鉄道コムおかげさまで鉄道コムは25周年

鉄道コらム

昔は地味だったのに「下克上」果たした列車 新幹線で大躍進した「みずほ」

2023年11月16日(木) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

博多駅と鹿児島中央駅を結ぶ九州新幹線では、「みずほ」「さくら」「つばめ」の3つの列車が運転されています。いずれも国鉄時代に登場した伝統ある列車名で、「つばめ」は2004年の新八代~鹿児島中央間部分開業時、「みずほ」「さくら」は2011年の全線開業時に新幹線列車として運転を開始しました。

「みずほ」に使われるN700系
「みずほ」に使われるN700系

山陽・九州新幹線の直通列車としては最上位の「みずほ」ですが、列車の名称が発表された際、一部からは批判の声が上がっていました。かつての「みずほ」は、「さくら」「つばめ」よりも存在感が薄い、「地味」だという印象を持つ列車だったためでした。

1994年に廃止されたかつての「みずほ」は、廃止時点では東京~熊本間を走る寝台特急列車でした。東京~九州間の寝台特急では、「富士」「はやぶさ」「さくら」が主力格として運転されており、「みずほ」はこれら列車を補完するような立場でした。

これが一転、「みずほ」という名称は、九州新幹線の最速達列車として、「さくら」よりも上位の列車となりました。名称が発表された当時は、「格が劣る」といった鉄道ファンらの批判のほか、寝台特急時代は熊本駅止まりだったことがあり、鹿児島県知事からも否定的なコメントが出されたほどでした。「さくら」は公募で名称が決まった一方、「みずほ」はJR九州の社内で決められた名称であることも、批判的な思いを抱く材料となったようです。

とはいえ、九州新幹線全線開業から10年以上が経過した今、本数が多い「さくら」の存在感はある一方、「最速達新幹線『みずほ』」という立ち位置も、利用者には定着してきたのではないでしょうか。

「みずほ」(瑞穂)という名称は、「みずみずしい稲の穂」を表しており、実り豊かな国、日本を意味する「瑞穂の国」にも通じるものです。さらに、同じ区間を走る「さくら」は、日本を代表する花である桜が由来。伝統やかつての格を考えなければ、この組み合わせは実に自然な気がしてきます。

桜が咲く地を駆ける九州新幹線
桜が咲く地を駆ける九州新幹線

鉄道コムおすすめ情報

画像

西武「NRE」置き換えへ

2026年度にも新宿線の有料着席サービスを刷新。10000系「ニューレッドアロー」は置き換えへ。

画像

「表定速度」日本最速は?

「表定速度」が最も速い列車は? 新幹線と在来線の各列車を見る2024年度版ランキング

画像

東横線にも「新幹線」登場

東急車と東海道新幹線のコラボラッピング。目黒線用に続き、東横線用の5050系も登場。

画像

南砂町駅新ホームを見る

5月13日に供用開始となる、東西線南砂町駅の新ホーム。報道公開で見た様子をご紹介します。

画像

あえて「車両が無い」鉄道写真

鉄道写真は、車両が写っている写真だけではありません。列車以外の鉄道写真の撮り方を、カメラマンの助川さんが解説します。

画像

5月の鉄道イベント一覧

新緑がまぶしい季節となりました。5月のプラン立てには、鉄道コムのイベント情報をどうぞ。