イメージに近い雰囲気の写真を撮る

プロ写真家の作品を見ていると、鮮やかな青空を背景に疾走する列車や、新緑に囲まれた田舎の駅など、自分が撮った写真よりも色が深く鮮やかな写真を目にすることがある。このような写真は、写真家の豊富な撮影経験によって導き出された、カメラ設定の微妙な調整による表現だ。同じようなイメージの写真を撮ってみたいが、カメラの設定が苦手で思い通りの調整がイマイチうまくできないという悩みを抱えている人もいるだろう。しかし、EOS 60Dの『表現セレクト』機能を使えば、カメラが撮影者の思い描く表現にマッチしたカメラ設定に調整してくれるので、初心者でもプロのような表現力豊かな写真を撮ることができる。

くっきり鮮やかに」という設定では、シャープネスが効いて、写真全体のエッジが立ち、色が鮮やかに表現される。例えばステンレス車体の新系列電車などはステンレスの金属感がより引き立たされ、帯の色も鮮やかになるため、印象的な写真を作ることができる。
全体的にトーンを落とし、構造物や静態展示のの車輌撮るなら「しっとり深みのある」設定がお勧めだ。被写体のディテールが強調されるため、塗装や形状がしっかりと写る。他にも夜間で全体を暗めに撮って夜の雰囲気を出したい場合にも使える設定だ。
夕暮れ時などコントラストや色がハッキリ出すぎてしまう場合には、「ふんわりやわらかく」の設定を使ってみてはどうだろうか?この設定を使うことでコントラストが落ち、被写体を強調せずに全体を柔らかい絵に仕上げてくれるため、ディテールよりも写真全体を印象的に仕上げたいときに使える。
一見すると、昭和に撮影した写真になるのが、「モノクロ」だ。アートフィルターにも「ラフモノクロ」があるが、こちらはざらつきはなく、繊細なトーンで仕上げてくれる。なお、白黒、セピア、青系と3つの色から選ぶことができる。作例は「セピア」を使用。

撮った写真で遊んでみる

鉄道写真と言えば、カラーかモノクロの作品を撮ってそのままプリントするかブログなどに掲載するのが一般的だ。そんな日常に飽きたら普段とはちょっと違う表現をしてみるのも面白いものだ。それができるのが EOS 60Dのアートフィルター機能だ。実際に作例を見てみよう。

ジオラマ風JR 御茶ノ水駅を横切る聖橋から撮影したもの。もちろん、実物の写真だが、Nゲージのジオラマのような錯覚に陥ってしまう。なお、ピントを合わせる部分は任意に選択することができるため、奥の総武線にピントを合わせた写真を作ることもできる。
トイカメラ風写真は周辺の光量が落ち、やや黄色に色かぶりしているが、両方が上手くマッチして、レトロな味わいの深い写真となっている。被写体は2006年に登場した新鋭の東京メトロ 10000系だが、なんだか昔の流線型デザインにも見えてくるから不思議だ。
ラフモノクロコントラストがハッキリとし、ザラザラとしたざらつきがある。昔のモノクロ写真ではこのような表現をするモノもあり、それを再現したのがこのラフモノクロだ。作例のようなSLやゴツゴツとした貨物列車などに使うと効果的だろう。

これらの写真は今まではPCのフォトレタッチソフトでないと作ることができなかったが、EOS 60Dであれば、カメラの操作だけで簡単に作ることができる。もちろん、PCの操作やレタッチは必要ない。これにより、誰でも多彩な表現を簡単に使いこなすことができる。

シーンによって使い分けると面白い!マルチアスペクト機能

現在のデジタル一眼レフカメラは基本的に3:2の縦横比率だ。これは35mmフィルムの比率を踏襲しているからだが、デジタルの時代になって、この比率の束縛はなくなり、縦横比を変えて表現の変化を気軽に楽しめるようになった。そのためEOS 60Dでは、液晶を使ったライブビュー撮影で、3:2の他に4:3、16:9、1:1といった比率を使うことができる。

  • 例えば、普通に3:2で機関車を撮ると、どうしても上下に空間ができてしまう。
  • しかし、16:9の比率を使えば、画面いっぱいに機関車を入れることができる。また、16:9はフルハイビジョン映像の比率と同じであり、動画に入れる素材を撮るのにも使える。
  • 円形のヘッドマークは1:1で撮るとピッタリ写真内にはまって格好いい。

コラム:駅から気軽に行ける撮影地 第1回

聖橋の橋上(お茶の水)

