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電車に百貨店に、歌劇団まで経営! 阪急だけでなく鉄道会社全体に影響を与えた「小林一三」

2023年7月17日(祝) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

マルーン色の車体が特徴な阪急電車は、大阪・梅田を起点に、主に京都方面、神戸方面、宝塚方面を結ぶ、主要関西私鉄の一つです。その阪急電鉄の前身となったのが、現在の阪急宝塚線を建設した箕面有馬電気軌道。そして、同社の生みの親とされるのが、1873年生まれの小林一三(いちぞう)です。

宝塚を通る阪急今津線。奥の建物は、宝塚歌劇団の本拠地、宝塚劇場です
宝塚を通る阪急今津線。奥の建物は、宝塚歌劇団の本拠地、宝塚劇場です

小林一三は、当初から鉄道マンだったわけではなく、慶応義塾を卒業した後は銀行に勤めていました。彼が箕面有馬電気軌道に関わったのは、1907年6月のこと。当初は発起人、そして4か月後の10月には専務取締役として、同社の経営に携わるようになります。34歳のときでした。

彼が歴史に名を残すのは、ただ阪急の歴史を作り上げただけでなく、私鉄経営の模範となるビジネスモデルを展開したため。小林一三が手掛けた事業は、現在の東急グループを作り上げた五島慶太など、多くの鉄道事業者やその経営者が参考にしました。

たとえば、駅と直結する百貨店。大阪梅田駅付近には阪急百貨店の旗艦店がありますが、鉄道利用者に百貨店を利用してもらおうと、鉄道事業者自身で百貨店の経営を手掛けるビジネスモデルは、小林一三が考えたものでした。

また、絶大な人気を誇る「宝塚歌劇団」も、小林一三が創設したものでした。鉄道沿線の興行施設整備による利用促進、といった面はもちろんでしたが、もともと小説を書いていたという小林一三自身も歌劇に対する思い入れがあったようで、彼自ら書いた脚本も残されています。

阪急グループのみならず、他の鉄道会社にも大きな影響を与えた小林一三。彼の人生は1957年、享年84歳で幕を閉じました。

2023年は、小林一三の生誕150周年。彼が残した阪急グループは、今もなお関西を中心とした人々を支え続けています。

小林一三の胸像。宝塚劇場の前を通る「花のみち」内にあります
小林一三の胸像。宝塚劇場の前を通る「花のみち」内にあります
 

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