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路面電車でポイントを切り替えるのは、実は電車自身 「架線」に隠されたその仕組みとは

2023年6月10日(土) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

電車が進路を変える時に使うのが、分岐器(ポイント)です。かつてはポイントの切り替えは人力でしたが、現代のJRや大手私鉄では、そのほとんどが電動化されており、ダイヤに従って自動で切り替えるシステムも多数採用されています。

一方で、路面電車の場合は、電車自身が切り替える方法が一般的。どのような方法となっているのでしょうか。

路面電車の路線上の分岐点。ポイントを切り替える方法とは?
路面電車の路線上の分岐点。ポイントを切り替える方法とは?

路面電車のポイント切り替えの秘密は、架線にあります。多くの路面電車では、分岐点手前の架線に「トロリーコンタクター」というスイッチを設置しており、パンタグラフがこれを「叩く」ことで、ポイントを切り替えているのです。

パンタグラフがトロリーコンタクターを「叩いた」瞬間
パンタグラフがトロリーコンタクターを「叩いた」瞬間

このトロリーコンタクターを用いたポイント切り替え方法は、大きくわけて2つあります。一つは、2つのトロリーコンタクターを設置し、両者を叩く間隔でポイントを切り替えるというもの。たとえば、10秒以内に2点間を通過すれば直進、11秒以上掛けて通過すれば分岐、という形です。こちらは広島電鉄や伊予鉄道などが採用しています。

もう一つは、タイミングにあわせてトロリーコンタクターを叩くことで、分岐方法が固定されるというもの。分岐点の信号機付近に「直進」「右折」といった表示が交互に表示される灯火があり、進みたい方向の表示が点灯している間に進むことで、進路が決まります。函館市電や長崎電気軌道などは、この方式を採用しています。

ちなみに、現代ではこのように進路決定は半自動化されていますが、かつては地上係員が手動で操作していました。このために設けられた「操車塔」は、現在ではその役目を終えていますが、函館や広島、鹿児島などで、今も往時の外観のまま残されています。

現在も残る函館市電の操車塔(右)
現在も残る函館市電の操車塔(右)

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