新製車と転属車、2つの顔を持った武蔵野線の205系

2020年10月17日(土) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

1991年から活躍してきた武蔵野線の205系。30年近く武蔵野線で走り続けていた205系ですが、山手線の車両置き換えに絡む車両転配で、まもなく終焉を迎えます。

武蔵野線の205系
武蔵野線の205系

1973年に開業した武蔵野線ですが、開業当時に投入されたのは、他線区から捻出された101系でした。1980年には同じく他線区からやってきた103系、1986年には中央線快速と共通運用の201系が投入されましたが、武蔵野線専用車両の投入はありませんでした。

待望の新車である205系が投入されたのは1991年。武蔵野線の増発と8両編成化に対応するためのもので、8両編成5本が導入されました。この時に投入された205系は、1990年に京葉線へ投入されたグループと同様、従来の205系とは前面デザインが異なる仕様で投入されています。また、乗り入れる京葉線のトンネル内にある勾配に対応するため、8両編成中6両にモーターを搭載(6M2T)という、高い電動車比(MT比)となったことも特徴です。

1991年に武蔵野線に投入されたグループ。京葉線用205系と同様、前面デザインが変更されています。モーター車が多いため、パンタグラフは編成中に3基
1991年に武蔵野線に投入されたグループ。京葉線用205系と同様、前面デザインが変更されています。モーター車が多いため、パンタグラフは編成中に3基

なお、武蔵野線への投入をもって、205系の編成単位での製造は終了。JR東日本の直流通勤型車両の投入は、1993年からは次代の209系に移行しています。

103系とほぼ同数の205系が新製配置された京葉線と異なり、武蔵野線の205系新造車の投入は5本で終了。当時は、約30本の武蔵野線用車両のうち、わずかな数のみが在籍するレア車両といった存在でした。

205系が武蔵野線の主力となるのは、2000年代に入ってから。2002年に山手線へのE231系500番台投入が始まったことにより、205系の大規模な転属が始まります。山手線からの転出先に選ばれたのは、横浜線、南武線、京葉線など全9路線(南武支線含む)。武蔵野線もこの1つに選ばれ、老朽化した103系を置き換えることとなりました。

2002年より武蔵野線での運用が始まった、205系の転属車グループ
2002年より武蔵野線での運用が始まった、205系の転属車グループ

武蔵野線での運用に際しては、京葉線のトンネル内にある勾配への対応として、高い編成出力が必要です。武蔵野線への新製投入グループでは、先述したように6M2Tの編成とすることでこれを解決していました。しかしながら、今回の山手線からの転配時には、武蔵野線以外にも車両が配置されます。この際、武蔵野線用編成にモーター車を1編成あたり6両も使用してしまうと、モーター車が不足してしまう事態に陥ってしまいます。

そこでJR東日本は、武蔵野線に転属する205系の制御機器を、従来の界磁添加励磁制御から、高出力を発揮できるVVVFインバータ制御に更新。これによってモーター車を編成中6両から4両に減らすことができ、低いMT比でも武蔵野線・京葉線での運用を可能としたのでした。なお、この改造の際に発生した界磁添加励磁制御の機器は、2002年のFIFAワールドカップ輸送対応として増備された「成田エクスプレス」用253系に、一部が流用されています。

VVVFインバータ制御となった205系5000番台の営業運転開始は、2002年11月。山手線からは8両編成34本が転入し、2005年までに既存の103系を置き換えていきました。なお、転配時にモーター車1ユニット(2両)の不足が判明したため、1991年に投入されたグループの1編成も改造を受け5000番台に。前面デザインが異なる編成ながら、走行機器はVVVFインバータという、独特な編成となっていました。

1991年に武蔵野線用として投入された元E1→M61編成。VVVFインバータ制御への改造を受け、5000番台のM35編成となった異端編成でした。モーター車が減ったため、パンタグラフも編成中2基となっています
1991年に武蔵野線用として投入された元E1→M61編成。VVVFインバータ制御への改造を受け、5000番台のM35編成となった異端編成でした。モーター車が減ったため、パンタグラフも編成中2基となっています

山手線からの転配が完了した後も、205系は京葉線(延べ8両編成2本)や南武線(8両編成2本)で活躍した編成が、2007年から2015年にかけて転属。最盛期には、8両編成42本の205系が武蔵野線で運用に就いていました。

新製車の投入から25年以上、山手線からの転属組も15年以上の活躍を続けてきた武蔵野線の205系ですが、ついに2018年より置き換えが始まります。

置き換えの経緯は、205系5000番台と同様、山手線への新車投入によるもの。E235系を山手線に投入し、既存のE231系500番台を10両編成化の上で中央・総武緩行線に転出。ここで活躍していた209系500番台とE231系0番台・900番台を、残存する一部の編成を除き、八高線・川越線、そして武蔵野線へと転属させたのです。

中央・総武快速線から武蔵野線に転配されたE231系
中央・総武快速線から武蔵野線に転配されたE231系

なお、武蔵野線には2010年以降に209系500番台3本が転配されましたが、これらは増発用としての配置。純粋な置き換えの役目は、2017年以降に配置されたE231系や209系が担っています。

2017年より配置の始まった武蔵野線用E231系などにより、205系は2018年から順次撤退。新製投入されたグループを含む0番台の7本は、2019年に運用を終えました。そして、5000番台も次々と撤退。2020年10月1日現在は6本のみの配置と、風前の灯火となっています。

まもなく終焉を迎える、武蔵野線の205系。これにより、東京駅に定期的に入線する国鉄型車両は、特急「踊り子」用の185系のみに。固定編成で8両編成を組む205系も消滅となります。

武蔵野線での運用を終える205系ですが、まだまだ活躍の場が用意されています。といっても、その地は日本ではなくインドネシア。ジャカルタ首都圏の「KRLジャボタベック」を運営するPT Kereta Commuter Indonesiaに、336両が譲渡されることとなっています。

PT Kereta Commuter Indonesiaへの譲渡のため、京葉車両センターから配給輸送された205系
PT Kereta Commuter Indonesiaへの譲渡のため、京葉車両センターから配給輸送された205系

同地では、埼京線や横浜線に投入された205系のほか、東京メトロの05系や7000系、東急8000系といった、日本製の車両が多数運用中。武蔵野線の輸送を支えた205系は、異国の地でも都市圏の輸送を担うこととなります。

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