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都電荒川線と花電車~三ノ輪橋、荒川電車営業所でのイベントリポート

2018年10月23日(火) 鉄道コムスタッフ

早稲田~三ノ輪橋間(約12.2キロ)を結ぶ東京都交通局の路面電車、都電荒川線。その路線は、弧を描くように新宿区、豊島区、北区、荒川区の4つの区にまたがり、全区間を約1時間かけて走ります。停留場の数は30。決して速い乗り物ではありませんが、大通り、商店街、住宅地の一角などから、階段の上り下りなどを経ずに、気軽に乗車できるのが特徴です。

都電荒川線の特徴はほかにも多々ありますが、祝賀行事や記念日などにあわせて、「花電車」を設定、運行することも挙げられます。10月21日(日)は、運行はされなかったものの、三ノ輪橋停留場付近に設けられた案内所のオープンを記念して、花電車の展示イベントが行われました。日を同じくして、花電車専用の車両「花100形」のさよならイベントが、荒川電車営業所での催しの目玉として開催。今回は、これら2つの花電車を中心に紹介します。

三ノ輪橋停留場での花電車など

都電荒川線の三ノ輪橋停留場近くに、新たな都営交通案内所が設けられ、10月21日に開業しました。オープンにあわせ、同日9時ごろにオープニングイベントが同所前で開催され、主催者などの挨拶、東京都交通局、荒川区などの関係者らによるテープカットが行われるとともに、三ノ輪橋停留場に停車中の都電車両(8502号)を花で装飾した花電車の展示、撮影会が開かれました。案内所は、テープカット後に開館。花電車の撮影を終えてから来場する人が多く、開館後しばらくは多くの人でにぎわう状態が続きました。

8500形8502号による「花電車」。イベント開催前に花を取り付ける作業が進められ、車体周りが花で覆われました。
8500形8502号による「花電車」。イベント開催前に花を取り付ける作業が進められ、車体周りが花で覆われました。
先頭部には、都営交通案内所のグランドオープンを祝すヘッドマークが掲出されました。
先頭部には、都営交通案内所のグランドオープンを祝すヘッドマークが掲出されました。
テープカット後のフォトセッション。中央は、東京都交通局電車部の相川部長。同局のほか、東京都営交通協力会、荒川区、地元商店街の関係者らが式典に臨席しました。
テープカット後のフォトセッション。中央は、東京都交通局電車部の相川部長。同局のほか、東京都営交通協力会、荒川区、地元商店街の関係者らが式典に臨席しました。
都営交通案内所の名称は、「三ノ輪橋おもいで館」。かつて煎餅屋が入っていた建屋を改修し、東京都交通局が借り受けて、案内所としてオープンしました。営業時間は10時~18時。火曜、水曜(祝日を除く)が定休日です。
都営交通案内所の名称は、「三ノ輪橋おもいで館」。かつて煎餅屋が入っていた建屋を改修し、東京都交通局が借り受けて、案内所としてオープンしました。営業時間は10時~18時。火曜、水曜(祝日を除く)が定休日です。
案内所内には、9001号の模型や、東京都交通局車両の吊り革、銘板などを展示するコーナーがあります。こうしたディスプレイのほか、案内所中央には都電のジオラマが置かれ、壁面には往年の路線図や、沿線風景の切り絵なども掲げられています。
案内所内には、9001号の模型や、東京都交通局車両の吊り革、銘板などを展示するコーナーがあります。こうしたディスプレイのほか、案内所中央には都電のジオラマが置かれ、壁面には往年の路線図や、沿線風景の切り絵なども掲げられています。
車両部品など、販売品も充実。実際に使われていた降車ボタンのほか、吊り革、地下鉄路線図などが売られています。書籍、交通局オリジナルグッズも取り扱っています。カウンターでは、都電の定期券、一日乗車券なども発売。
車両部品など、販売品も充実。実際に使われていた降車ボタンのほか、吊り革、地下鉄路線図などが売られています。書籍、交通局オリジナルグッズも取り扱っています。カウンターでは、都電の定期券、一日乗車券なども発売。
停車中の8502号。この日の早稲田側の先頭部には、「東京150年」を記念するヘッドマークが取り付けられていました。車内では、古い都電の写真等を使ったポスターが掲出され、往時の東京を振り返ることができます。
停車中の8502号。この日の早稲田側の先頭部には、「東京150年」を記念するヘッドマークが取り付けられていました。車内では、古い都電の写真等を使ったポスターが掲出され、往時の東京を振り返ることができます。
10月22日の8502号。車体を彩った花は取り外され、「東京150年」記念ヘッドマーク列車として、運用されています。ヘッドマークは、両先頭部に掲出。掲出期間は11月25日までです。
10月22日の8502号。車体を彩った花は取り外され、「東京150年」記念ヘッドマーク列車として、運用されています。ヘッドマークは、両先頭部に掲出。掲出期間は11月25日までです。

