鉄道コムおかげさまで鉄道コムは25周年

ミラーレス一眼が拓く新たな鉄道写真の世界

デジタルカメラのAFシステムを知る~ミラーレス一眼・一眼レフでAFを使いこなすには・前編~

2021年1月16日(土) 鉄道カメラマン 助川康史

鉄道写真はピント合わせが命

1960年代から1970年代のSLブームの時、沿線にはカメラを構えたレイルファンが多数集まり、黒鉄(くろがね)の勇者を狙う黒山の人だかりができていた。その頃の35mmスチールカメラと言えばマニュアルフォーカス(MF)機構ばかり。皆がファインダーを覗いてピントを手動で合わせていた。

多くのファンが線路際に集まったSLブーム(イメージ)
多くのファンが線路際に集まったSLブーム(イメージ)

私もMF機から鉄道写真を始めた一人だ。当時は開放F値が暗いレンズを使っており、天気が良い日はピント合わせがしやすかったが、曇りや雨、はたまた夜間などはピント合わせが難しく、小学生で技術が無かったとはいえ、今となっては貴重な鉄道シーンでピンボケ写真を量産してしまった苦い思い出も多い。「常に正確なピント合わせができればプロ」と言われるくらい、MF機全盛の時代はピント合わせが難しかったのだ。

SLブームの頃に主流だったMFカメラ
SLブームの頃に主流だったMFカメラ

しかし今はどうだろう。ほとんどのカメラに高性能なオートフォーカス(AF)機構が当然のごとく装備されていて、MF機時代のようなピント合わせの失敗が激減している。特に、動体である走行中の鉄道車両へのピント合わせでは、AFは最大の戦力になる。

だが、それでもピント合わせがうまくいかず、悔しい思いをする人もいるのではないだろうか。それは、まだAFを使いこなしていないのが原因かもしれない。

デジタルカメラになって、多少の露出ミスはレタッチでカバーできるが、ピンボケだけは修正がほとんどできない。鉄道写真撮影はピント合わせが命だ。

ということで今回の「ミラーレス一眼が拓く新たな鉄道写真の世界」は、「ミラーレス一眼・一眼レフでAFを使いこなす」と題して、前編「デジタルカメラのAFシステムを知る」、後編「鉄道写真撮影のシーンによってAFを使い分ける」の全2回にテーマを分けてお話しよう。

AFシステムを理解し、場面によって使い分ければピンボケという初歩的な失敗はかなり減るはず。まさに「機材を知り機会を知れば百『路線』殆(あや)うからず」だ。

ミラーレス一眼カメラと一眼レフの採用AFシステムの違い

残り7095文字/全文:8686文字

この続きはプレミアム会員になるとご覧になれます

プレミアムサービスのご案内 / 会員の方はチェックイン

プレミアム会員の入会はこちらから

今回は、鉄道写真撮影のノウハウよりも、カメラのAFシステムを理解する内容になる。少し難しいかもしれないが、撮影現場での判断が正確になる知識になるので覚えてほしい。さて、本題のAFシステムについて入ろう。AFの測距方式は、赤外線や超音波で測距する「アクティブ方式」と、レンズを通った光を利用して測距する

アンケート

このリポート記事について、よろしければ、あなたの評価を5段階でお聞かせください。

鉄道コムおすすめ情報

画像

京成「3200形」2025年冬登場

京成電鉄の新型車両「3200形」。フレキシブルに変更できる車両で、24年度は6両を導入。

画像

夏臨の185系わずか2列車のみ

2024年夏の臨時列車では、185系の充当列車は「谷川岳もぐら」「谷川岳ループ」のみ。今後どうなるのでしょうか。

画像

デビュー20年超の東急車リニューアルへ

2024年度設備投資計画で発表。3000系以外も対象に?東急広報へ聞きました。

画像

京王に新型「2000系」導入へ

「ラウンド型」のデザインを持つ新型車両。2026年初めに営業運転を開始。

画像

あえて「車両が無い」鉄道写真

鉄道写真は、車両が写っている写真だけではありません。列車以外の鉄道写真の撮り方を、カメラマンの助川さんが解説します。

画像

5月の鉄道イベント一覧

新緑がまぶしい季節となりました。5月のプラン立てには、鉄道コムのイベント情報をどうぞ。

画像

特急「185」投稿写真募集中!

185系による臨時特急「185」。みなさまが撮影した写真を大募集!投稿はこちらから。