は、東海道本線の東京側における貨物輸送の拠点駅です。

東京貨物ターミナル駅を発車する貨物列車
東京貨物ターミナル駅を発車する貨物列車

東京側における貨物輸送の拠点駅は、かつては汐留駅がその役目を担っていました。しかしながら、戦前からの長い歴史を持つ汐留駅は、貨物のコンテナ化などの情勢進化に対応することが困難となっていきました。

そこで、コンテナ専用の貨物駅として、大井ふ頭に東京貨物ターミナル駅が建設されることに。1973年に部分開業、1979年に全面開業した東京貨物ターミナル駅は、汐留駅の役目を引き継ぎ、汐留駅は1986年に廃止されました。

現在のダイヤでは、東海道本線大阪方面の定期貨物列車が下り22本、上り23本、臨時貨物列車が下り1本、上り3本設定。さらに、武蔵野経由で東北本線などに向かう列車が、定期貨物列車は下り13本、上り11本、臨時貨物列車は上下各3本と、全国各地へ向かう列車が1日30往復以上も設定される大拠点駅となっています。

駅設備は、貨物列車からコンテナを積み下ろしするコンテナホームが5面、荷役線が10線、コンテナを積み終えた列車が発車を待ち、あるいは駅に到着した貨物列車が最初に入線するための着発線が10線。さらに留置線や検修線も有する、規模の面でも日本有数の貨物駅です。

大井中央陸橋からうかがえるコンテナホーム
大井中央陸橋からうかがえるコンテナホーム

また、東京貨物ターミナル駅の西側には、JR東海の東海道新幹線大井車両基地が広がり、東側には東京臨海高速鉄道の八潮車両基地が設けられています。加えて、周囲にはJR貨物や物流会社の物流センターが並び、鉄道、物流の双方で重要なポイントとなっています。

東京貨物ターミナル駅は、貨物専用線である東海道貨物線上に存在するため、一般利用者が同駅を通る列車に乗車することはできません。しかしながら現在、都心方面と羽田空港を結ぶJR東日本の「羽田空港アクセス線」の建設が進められており、同線が開通すると、東京貨物ターミナル駅横を一般列車で通ることができるようになります。

広大な敷地を有する東京貨物ターミナル駅ですが、周囲は倉庫に囲まれ、外部からうかがえるポイントは意外にも限られています。駅内部をよく見ることができるのは、北側にある発着線と南側のコンテナホームの間を通る「大井中央陸橋」。同駅を発着する列車が出発前、あるいは到着時に一旦入線する発着線を一望できるほか、留置線に停まる機関車や貨車、M250系「スーパーレールカーゴ」の予備車などを見ることができます。

また、南側の都道316号線も一応の見学ポイント。こちらは駅そのものを見ることはできませんが、東京貨物ターミナル駅から川崎貨物駅方面へ延びるトンネルの入り口を見学できます。

川崎貨物駅方面へ向かうトンネルの入口
川崎貨物駅方面へ向かうトンネルの入口

東海道貨物線最初の途中駅、川崎貨物駅

東京貨物ターミナル駅から続く海底トンネルを抜けた先にあるのが、川崎貨物駅です。

東京貨物ターミナル駅を出て最初の駅となる川崎貨物駅。こちらは駅北側の跨線橋から見た光景です
東京貨物ターミナル駅を出て最初の駅となる川崎貨物駅。こちらは駅北側の跨線橋から見た光景です

川崎貨物駅は、1964年に塩浜操駅として開業しました。かつて、川崎臨港地帯における貨物輸送は、浜川崎駅や、京急大師線、川崎市電、専用線群が担っていましたが、塩浜操駅の開業以降は、次第にこちらへと需要がシフトしていきました。

川崎貨物駅で荷扱いのある東海道貨物線の列車は、コンテナ貨物列車が定期列車で下り3本、上り2本、臨時列車で上下各1本。さらに石油輸送用の列車が、定期列車で上下各2本、臨時列車で上り1本設定されています。

