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80~90年代のスポーツカーの象徴「リトラ」 かつては鉄道車両にも

2023年6月17日(土) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

かつて自動車で流行したヘッドライトに、「リトラクタブルヘッドライト」、通称「リトラ」というものがありました。

この「リトラ」は、ボンネットに格納したライトが、点灯時にはせり上がってくるというもの。現在は使われていないものの、かつてはマツダ「RX-7」や日産「180SX」、そしてマンガ「頭文字D」の活躍で知られるトヨタ「スプリンタートレノ」AE86型ハチロクなど、1980~90年代のスポーティな車種に広く採用されました。

トヨタ「MR2」のリトラクタブルヘッドライト((c)R_Yosha- stock.adobe.com)
トヨタ「MR2」のリトラクタブルヘッドライト((c)R_Yosha- stock.adobe.com)

スポーツカー用装備のイメージが強い「リトラ」ですが、かつては鉄道車両で装備していたものもありました。近畿日本鉄道の20000系「楽」です。

「楽」は、1990年11月にデビューした団体専用車両。初代「あおぞら」後継車として開発された2階建て車両です。前照灯は、屋根上の2灯のほか、スカート内部に「リトラ」の補助灯が2灯組み込まれていました。近鉄では、「リトラ」の採用は鉄道車両初であるとしています。残念ながら、2020年のリニューアルによって「リトラ」は廃止され、現在は見ることができません。

リニューアル前の近鉄20000系「楽」。下部の補助灯が「リトラ」でした(karinsamaさんの鉄道コム投稿写真)
リニューアル前の近鉄20000系「楽」。下部の補助灯が「リトラ」でした(karinsamaさんの鉄道コム投稿写真)

また、京成電鉄の2代目「スカイライナー」用車両であるAE100形にも、格納式のヘッドライトが採用されていました。AE100形のデビューは1990年6月で、「楽」よりも若干早い登場でした。しかし、こちらは灯具自体が動いて格納されるわけではないので、「楽」やハチロクのような飛び出る「リトラ」とは、構造が少し異なっています。

先述したように、「楽」の「リトラ」はリニューアルによって消滅。AE100形も2016年に引退しており、現在は本線上で走る姿を見ることはできません。クルマであれば、現在でも旧車オーナーの愛車として時折見ることができますが、鉄道車両の「リトラ」は、既に過去のものとなってしまいました。

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