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車体更新で誕生 生まれ変わった鉄道車両たち

2020年5月9日(土) 鉄道コムスタッフ

列車の廃止などで鉄道車両に余剰が発生することはよくありますが、中には車体や足回り機器など、まだまだ使える部分が残っていることもあります。そこで鉄道事業者では、旧型車の車体や機器類を再利用し、別形式へと改造するという手法を取ることがあります。

そのような、改造によってかつての姿から生まれ変わった車両たちをご紹介します。

観光特急からビジネス特急へ転身

東武鉄道が伊勢崎線などで運行している特急「りょうもう」。この列車で使用されている200系は、かつて日光線特急「きぬ」「けごん」に使用されていた1700系・1720系の機器を流用して誕生した車両です。

「りょうもう」用の200系
「りょうもう」用の200系

1980年代の後半、当時は急行だった「りょうもう」の速度向上による所要時間短縮が計画されていましたが、1969年から使用されてきた先代車両の1800系は、既にその性能をフルに発揮している状態で、さらなるスピードアップは困難でした。また、座席などの車内設備も急行用となっており、将来の特急格上げに向けた接客設備のグレードアップも求められていました。

そこで1991年にりょうもう用としてデビューしたのが200系です。車体はスタイリッシュな流線形で、車内設備もリクライニング機能付きの座席になるなど、1800系よりも大幅に進化。一方で、台車や制御機器などの足回りは、当時100系「スペーシア」の投入によって置き換えられつつあった1700系・1720系のものを流用して製作されました。車籍も引き継がれており、200系は1700系・1720系の改造によって生まれた車両という扱いになっています。

200系に機器を提供した1720系。東武博物館に先頭部が保存されています
200系に機器を提供した1720系。東武博物館に先頭部が保存されています

後年、200系のさらなる増備が計画されましたが、1700系・1720系は既に全編成が200系に改造されており、種車が無い状態でした。そのため、増備編成は全て新品の機器を搭載した250系として竣工しました。外観は200系と同じですが、足回りは当時製造されていた30000系と同じ、VVVFインバータ制御装置を搭載した別形式となっています。

なお、200系の基になった1700系も、形式は変わっていないものの、製造時と末期で外観が大きく変わった車両です。

1950年代には東武鉄道と国鉄が首都圏~日光間で激しい競争を繰り広げており、1700系は国鉄の新型車両導入に対抗して1956年に投入されました。しかし、1959年に国鉄が日光線準急に157系を投入したことで形成が逆転。これに対抗すべく、東武鉄道は1720系「デラックスロマンスカー(DRC)」を投入し、1700系に代わる日光線の看板車両として運行しました。

わずか4年で看板車両の座を退いた1700系は、さまざまな設備改良を続けたものの、1720系とのサービス格差は依然開いていたため、1971年から1972年にかけて車体を載せ替え、1720系と同じ外観となりました。後に床下機器類も更新しており、200系に流用される直前には1720系と同等性能を持つ形式となっていました。

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