鉄道コムおかげさまで鉄道コムは25周年

鉄道コらム

「東海道本線」ではなく「中山道本線」だったかも 日本の大動脈のルートの建設経緯

2022年10月13日(木) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

江戸時代における、江戸と京都を結んだ主要ルートは?と聞かれれば、多くの人が「東海道」と答えるのではないでしょうか。現代人の観点では、東海道新幹線や東名高速道路、そして歌川広重の「東海道五十三次」などのイメージから、東海道がメジャーな印象があります。一方、江戸時代の江戸~京都間を結ぶ主要街道には、もう一つ「中山道」が。そして、東京~京阪神間の鉄道メインルートも、当初は中山道ルートでの建設が検討されていました。

東京~神戸間を結ぶ東海道本線は、「中山道本線」になっていたかも?
東京~神戸間を結ぶ東海道本線は、「中山道本線」になっていたかも?

東海道や甲州街道などとともに「五街道」に数えられていた中山道は、現代も知られる碓氷峠のような難所はあったものの、橋が架けられていない大井川などの東海道の難所を避けられるため、江戸~京都間の移動には、中山道も多く利用されていました。たとえば、江戸幕府14代将軍の徳川家茂に嫁いだ皇女和宮も、京都から江戸への嫁入りの際には中山道を経由しています。

このため、東京~京阪神間の鉄道建設においても、東海道ルートか中山道ルートか、という議論が生まれました。当初は、東海道筋では江戸時代より宿場町が栄えていることに加え、代替輸送手段もあることから、中山道筋での建設が有力視され、実際にこのルートで工事が始まりました。しかし道中には、先述した碓氷峠などの山越えがあり、建設の困難さや開業後のボトルネックの恐れといった課題が生まれました。結果、東京~京阪神間の鉄道は東海道経由での建設に計画が変更され、現在の東海道本線や東海道新幹線へと至っています。

東海道と中山道、現代の東海道新幹線の比較(国土地理院「地理院地図Vector」の淡色地図に加筆)
東海道と中山道、現代の東海道新幹線の比較(国土地理院「地理院地図Vector」の淡色地図に加筆)

とはいえ、東海道本線は江戸時代の東海道を完全にトレースしているわけではなく、かつての東海道に近いルートを通る関西本線・草津線は、現在は東西の主要ルートとしては多く活用されていません。岐阜(加納宿)~京都間では、東海道本線や東海道新幹線はかつての中山道に近い場所を経由しており、この区間では当初計画の中山道ルートが実現したといえます。

鉄道コムおすすめ情報

画像

夏臨の185系はわずか2列車のみ

2024年夏の臨時列車では、185系の充当列車は「谷川岳もぐら」「谷川岳ループ」のみ。今後どうなるのでしょうか。

画像

デビュー20年超の東急車リニューアルへ

2024年度設備投資計画で発表。3000系以外も対象に?東急広報へ聞きました。

画像

近鉄新型の形式名は「8A系」

新型一般車両「8A系」。2024年10月に奈良線・京都線でデビュー。2025年度には名古屋線にも。

画像

「表定速度」日本最速は?

「表定速度」が最も速い列車は? 新幹線と在来線の各列車を見る2024年度版ランキング

画像

あえて「車両が無い」鉄道写真

鉄道写真は、車両が写っている写真だけではありません。列車以外の鉄道写真の撮り方を、カメラマンの助川さんが解説します。

画像

5月の鉄道イベント一覧

新緑がまぶしい季節となりました。5月のプラン立てには、鉄道コムのイベント情報をどうぞ。

画像

特急「185」投稿写真募集中!

185系による臨時特急「185」。みなさまが撮影した写真を大募集!投稿はこちらから。