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どう違う?「キハ100系」「キハ110系」 JR東日本非電化路線のワークホースたち

2024年2月23日(祝) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

JR東日本のキハ100系・110系は、1990年にデビューした一般型のディーゼルカーです。現在定期運用を持つ同社のディーゼルカーではもっとも古い形式ですが、2023年現在も、花輪線や山田線、八高線、飯山線など、東日本の多くの非電化路線で見ることができます。

JR東日本で活躍するディーゼルカー、キハ100・110系グループ
JR東日本で活躍するディーゼルカー、キハ100・110系グループ

東日本エリア非電化路線のワークホースであるこのグループですが、キハ100系・110系と表記したように、同じ設計思想で作られた2つの(大きな)形式名があり、さらにその下にも細かい分類が存在します。これを詳しく見ていきましょう。

キハ100系は、旅客の少ない路線への投入を想定した、16~17メートル級の車体を採用したグループ。エンジン出力は330馬力で、すべて両運転台車として製造されました。細かい分類では、キハ100形0・200番台と、キハ101形が存在。後者は左沢線用の車両で、他のキハ100系・110系グループが白地に緑の塗装を基本としているところ、こちらは白地に水色という専用カラーとなっています。

短めの車体を採用したキハ100系。画像は左沢線用のキハ101形です
短めの車体を採用したキハ100系。画像は左沢線用のキハ101形です

キハ110系は、20メートル級車体と出力420馬力のエンジンを搭載したグループ。両運転台のキハ110形、片運転台でトイレつきのキハ111形、トイレなしのキハ112形の、3つの形式が製造されました。このグループは、普通列車向け(100番台以降)のほか、リクライニングシートを搭載した急行用(0番台)、さらには秋田新幹線建設時の代替輸送列車「秋田リレー号」への投入を目的とした特急用タイプ(300番台)が存在しました。特急用タイプは、秋田リレー号の運転終了後は普通列車用に改造されていますが、2023年現在はJR東日本が唯一新造投入した特急用のディーゼルカーとなっています。普通列車仕様でも、陸羽東線・陸羽西線向けに投入されたグループは他と塗装が異なり、さらに一部車両は窓へ向きを変えられる回転型シートが設置されています。

2010年代に入ると、観光列車用に改造された車両も登場します。2012年には、東北エリアを走る「POKEMON with YOU トレイン」がデビュー。2013年にはレストラン列車「TOHOKU EMOTION」、2015年には飯山線の「おいこっと」、2017年には小海線の「HIGH RAIL 1375」が運転を開始しました。

小海線を走る観光列車「HIGH RAIL 1375」。手前がキハ100系(キハ103形)、奥がキハ110系と、車体長が異なる形式を連結しているユニークな列車です
小海線を走る観光列車「HIGH RAIL 1375」。手前がキハ100系(キハ103形)、奥がキハ110系と、車体長が異なる形式を連結しているユニークな列車です

2024年1月現在、キハ100系・110系は、東日本大震災や山田線脱線事故によるものを除き、廃車は発生していません。すでにデビューから30年以上が経過し、そろそろ置き換えが始まってもおかしくない時期ではありますが、総数300両弱であるこの形式を完全に置き換えるには時間が掛かりそう。ベテラン車両となった今も、両形式の活躍はまだまだ見られそうです。

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