新橋~横浜間、開業時の鉄道の足跡をたどる

2018年10月13日(土) 鉄道コムスタッフ

「鉄道の日」は、1872年10月14日に日本初の鉄道が開業したことを記念して、1994年に運輸省(当時)が制定した記念日です。

「鉄道の日」にちなみ、日本で最初に鉄道が開業した新橋~横浜間にスポットをあて、創業時の駅、記念物、記念碑など、その原点をたどります。

1868年、明治維新とともに誕生した新政府は、その翌年12月に鉄道建設を決定しました。工事は、1870年4月に新橋~横浜間(約29キロ)で開始。測量のため、汐留の一角に最初の杭が打たれたのがその第一歩です。

鉄道建設にあたっての技術、資材、資金がなかった当時の日本政府は、イギリスの支援を受けることとし、お雇い外国人を招聘。建築師長として渡日したエドモンド・モレルをはじめとする指導、監督のもと、敷設工事が着手されました。線路幅を狭軌としたのは、モレルの進言があったことなどによります。単に線路を敷くだけの工事ではなく、海の埋め立てのほか、高輪や神奈川付近では、海上に堤を築くなど、簡単なものではありませんでしたが、1872年6月には、品川~横浜間(約24キロ)が仮開業しました。仮開業当日の運転本数は、2往復。その翌日からは6往復になりました。同7月には、途中駅にあたる川崎、神奈川(現在の横浜~東神奈川間に位置)の両駅が開業。同8月に新橋~品川間の線路がつながり、10月14日の開業式を迎えることになります。10月15日以降は、1日9往復が運転されたそうです。

着工から本開業まで2年半。日本で最初の鉄道は、明治時代に入って5年目という時期に開業しました。

旧新橋駅

駅舎は、1871年5月から同12月にかけて造られました。その跡地には現在、「旧新橋停車場」という名称で、当時の姿を忠実に再現した建物や鉄道設備があります。

旧新橋駅にあたる位置に建つ資料館「旧新橋停車場」。2003年に竣工しました。2階には、「鉄道歴史展示室」があり、企画展示などが行われています。
旧新橋駅にあたる位置に建つ資料館「旧新橋停車場」。2003年に竣工しました。2階には、「鉄道歴史展示室」があり、企画展示などが行われています。
旧新橋停車場には、測量のために打ち込まれた「第一杭」の場所に、鉄道発祥を印す「0哩標識」があります。写真の線路は、その標識を起点に数メートル分復元したもの。開業当時と同年代に造られたレールを移設したものです。
旧新橋停車場には、測量のために打ち込まれた「第一杭」の場所に、鉄道発祥を印す「0哩標識」があります。写真の線路は、その標識を起点に数メートル分復元したもの。開業当時と同年代に造られたレールを移設したものです。
1991年より行われた発掘調査で、旧新橋駅の駅舎やプラットホームなどの基礎にあたる遺構が見つかりました。旧新橋停車場には、その遺構をもとに復元したプラットホームがあります。元の長さは約152メートル。復元されたのは、駅舎寄りの25メートル分です。
1991年より行われた発掘調査で、旧新橋駅の駅舎やプラットホームなどの基礎にあたる遺構が見つかりました。旧新橋停車場には、その遺構をもとに復元したプラットホームがあります。元の長さは約152メートル。復元されたのは、駅舎寄りの25メートル分です。