駅構内は、かつての操車場の名残りとなる側線群が並んでいますが、コンテナホームは下り線の1面と、上り線西側の1面の2つのみと小規模。このうち下り線側のものは、架線下で荷役が可能な「E&S方式」に対応したホームとなっています。

発着本数は小規模で、コンテナホームも少ない川崎貨物駅ですが、同駅の南東側には川崎車両所が設置されており、車両管理面では重要な施設となっています。

川崎車両所は、貨車の検査を実施する車両工場。コキ100系やタキ1000形など、さまざまな路線で見られる貨車が、この川崎車両所で検査を受けています。

川崎貨物駅の南側にある川崎車両所
川崎貨物駅の南側にある川崎車両所

また、同駅からは神奈川臨海鉄道の浮島線、千鳥線の2線が延びています。

浮島線は、川崎貨物駅の東側にある浮島町駅へ向かう路線。石油輸送用列車が多数設定されているほか、川崎市の家庭ごみを浮島処理センターへ輸送する「クリーンかわさき号」1往復も運転されています。定期列車だけでも12往復が設定されており、1~2時間に1本運転がある、臨海鉄道としては高頻度路線となっています。

神奈川臨海鉄道浮島線。石油輸送列車が多数運転されています
神奈川臨海鉄道浮島線。石油輸送列車が多数運転されています

千鳥線は、川崎貨物駅の南東側にある千鳥町駅へ向かう路線。定期列車は化学薬品輸送用の3往復のみと低頻度運転路線ですが、時折甲種輸送列車が運転され、新型車両などが千鳥町駅に搬入されることがあります。

川崎貨物駅の周囲は住宅街となっており、公道が張り巡らされているため、比較的見学は容易。駅北側には跨線橋が掛けられており、ここからは駅構内を一望できます。また、南側の川崎車両所付近では、留置線上の貨車たちや、神奈川臨海鉄道の機関車が、浮島線から運ばれてきたタンク貨車を入れ替える様子などを見ることができます。

先の写真と同じ、駅北側の跨線橋から見た風景。こちらは東京貨物ターミナル駅方面のトンネル入口です
先の写真と同じ、駅北側の跨線橋から見た風景。こちらは東京貨物ターミナル駅方面のトンネル入口です
駅東側の操車場区画。浮島線からやってきたタンク貨車の入換作業を見ることができます
駅東側の操車場区画。浮島線からやってきたタンク貨車の入換作業を見ることができます

甲種輸送列車もやってくる越谷貨物ターミナル駅

東京の外縁部を結ぶ環状線である武蔵野線。現在は旅客列車が多く運転されている武蔵野線ですが、先述した通り、もともとは東京中心部を通過していた貨物列車をバイパスさせるために建設された貨物線でした。

当初の建設目的通り、東京貨物ターミナル駅や隅田川駅などから京葉線、常磐線、東北・高崎線、中央線、東海道本線方面へと通過する貨物列車が運転されている武蔵野線ですが、武蔵野線内にも貨物駅が設けられており、埼玉県や神奈川県東部の貨物需要に対応しています。

旅客列車が走る区間のうち、埼玉県東側に設置されているのが、越谷貨物ターミナル駅です。南越谷~越谷レイクタウン間に設けられており、旅客列車からも駅構内を見ることができます。

南越谷~越谷レイクタウン間にある越谷貨物ターミナル駅
南越谷~越谷レイクタウン間にある越谷貨物ターミナル駅

駅設備は、コンテナホームが3面5線。これに加え、荷役線や留置線、着発線が多数設けられています。2021年3月改正のダイヤでは、下り(西船橋方面)が定期列車11本、臨時列車1本、上り(府中本町方面)が定期列車12本、臨時列車1本発着。うち上下各3本は東京貨物ターミナル~隅田川間の通称「隅田川シャトル」

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