かつての花電車

都電の花電車には歴史があります。古くは、大正時代に遡り、昭和に入ってからは1930年の「帝都復興祭記念奉祝花電車」、1936年の「東京市電気局25周年記念花電車」など、市電時代にいくつか運行された記録があります。戦後も、1955年の「祝復興10周年・都民の日花電車」、1956年の「祝大東京祭記念花電車」、1959年の「皇太子殿下御成婚奉祝記念花電車」などの写真が残っています。昭和時代に花電車が街を彩ったのは、1978年の荒川線の新装(ワンマン運転化など)を記念したものが最後。次に運行されたのは、都営交通100周年を記念しての花電車で、実に33年ぶりとなりました。運転日は、2011年10月1日を皮切りに、同月の日曜を中心に5回。7500形を改造した花電車、花100形が使われ、デコレーションケーキを模した装飾がメインに据えられました。

10月21日、三ノ輪橋~荒川一中前間にある商店街施設(ジョイフル三ノ輪会館)では、「東京150年」にちなんだ企画として、過去の花電車のパネル展示が行われました。
10月21日、三ノ輪橋~荒川一中前間にある商店街施設(ジョイフル三ノ輪会館)では、「東京150年」にちなんだ企画として、過去の花電車のパネル展示が行われました。
同商店街、ジョイフル三ノ輪には、鉄道写真家の中井精也さんの店「ゆる鉄画廊」があります。店の内外には、荒川線の写真も並び、作品の購入が可能。作品などの写真撮影もOKです。この写真は、2011年の花電車。
同商店街、ジョイフル三ノ輪には、鉄道写真家の中井精也さんの店「ゆる鉄画廊」があります。店の内外には、荒川線の写真も並び、作品の購入が可能。作品などの写真撮影もOKです。この写真は、2011年の花電車。
33年ぶりに復活した花電車。電飾が鮮やかで華々しい印象を受けました。2011年10月1日、王子駅前で撮影。
33年ぶりに復活した花電車。電飾が鮮やかで華々しい印象を受けました。2011年10月1日、王子駅前で撮影。

荒川電車営業所での「花100形さよならイベント」

主に専用軌道を走っていた32系統(早稲田~荒川車庫間)と、27系統の一部(王子駅前~三ノ輪橋間)を統合する形でできたのが、現在の荒川線。開業日は、1974年10月1日でした。その日にちなみ、毎年10月に開催されるのが、「荒川線の日」記念イベントで、今年は10月21日に行われました。

会場は、荒川線の車庫がある荒川電車営業所。車庫や保線車両の見学、都電車両の運転台撮影会などが恒例ですが、今回は花100形の廃車に伴う「さよならイベント」が加わり、多くの来場者を集めました。

2011年10月運行の花電車で使われた、花100形。惜しくも2018年度での廃車が予定されています。この日は、引退記念企画として、「お花紙」を使った車体への花飾りなどが行われました。
2011年10月運行の花電車で使われた、花100形。惜しくも2018年度での廃車が予定されています。この日は、引退記念企画として、「お花紙」を使った車体への花飾りなどが行われました。
花100形の車内には、都営交通の各種車両が並び、華を添えました。車体側面には、メッセージを書いた付せんも。
花100形の車内には、都営交通の各種車両が並び、華を添えました。車体側面には、メッセージを書いた付せんも。
撮影会場では、都電荒川線のマスコットキャラクター「とあらん」も登場。花電車を引き立てていました。花100形は、今回で見納めです。
撮影会場では、都電荒川線のマスコットキャラクター「とあらん」も登場。花電車を引き立てていました。花100形は、今回で見納めです。

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