新橋~横浜間

日本最初の鉄道開業区間(新橋~横浜間)。その沿線の様子を順に紹介します。

品川駅南側の様子。鉄道開業当時は単線でしたが、その後、品川~横浜間を結ぶ線路は増え、横須賀線も含めれば6本に。品川付近では、これに山手線や東海道新幹線も加わります。その線路の東側(写真右側)は、高層建築物が肩を並べ、水路や東京湾はそのさらに東に。海に築堤を設け、汽車が走ったというのは、はるか昔話です。
品川駅南側の様子。鉄道開業当時は単線でしたが、その後、品川~横浜間を結ぶ線路は増え、横須賀線も含めれば6本に。品川付近では、これに山手線や東海道新幹線も加わります。その線路の東側(写真右側)は、高層建築物が肩を並べ、水路や東京湾はそのさらに東に。海に築堤を設け、汽車が走ったというのは、はるか昔話です。
多摩川下流部に架かる六郷川橋りょう。鉄道開業時は木橋でしたが、1877年に複線化工事とあわせて、鉄製の橋に架け替えられました。現在の橋りょうは4代目になります。
多摩川下流部に架かる六郷川橋りょう。鉄道開業時は木橋でしたが、1877年に複線化工事とあわせて、鉄製の橋に架け替えられました。現在の橋りょうは4代目になります。
神奈川付近の建設風景。現在の横浜駅付近にあった入江を埋め立てる工事を兼ね、線路が敷かれました。埋立地の造成は、当地で材木や旅館を業としていた高島嘉右衛門が請け負いました。(桜木町駅で展示中のパネル写真より)
神奈川付近の建設風景。現在の横浜駅付近にあった入江を埋め立てる工事を兼ね、線路が敷かれました。埋立地の造成は、当地で材木や旅館を業としていた高島嘉右衛門が請け負いました。(桜木町駅で展示中のパネル写真より)
現在の横浜駅。3代目にあたります。初代横浜駅は、今の桜木町駅で、2代目は市営地下鉄高島町駅付近にありました。現在地に移設されたのは、1928年のことです。
現在の横浜駅。3代目にあたります。初代横浜駅は、今の桜木町駅で、2代目は市営地下鉄高島町駅付近にありました。現在地に移設されたのは、1928年のことです。
横浜駅周辺の俯瞰。左下には、鉄道開業時からの線路用地(現在のJR根岸線)が見えます。この線路の右側は、かつて海が広がっていました。
横浜駅周辺の俯瞰。左下には、鉄道開業時からの線路用地(現在のJR根岸線)が見えます。この線路の右側は、かつて海が広がっていました。

初代横浜駅

初代の横浜駅は、現在のJR桜木町駅にあたります。開業時の駅舎は、1872年5月に完成しました。1887年、横浜駅で折り返す形で、横浜~国府津間が開業。列車はスイッチバックする形での運行となりましたが、スイッチバック解消のため、1898年に短絡線が設けられました。横浜駅はメインルートから外れ、短絡線上に新たに横浜駅(市営地下鉄高島町駅付近)が設置されたことで、駅名も変更。桜木町駅になったのは、1915年のことです。初代駅舎は、1923年の関東大震災で焼失。1927年に再建されました。

現在の桜木町駅。1989年に竣工しました。写真の北改札口は、2014年7月に開設。広場は、東急東横線の桜木町駅の跡地です。
現在の桜木町駅。1989年に竣工しました。写真の北改札口は、2014年7月に開設。広場は、東急東横線の桜木町駅の跡地です。
桜木町駅の南側に建つ「鉄道創業の地 記念碑」。1967年10月13日に設置されました。3つの面を組み合わせた三角柱状の碑で、1つは創業当時の横浜駅の様子、ほかの面には品川~横浜間の仮開業当時の時刻表などが刻まれています。
桜木町駅の南側に建つ「鉄道創業の地 記念碑」。1967年10月13日に設置されました。3つの面を組み合わせた三角柱状の碑で、1つは創業当時の横浜駅の様子、ほかの面には品川~横浜間の仮開業当時の時刻表などが刻まれています。
初代横浜駅に停車する汽車など。この写真は、東横線桜木町駅跡地広場の一角に、解説とともに展示されています。
初代横浜駅に停車する汽車など。この写真は、東横線桜木町駅跡地広場の一角に、解説とともに展示されています。
1887年ごろの横浜停車場。桜木町駅南改札口前の陸橋壁面に、横浜開港資料館所蔵の写真を拡大した複製が掲出されていて、往時の姿をしのぶことができます。駅舎は、旧新橋駅と同じデザインです。
1887年ごろの横浜停車場。桜木町駅南改札口前の陸橋壁面に、横浜開港資料館所蔵の写真を拡大した複製が掲出されていて、往時の姿をしのぶことができます。駅舎は、旧新橋駅と同じデザインです。
桜木町駅構内にある「横浜ステーション蒸気入車之図並 海岸洋船燈明台を眺望す 横浜商館 並ニ 弁天橋図」の複製。駅に汽車が入ってくる様子が描かれています。作者は、浮世絵師の歌川国鶴。原版は、1874年ごろの作です。
桜木町駅構内にある「横浜ステーション蒸気入車之図並 海岸洋船燈明台を眺望す 横浜商館 並ニ 弁天橋図」の複製。駅に汽車が入ってくる様子が描かれています。作者は、浮世絵師の歌川国鶴。原版は、1874年ごろの作です。
桜木町駅外には、鉄道開業にまつわる展示コーナーがあります。本開業当日(1872年10月14日)は、式典列車が走り、車両ごとの乗員乗客などの記録も残っています。明治天皇は、鉄道頭の井上勝らとともに、3号車に乗っていたことがわかります。
桜木町駅外には、鉄道開業にまつわる展示コーナーがあります。本開業当日(1872年10月14日)は、式典列車が走り、車両ごとの乗員乗客などの記録も残っています。明治天皇は、鉄道頭の井上勝らとともに、3号車に乗っていたことがわかります。

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