鉄道コム

鉄道コらム

見た目は西武の初代「レッドアロー」、だけど足回りは? 実は「魔改造」な16010形

2024年1月8日(祝) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

西武鉄道の特急列車の歴史は、1969年の西武秩父線開業とともに始まりました。西武の初代特急車両は、「レッドアロー」の愛称を持つ5000系。この形式は既に西武線からは引退していますが、富山地方鉄道に譲渡された車両として、今も現役の姿を見ることができます。

稲荷町駅に入線する16010形(元西武5000系)
稲荷町駅に入線する16010形(元西武5000系)

富山地方鉄道に譲渡された元レッドアローは、16010形という形式。1995年と1996年に、3両編成2本が導入されました。ただしこの形式、車体は西武から譲渡されたことに間違いはありませんが、西武5000系をそのまま譲受した、というわけではありません。

車体こそ西武時代のままな16010形ですが、マスコンなど運転台の一部機器は、なんと京急の旧1000形の廃車発生品。このほか、モーターや主制御器、台車は485系、制動装置(ブレーキ)は営団地下鉄(現:東京メトロ)3000系などと、さまざまな車両の部品を組み合わせて改造されました。仮に今、車体を別のものに載せ替えてしまえば、元はどの形式だったのかわからなくなる状態です。

このように多数の形式の部品を組み合わせる必要があったのは、西武が5000系の走行機器類を10000系「ニューレッドアロー」に流用したため。10000系に置き換えられた5000系ですが、5000系の機器類は西武で有効活用されていたのです。

そんな「魔改造」によって生まれた16010形は、デビューした後、2両編成でも走行可能となるよう追加改造が実施されました。その後、中間車の1両は廃車されてしまいましたが、残りの5両は今も活躍中です。うち3両は、水戸岡鋭治さんがデザインした「アルプスエキスプレス」となり、内装がリニューアルされています。

さらに富山地方鉄道では、西武10000系を譲受のうえ、20020形として、2022年に営業運転を開始しました。現在は、機器流用元である西武5000系と、機器流用先である西武10000系が、ともに関東から遠く離れた富山の地で活躍するという、不思議な状況が生まれています。

富山地方鉄道の16010形(左)と20020形(右)。ともに西武の特急用として製造された車両です
富山地方鉄道の16010形(左)と20020形(右)。ともに西武の特急用として製造された車両です

鉄道コムの最新情報をプッシュ通知でお知らせします無料で受け取りますか?

鉄道コムおすすめ情報

画像

相鉄13000系詳細発表

デザインや一部仕様が明らかに。2026年春デビュー予定の13000系、どこを走る?

画像

江ノ電に新型「700形」導入へ

2006年の500形以来となる新型、2026年度に導入予定。車内のカラーテーマは編成別に3種類。

画像

川口駅に「中電」停車へ

上野東京ラインの川口駅停車に向け、JR東日本と川口市が基本協定を締結。あわせて駅施設も整備。

画像

羽田空港アクセス線の現況は?

2031年度の開業を予定している「羽田空港アクセス線」(仮称)。その工事の現状は?現場の様子をご紹介します。

画像

鉄道動画の撮影・編集のコツ

近年のカメラは、動画撮影機能も超充実! 鉄道カメラマンの助川康史さんが、鉄道動画の撮影のコツや編集方法などをご紹介します。

画像

4月の鉄道イベント一覧

いよいよ新年度。鉄道旅行や撮影の計画は、鉄道コムのイベント情報をどうぞ。