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JR西日本の電車が「2色のライト」を搭載する理由とは?

2024年3月30日(土) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

4月7日にデビューする新型「やくも」こと273系。先頭部の上下に並ぶライトを見ると、上は白色、下は橙色と、2つの色味が異なる灯具が搭載されています。白色のライトは「前部標識灯」、すなわちヘッドライトです。では、もう一つの橙色のライトは何なのでしょうか?

新型「やくも」こと273系。先頭部のライトを見ると、上下に色が異なるものが設置されています
新型「やくも」こと273系。先頭部のライトを見ると、上下に色が異なるものが設置されています

JR西日本の広報担当者に聞くと、これは「補助灯」だといいます。「高速走行時に遠方から列車を識別しやすくなるようとの意図で、223系1000代から設置」しているとは担当者の談。同社では、最高時速130キロで走行する「新快速」など、スピードの速い列車を数多く運転しています。それら列車の視認性向上のため、夜間や悪天候時を中心に使用しているとの説明がありました。補助灯は、同社の全車両とまではいきませんが、先の273系や223系のほか、321系や287系、さらには「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の87系などにも装備されています。

自動車では、同じような黄色または白色の灯火として、「フォグランプ」が設置されることがあります。フォグ=霧、つまり霧中などでの視認性向上のために使用するもので、日本では必須装備ではありませんが、SUVなどで見ることができます。なお、クルマの後ろに装備する赤色の「リアフォグランプ」もありますが、こちらは鉄道では見られません。

JR西日本のものがよく知られている(という筆者の印象がある)補助灯ですが、同じような色味が異なるライトの組み合わせは、他社の車両でも、意外と数多くの採用例があります。たとえば、JR北海道のキハ283系や731系、JR東日本のE3系やE653系、JR九州の787系や883系、名古屋鉄道の2000系や1200系など。これらは全てが補助灯という扱いではなく、中には同じ前部標識灯という扱いながら、HID+LEDなど、複数の種類を搭載した例もあります。一方で、JR九州や名鉄1200系ではフォグランプという扱い。特にJR九州の特急電車の場合は、デザイン上の理由で設置したという意味もあるようです。

JR九州の883系。上2灯が前部標識灯、下2灯がフォグランプです
JR九州の883系。上2灯が前部標識灯、下2灯がフォグランプです

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