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バスなのに「鉄道」 引退迫る関電トロリーバスに迫る

2018年7月11日(水) 鉄道コムスタッフ

トンネルを抜けた先の黒部ダム

ちょっとした運動にもなりそうな階段を登ると、大迫力の黒部ダムが姿を現わします。アーチ式のコンクリート製ダムは、高さ186メートル、堤頂幅492メートルと大スケール。なみなみと湛えられたダム湖の黒部湖ともども、来訪客を圧倒します。なお、黒部ダムといえば放流する姿をイメージする方も多いですが、この「観光放流」は6月下旬から10月中旬までと期間が定めれているもの。来訪日は、残念ながら観光放流が開始される前で、毎秒10立法メートル~15立法メートルという大量の水が噴出する様子を見ることはできませんでした。

大迫力の黒部ダム。この日は観光放流を実施していませんでした
大迫力の黒部ダム。この日は観光放流を実施していませんでした

急峻な黒部渓谷にそびえる黒部ダムは、関電トンネルに匹敵する難工事となりました。取水口付近の慰霊碑や、両岸に今も残るクレーンの基礎、工事で使用された巨大なバケットなどが、当時の激しい工事を今に伝えてくれます。

右岸に設置された慰霊碑。工事では、171人の作業員が殉職しています
右岸に設置された慰霊碑。工事では、171人の作業員が殉職しています
両岸に残るクレーンの基礎
両岸に残るクレーンの基礎
展望台脇に展示されるバケット。工事では、このバケットをクレーンに吊るし、ダムの堤体となるコンクリートを運びました
展望台脇に展示されるバケット。工事では、このバケットをクレーンに吊るし、ダムの堤体となるコンクリートを運びました

黒部ダムとセットで建設された黒部川第四発電所は、この黒部ダムの下流約10キロメートルの地点に設けられています。ダム湖の取水口から導水路に入った黒部川の水は、有効落差545.5メートルの勾配を下り、発電所で最大335,000キロワットの電力を生み出します。この発電所は通常非公開ですが、春から秋にかけて開催される「黒部ルート見学会」に当選すれば、黒部渓谷鉄道の専用鉄道区間である「上部軌道」やインクラインと共に、巨大な発電所の発電機室を見学することが可能です。

黒部湖右岸の取水口。発電所は地下にあるため、通常は目にすることはできません
黒部湖右岸の取水口。発電所は地下にあるため、通常は目にすることはできません
通常のアルペンルート来訪者は、黒部ダムの堤体上を経由し、黒部ケーブルカーの黒部湖駅へと進むことになります
通常のアルペンルート来訪者は、黒部ダムの堤体上を経由し、黒部ケーブルカーの黒部湖駅へと進むことになります

他にも見どころ満載、立山黒部アルペンルート

さて、ここまで関電トロリーバスや黒部ダムを紹介してきましたが、立山黒部アルペンルートの魅力はこれだけではありません。雄大な自然のほか、いくつもの乗り物を乗り継ぐルートは、ファンにもたまらない道のりです。

黒部湖~黒部平間を結ぶ黒部ケーブルカー。全区間がトンネル内にあるのが特徴です。2017年には、日本のケーブルカーで初となるホームドアが、黒部平駅に設置されました
黒部湖~黒部平間を結ぶ黒部ケーブルカー。全区間がトンネル内にあるのが特徴です。2017年には、日本のケーブルカーで初となるホームドアが、黒部平駅に設置されました
黒部平~大観峰間の立山ロープウェイ。景観保護や雪崩被害防止のため、支柱が1本もありません
黒部平~大観峰間の立山ロープウェイ。景観保護や雪崩被害防止のため、支柱が1本もありません
アルペンルート中のもう1つのトロリーバス、立山トンネルトロリーバス。関電トンネルと異なり、全区間がトンネル内となっています。車両は関電トンネルと同じ大阪車輌工業製で、類似点も多く見受けられます
アルペンルート中のもう1つのトロリーバス、立山トンネルトロリーバス。関電トンネルと異なり、全区間がトンネル内となっています。車両は関電トンネルと同じ大阪車輌工業製で、類似点も多く見受けられます
室堂~美女平間を結ぶ立山高原バス。室堂付近では、雪の切り通し「雪の大谷」を通るイベントが4月~6月に開催されます
室堂~美女平間を結ぶ立山高原バス。室堂付近では、雪の切り通し「雪の大谷」を通るイベントが4月~6月に開催されます
美女平~立山間の立山ケーブルカー。一般的な客車に加え、山下側に貨車を連結して走ることも
美女平~立山間の立山ケーブルカー。一般的な客車に加え、山下側に貨車を連結して走ることも
立山へのアクセス路線として、アルペンルートに含まれることもある富山地方鉄道。富山と立山の間を1時間で結びます。自社発注車両のほか、京阪や西武、東急から譲渡された車両など、形式のバラエティが豊富です
立山へのアクセス路線として、アルペンルートに含まれることもある富山地方鉄道。富山と立山の間を1時間で結びます。自社発注車両のほか、京阪や西武、東急から譲渡された車両など、形式のバラエティが豊富です
アルペンルートには含まれませんが、立山駅付近では国土交通省の立山砂防軌道を見ることができます。常願寺川の砂防工事用トロッコで、途中には計38段ものスイッチバックがあります
アルペンルートには含まれませんが、立山駅付近では国土交通省の立山砂防軌道を見ることができます。常願寺川の砂防工事用トロッコで、途中には計38段ものスイッチバックがあります

雄大な自然や息をのむ迫力の黒部ダム、そして数々の乗り物など、立山黒部アルペンルートには魅力が満載。トロバスラストイヤーを迎える今年の夏、黒部へ出向いてみるのはいかがでしょうか。

昼食には、黒部ダム脇のレストハウスで提供される「黒部ダムカレー」がオススメです
昼食には、黒部ダム脇のレストハウスで提供される「黒部ダムカレー」がオススメです
 

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