鉄道コムおかげさまで鉄道コムは25周年

鉄道コらム

車両のルーツをたどると開業時の形式に 京阪大津線を走る600形・700形

2023年8月16日(水) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

京阪電気鉄道の路線は、主に京阪間を結ぶ「京阪線」と、主に琵琶湖畔を走る「大津線」の、大きく2つにわけられます。

この大津線に含まれる石山坂本線を走るのは、2両編成の600形と700形。ともに、大津線近代化のため、1980年代から1990年代にかけて「新造」された車両です。しかし、両形式の系譜をたどっていくと、実は京阪が開業時に導入した1型にたどり着くのです。

石山坂本線の600形
石山坂本線の600形

1型は、1910年の京阪線天満橋~五条間開業時に導入された車両。京阪線は、当初は大阪市電との直通運転を予定しており、1型は路面電車然としたスタイルでした。

しかし、大阪市電への直通計画が流れ、また京阪線自身も郊外電車に変化していくと、同社では一般的な電車スタイルの車両を導入することになりました。これが1915年に落成した100型で、70両中46両は、1型の機器を流用して製造されました。さらに100型の一部は、連結運転に対応する改造を受け、200型となっています。

そして戦後、大津線では近代化のため、1957年から260型が導入されました。車体は新造されていますが、足回りは200型のものを流用。中には、1型から使われている米国・ブリル製の台車を履いた車両もいました。

その後、260型の車体を流用して、1979年に500型が登場。これはさらに車体を流用(一部は別形式の300型から流用)する形で、1992年に700形となりました。また、1984年には300型の車体を流用した600形がデビューしていますが、1986年以降の導入分は260型の車体流用となっています。

京阪700形。車体は260型→500型の流用です
京阪700形。車体は260型→500型の流用です

現在の600形と700形は、機器流用→機器流用→車体流用→車体流用という流れを経ているため、1形の部品がそのまま使われているわけではありません。しかし、歴史をたどると100年以上前の車両に行きつくというのは、なかなかにロマンを感じられるのではないでしょうか。

鉄道コムおすすめ情報

画像

東上線に新型車両導入へ

9000系の置き換えに向け、車両の設計を開始。2024年度の東武鉄道鉄道事業設備投資計画で発表。

画像

めでたいでんしゃの「祖先」

7月13日に南海の観光列車「はじまりの『めでたいでんしゃ』」がデビューへ。2000系を改造。

画像

特別仕様車イベント走行

銀座線1000系特別仕様車で実施。車内照明の色味変更や「予備灯」点灯でレトロ感を演出。

画像

西武「2色塗り」復刻

2000系1本を対象に、1961年まで使用のデザインでラッピング。ただし先頭部のみ。

画像

あえて「車両が無い」鉄道写真

鉄道写真は、車両が写っている写真だけではありません。列車以外の鉄道写真の撮り方を、カメラマンの助川さんが解説します。

画像

5月の鉄道イベント一覧

新緑がまぶしい季節となりました。5月のプラン立てには、鉄道コムのイベント情報をどうぞ。