東京急行電鉄6020系の3号車に「Q SEAT」が登場

2018年11月12日(月) レイルウェイ・ライター 岸田法眼

東京急行電鉄(以下、東急)6020系は2017年12月に登場し、2018年3月28日にデビューした。そして、12月14日から平日夜の大井町線大井町発の急行長津田行き5本にて、有料座席指定サービス「Q SEAT」の運行を開始する。大井町線の魅力をより高める存在になるだろう。

3号車に新デハ6320形として連結

車体はフルラッピング。大井町線ラインカラーのオレンジをベースに、上部にINCUBATION WHITE(美しい時代へ孵化していく色)をアクセントカラーに用いた。車端部の黄色縦ラインは注意喚起用。
車体はフルラッピング。大井町線ラインカラーのオレンジをベースに、上部にINCUBATION WHITE(美しい時代へ孵化していく色)をアクセントカラーに用いた。車端部の黄色縦ラインは注意喚起用。

新デハ6320形Q SEATは新製車で、2018年10月に登場(フルラッピング未施工で長津田検車区に搬入)。既存の旧デハ6320形を置き換える。同社車両課によると、Q SEATを3号車に設定した理由が2つある。

1つ目は、大井町駅の改札口が1号車側の1か所しかないこと。大井町線急行の旗の台―大井町間、各駅停車の下神明―大井町間は1号車の乗車率が高いのだ。

Q SEAT運行時は大井町でL/C(ロング/クロス)シート(座席定員36人)をロングシートから回転式クロスシートに変えるため、到着後すぐの乗車ができない。1号車に設定すると、ホーム上において乗客の流動を阻害する恐れがある。

2つ目は、東横線乗換駅の自由が丘から大井町線下り列車の乗客が増える。Q SEATの連結位置を3号車と4号車にしぼり、議論したところ、「3号車だとQ SEATに乗車しない方の流動を阻害しない」という結論に達したという。

Q SEATのロゴマーク
Q SEATのロゴマーク
鳥の羽は「Q」をアレンジした遊び心に舌を巻く
鳥の羽は「Q」をアレンジした遊び心に舌を巻く

Q SEATのロゴマークには、鳥のイラストがさりげなく描かれている。東急にコンセプトをうかがうと、“乗客が羽を休める”イメージだという。

インテリア

6020系一般車の車内(2018年2月の報道公開時に撮影)
6020系一般車の車内(2018年2月の報道公開時に撮影)
6020系新3号車、回転式クロスシート設定時の車内
6020系新3号車、回転式クロスシート設定時の車内
6020系新3号車、ロングシート設定時の車内
6020系新3号車、ロングシート設定時の車内

一般車と異なる点は、乗降用ドア脇の袖仕切りを大型化。車端部以外の座席をロングシートからL/Cシートに、室内灯も白色から電球色にそれぞれ変更された。

回転式クロスシートのシートピッチ(前後の間隔)は1010ミリ
回転式クロスシートのシートピッチ(前後の間隔)は1010ミリ
スマホやパソコンなどの充電に使えるコンセントは、Q SEAT設定時のみ使用可
スマホやパソコンなどの充電に使えるコンセントは、Q SEAT設定時のみ使用可

回転式クロスシート設定時は、座席背面のカップホルダーと座席下のコンセントが使える。ただし、進行方向側に袖仕切りのある席、車端部のロングシートにはカップホルダーがない。また、車内にはトイレもないので、飲食したい方は用を足してから乗ることをオススメする。

L/Cシートの着座幅は一般車と同じ460ミリで、ひじかけの内側にはくぼみがあり、少しでも着座幅を広くするよう工夫している。また、座席の向きはオレンジのレバーで変えることもできる。

頭部背面にマジックカバーを設置。車両課によると、「乗客の反応を見ながら、(シートカバーが)つけられる準備はしております」の由(よし)。

3人掛けロングシートのコンセントは4口設置
3人掛けロングシートのコンセントは4口設置

車端部の3人掛けロングシート(座席定員9人)もコンセントが設置されている。こちらもQ SEAT運行時は指定席に設定されるほか、優先席については全区間で取り扱いを中止する。

着座幅はひじかけ込みで535ミリ。回転式クロスシートに比べると、広めに使えて、足も延ばしやすい。ただし、カップホルダーはない。

なお、Q SEAT運行時、回転式クロスシートの窓側はA・D席、通路側はB・C席、車端部のロングシートはE・F席にそれぞれ設定される。

列車指定券は400円

Q SEAT運行開始記念のヘッドマーク
Q SEAT運行開始記念のヘッドマーク

列車指定券は1人400円で、乗車日当日の発売となる。

東急によると、この金額に設定したのは、乗客にアンケートをとったところ、「400円ぐらいなら乗ってくれるのではないか」という結論に至ったこと、乗車時間、乗車距離など他社の様子も参考したという。

有料座席指定サービス区間は急行長津田行きの大井町―鷺沼間で、大井町、旗の台、大岡山、自由が丘は乗降可能駅、二子玉川、溝の口、鷺沼は降車専用駅。たまプラーザ以遠は乗車券のみで乗車できる。

発売箇所は大井町駅の東急線改札窓口、旗の台駅の東口改札窓口、大岡山駅の中央改札窓口、自由が丘駅の正面口と南口改札窓口のほか、「Qシートチケットレスサービス」(要会員登録。サイトは2018年12月上旬にオープン予定)でも購入できる予定だ。

旧デハ6320形の今後

旧デハ6321は2020系第6編成にコンバート
旧デハ6321は2020系第6編成にコンバート
2020系第7編成は“仲間”の合流を待つ
2020系第7編成は“仲間”の合流を待つ

新デハ6320形Q SEATの連結に伴い、旧デハ6320形は2020系に編入改造される。すでに旧デハ6321はデハ2326として連結済み。また、新デハ6322連結後、現行車はデハ2327として再スタートを切る予定だ。なお、2020系第7編成は、3号車を除く9両が長津田検車区に搬入されている。

2代目6000系にもQ SEATを導入

6020系新編成は、2018年11月中旬に営業運転を開始
6020系新編成は、2018年11月中旬に営業運転を開始

6020系は2編成在籍。2018年12月14日から平日はフル稼動になるので、Q SEATの予備車がない。車両課に尋ねたところ、2代目6000系も1両を改造し、2019年春頃の導入を目指しているという。

私鉄で自由席と指定席の混結列車は、南海電気鉄道や名古屋鉄道などに設定されているが、関東地方ではおそらく初めてだろう。大井町線平日夜のQ SEATが成功したら、土休の設定も考えられる。大井町で他社線に乗り継ぐと、お台場や東京ディズニーリゾートなどへ行けるので、“行楽ライナー”としての設定にも期待したい。

【取材協力:東京急行電鉄】

岸田法眼

レイルウェイ・ライター。「Yahoo!セカンドライフ」(ヤフー)の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降、「鉄道のテクノロジー」(三栄書房)、「鉄道ファン」(交友社)、「WEBRONZA」(朝日新聞社)、「@DIME」(小学館) などに執筆。また、好角家の側面を持つ。著書に「波瀾万丈の車両」(アルファベータブックス)がある。

波瀾万丈の車両 様々な運命をたどった鉄道車両列伝

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