鉄道コムおかげさまで鉄道コムは25周年

鉄道コらム

前面展望ができない車両は、鉄道会社の「いじわる」?

2022年2月26日(土) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

3月5日に、JR東海の新型車両、315系がいよいよデビューします。ところでこの車両、置き換える211系よりも、乗務員室後ろの窓の面積が小さくなり、前面展望がしづらくなっています。なぜなのでしょうか?

JR東海の新型車両315系
JR東海の新型車両315系

乗務員室後ろの壁は、ただの仕切り壁ではなく、スイッチなどの機器類を設置する場所でもあります。近年の車両では、線路や設備のモニタリング装置、車内Wi-Fiサービス用の機器など、搭載する機器が増加しています。客室内に設置すると定員が減少してしまい、乗務員室の床面積を減らすことも作業効率や安全性などから困難なため、壁面へ機器を配置することに。このため、従来車両では付いていた窓が、新型車両では付いていないケースが増えているのです。

315系の乗務員室内。右が前方で、左側の仕切り壁にはスイッチ類が設置されています
315系の乗務員室内。右が前方で、左側の仕切り壁にはスイッチ類が設置されています
315系同様に窓が減らされた都営5500形の仕切り壁。左側は機器スペースとなっています
315系同様に窓が減らされた都営5500形の仕切り壁。左側は機器スペースとなっています

機器の増加による窓の廃止は、国鉄時代の103系でも同様の現象がありました。当初はATC(自動列車制御装置)非搭載で製造されていた103系ですが、山手線や京浜東北線用でのATC導入用に製造された車両では、ATC機器を設置する都合上、3枚あった仕切り壁窓のうち、扉部分を除く2枚が廃止されてしまいました。

一方、後に登場した205系では、ATCを装備した車両でも仕切り壁に窓を設置していましたが、ATC非搭載で製造された車両では、設置機器が少なくなったことにより、仕切り壁の窓面積が拡大されています。

前面展望ができる窓は、決して事業者のいじわるで減っているわけではありません。近年は面積の縮小が目立ちますが、国鉄時代の例を見ると、将来は再び窓が広がる方向へと、時代は繰り返していくのかもしれません。

関連鉄道リポート

鉄道コムおすすめ情報

画像

京成「3200形」2025年冬登場

京成電鉄の新型車両「3200形」。フレキシブルに変更できる車両で、24年度は6両を導入。

画像

夏臨の185系わずか2列車のみ

2024年夏の臨時列車では、185系の充当列車は「谷川岳もぐら」「谷川岳ループ」のみ。今後どうなるのでしょうか。

画像

デビュー20年超の東急車リニューアルへ

2024年度設備投資計画で発表。3000系以外も対象に?東急広報へ聞きました。

画像

京王に新型「2000系」導入へ

「ラウンド型」のデザインを持つ新型車両。2026年初めに営業運転を開始。

画像

あえて「車両が無い」鉄道写真

鉄道写真は、車両が写っている写真だけではありません。列車以外の鉄道写真の撮り方を、カメラマンの助川さんが解説します。

画像

5月の鉄道イベント一覧

新緑がまぶしい季節となりました。5月のプラン立てには、鉄道コムのイベント情報をどうぞ。

画像

特急「185」投稿写真募集中!

185系による臨時特急「185」。みなさまが撮影した写真を大募集!投稿はこちらから。