橋の上からは中央線と総武緩行線の分岐、丸ノ内線が一望できる有名なスポット。特に総武緩行線の巨大な鉄橋や一瞬だけ顔を出す丸ノ内線が通る様子は見ていて飽きない。
ベストな撮影タイミングは丸ノ内線の池袋方面行きがトンネルから顔を出した瞬間に、総武緩行線の列車が鉄橋を渡るか、中央線の東京行きが御茶ノ水から出発した瞬間だ。3線の列車が揃うタイミングは意外と難しい。
午後からが順光となる。
■お勧めレンズ:広角~標準
■JR東日本 御茶ノ水駅 聖橋口より徒歩約30秒地図

田端運転所付近

田端駅より尾久方向に車道に沿って歩くと、踏切が見えてくる。そこがJR東日本とJR貨物の機関車の駐機場となっている。2010年9月現在、新系列電気機関車が増えていく現状でもEF65やEF81、EF64など、国鉄型電気機関車を間近で見られる場所。希にロイヤルエンジンのEF81 81号機や、レインボーカラーのEF65、EF81などを見ることができる。
午前中は順光だが、午後は逆光になるため撮影できる時間は限られる。付近を通る道路は車の通行が多いため、路上駐車したり車道に三脚を立てて撮影するなどの行為は間違ってもしないように。
■お勧めレンズ:広角~標準
■JR東日本 田端駅より徒歩 約10分地図

水上駅周辺

水上駅から出て、渋川方面に線路に沿って降りていく車道があり、そこから水上駅を発着する列車が撮影できる。午後に順光になるため、D51 498で運用される「SLみなかみ」の上り列車の発車時刻にはちょうど順光となる。また、発車時の煙も期待できる。有名な撮影ポイントだけに人では多い。水上駅が近いため、後続列車で「SLみなかみ」を追いかけることも可能だ。(2010年9月現在のダイヤ)
車が近くを通るので、撮影の際には十分に注意して欲しい。
■お勧めレンズ:広角~標準
■JR東日本 水上駅より徒歩約5分地図

【!撮影時の注意!】

  • 立ち入りを禁止されている場所に無断で入らないようにしてください。
  • 車道の近くなどでは、車や通行者に注意し、通行の妨げにならないようにしてください。
  • ゴミは必ず自分で持ち帰りましょう。
  • 撮影地が混んでいる場合にはお互いに譲り合って撮影しましょう。
列車写真のプロから学ぶ撮影テクニック この一眼レフから始めたい。 EOS 60D登場 趣味なら、本気で。公開中!

有効画素数
約1800万画素 CMOSセンサー
連続撮影速度
最高約5.3コマ/秒
撮影可能アスペクト比
3:2、4:3、16:9、1:1
動画撮影機能
フルHD(最高1920×1080 30p)対応
MPEG・4 AVC/H.264
液晶モニター
バリアングル機能搭載
ワイド3.0型(3:2)/約104万ドット
ピクチャースタイル
スタンダード、ポートレート、風景、ニュートラル、忠実設定、モノクロ、ユーザー設定1~3
アートフィルター機能
ラフモノクロ、ソフトフォーカス、トイカメラ風、ジオラマ風
サイズ/重量
144.5(幅)×105.8(高さ)×78.6(奥行き)mm/約755g
ラインナップ
EOS 60D・ボディ
EOS 60D・EF-S18-135 IS レンズキット
EOS 60D・EF-S18-55 IS レンズキット

作例2

使用機材
Canon EOS 60D・EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS
583系仙台車 団体臨時
市川大野駅にて撮影
撮影モード絞り優先
焦点距離52.0mm
シャッター速度2.5秒
絞り数値f10
ISO感度200
AFモードAIフォーカス
E26系+EF510 寝台特急〈カシオペア〉
上野駅にて撮影
撮影モード絞り優先
焦点距離87.0mm
シャッター速度1/125秒
絞り数値f8
ISO感度2500
AFモードAIサーボ
EF65 1000番代
田端運転所付近にて撮影
撮影モード絞り優先
焦点距離69.0mm
シャッター速度1/200秒
絞り数値f10
ISO感度200
AFモードAIフォーカス

【動画作例】

中央線201系

※ストリーミング用に変換されているため実際画質とは異なります。回線が高速な場合は1080p設定でご覧ください。

APS-Cサイズの大型センサーとそれに最適化されたレンズで撮影した動画は、現在販売されている民生用ビデオカメラよりも遙かに細かく鮮明に撮ることができる。