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北陸新幹線金沢~敦賀間開業

「12階相当」の高さを新幹線が発着! 在来線特急も乗り入れる、新幹線敦賀駅の内部を見る

2024年2月3日(土) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

2月1日、北陸新幹線金沢~敦賀間の延伸開業を前に、延伸区間の試乗会が関係者向けに開催されました。

北陸新幹線の車両
北陸新幹線の車両

北陸新幹線の新たな終着駅となる敦賀駅は、新幹線の延伸に備え、新たな新幹線駅舎が建設され、接続する在来線特急用のホームも設けられました。試乗会当日に見た、新しい敦賀駅の内部をご紹介します。

北陸新幹線の新たな終着駅となる敦賀駅
北陸新幹線の新たな終着駅となる敦賀駅

北陸新幹線の延伸に際し、これまで大阪~金沢・和倉温泉間で運転されてきた「サンダーバード」、名古屋・米原~金沢間で運転されてきた「しらさぎ」は、すべて敦賀駅止まりに変更。福井・金沢方面へは、新幹線との乗り換えが必要となります。これに対応した設備が設けられたのが、敦賀駅の新幹線駅舎部分です。新幹線開業後は、在来線(ハピラインふくいを含む)の普通列車は既存駅のままですが、特急列車はこの新幹線駅舎に発着ホームが変わります。

駅の外観は、敦賀湾の波のきらめきや、飛翔するユリカモメの姿をイメージ。内部は、かつて敦賀港に寄港していた北前船をイメージしたデザインとなっています。新幹線ホームの高さは、一般的なビルでは12階に相当するということで、外から見ると、かなりの高さがあります。

駅東側から見た、敦賀駅の新幹線駅舎
駅東側から見た、敦賀駅の新幹線駅舎
敦賀駅到着直前の列車内から見た車窓。防音壁で下方向はよく見えないのですが、かなりの高さがあります
敦賀駅到着直前の列車内から見た車窓。防音壁で下方向はよく見えないのですが、かなりの高さがあります

新幹線の敦賀駅は、3階が新幹線ホーム、2階がコンコース、1階が「サンダーバード」「しらさぎ」の発着ホームという構造。既存の駅舎とはこ線橋で接続するほか、新幹線駅側にも新たに「東口」が設けられます。

従来の駅と新幹線駅舎を結ぶこ線橋
従来の駅と新幹線駅舎を結ぶこ線橋

コンコースは南北に延びる形で、新幹線駅では国内最長になる全長約200メートルとのこと。中央部には19台の改札機を設置しており、多くの乗り換え客が集中した場合でも、改札がボトルネックとならないよう配慮した形となっています。ちなみに、コンコースの内装も北前船をイメージしており、天井は船の帆がモチーフなのだとか。

新幹線駅舎コンコースの在来線改札内
新幹線駅舎コンコースの在来線改札内
乗り換え改札には19台の改札機を設置
乗り換え改札には19台の改札機を設置

ホームは、新幹線、在来線とも2面4線の構造です。新幹線は11~14番線、在来線は31~34番線となっており、在来線の31・32番線は出発ホーム、33・34番線は到着ホームとしての使用を想定しているようです。

新幹線ホームは、外観やコンコース同様に北前船をイメージ。床面は船の甲板をイメージした木目調となっています。なお、ホームの両端2~3両分については床面のデザインや材質が異なるのですが、こちらは雨や雪が吹き込んだ際を想定した滑り止めのようです。

開放的な新幹線ホーム階。全面が屋根で覆われています
開放的な新幹線ホーム階。全面が屋根で覆われています
船の甲板をイメージした床面
船の甲板をイメージした床面
ホーム両端は床のデザインが異なりました
ホーム両端は床のデザインが異なりました

北陸新幹線の線路は、敦賀駅のすぐ先で途切れており、将来の大阪方への延伸までは、この場所の車止めが線路の終端です。車止めの手前では、敦賀駅南側に建設された車両基地、白山総合車両所敦賀支所へ向かう車庫線が伸びている様子も見られます。

ホーム先端から見た大阪方の車止め
ホーム先端から見た大阪方の車止め
本線から分岐する車庫線も見えます
本線から分岐する車庫線も見えます

在来線ホームは、新幹線ホームよりもシンプルなつくり。この階には待合室などの設備は無いようで(コンコースには在来線側、新幹線側とも1箇所設置)、新幹線に接続する特急の乗り場という機能のみを追求したようです。

1階の在来線ホーム
1階の在来線ホーム
列車名や方面などの案内がない31・32番線
列車名や方面などの案内がない31・32番線
33・34番線は乗車ホームとなるよう
33・34番線は乗車ホームとなるよう
特急列車の乗車位置案内表示器は、33・34番線のみの設置
特急列車の乗車位置案内表示器は、33・34番線のみの設置

新幹線改札内の昇降設備は、ホームへ上がるエスカレーターが各ホームとも4箇所(1箇所は階段併設)、エレベーターは各1基という配置。在来線側では、エスカレーターが各ホーム2箇所、エレベーターが各1基、階段が各1箇所です。

新幹線と在来線の乗り換え駅となる敦賀駅ですが、JR西日本が定めた標準乗り換え時間は8分。開業後のダイヤでも、「サンダーバード」を中心に、接続時間が最短8分と設定されています。一方、1月に実施された新幹線・在来線の乗り換えシミュレーションでは、乗り換えに要する時間が約13分だったということ。少々不安になる結果です。

在来線特急「サンダーバード」
在来線特急「サンダーバード」

JR西日本の広報担当者に聞くと、先のシミュレーションは、「最大で(最悪の場合に)このくらいの時間が必要になる」という結果だということ。利用者が一つのエスカレーターに集中するなど、通常であれば8分の乗り換え時間で問題ないという考えのようです。もちろん、乗り換え時間がダイヤよりも多く掛かってしまった場合でも、「新幹線と在来線特急を1本の列車とみなす」(広報担当者)ため、乗り換えが終わるまで接続先の列車は発車を待つことになります。

また、乗り換えシミュレーションは、在来線側の同じホームに2本の列車が発着するという想定で実施されたといいます。この状態であれば、2列車分の乗客が同じホームの昇降設備に集中することになります。JR西日本では、今後は状況を見つつ、片方の列車の発着ホームを別ホームへ移し、2列車がほぼ同時に到着した場合でも、2ホームの昇降設備をフルに活用することで、混雑緩和を図るといったことも検討しているといいます。

この日に試乗した新幹線は、延伸区間だけであれば快適かつ早く移動できるという印象で、開業後の首都圏~福井県の移動でも同じ感想を抱きそうです。一方、関西圏~北陸(敦賀駅を除く)間の移動では、今後は必ず乗り換えが発生。所要時間は多少短くなるとはいえ、利用者の利便性は低下してしまいます。特に名古屋から北陸へ向かう場合、最速ルートは東海道新幹線と「しらさぎ」を米原駅で乗り継ぐというものですが、北陸新幹線の延伸後は、米原駅で新幹線から「しらさぎ」に乗り換え、約30分乗車した後に敦賀駅で「つるぎ」に乗り換え……と、2度も乗り換えが発生する、慌ただしい移動となってしまいます。

その利便性低下を可能な限り抑えるためには、敦賀駅での乗り換えをスムーズにする必要があるのですが、この敦賀駅の構造上、特に不慣れな利用者が多い繁忙期では、混乱が発生するおそれがあります。開業後、果たして額面通りの乗り換え時間で問題なく機能するのか、JR西日本の対応力が問われています。

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