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アレっ、球切れ? 実は色々、鉄道車両のライト

2021年6月23日(水) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

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まず、上の写真をご覧ください。向かって右下のライトが消えているのがおわかりでしょうか? 他のライトは点いているのに、球切れ? いいえ、実はこれにも意味があるのです。

鉄道車両の「顔」に装備されるライトは、大きく3つに分けられます。1つ目が「前照灯」、いわゆるヘッドライト。この前照灯、日本では正式には「前部標識」という、進行方向を示す「標識」の扱いとなっています。そのため、自動車では前方を照らす範囲や明るさの基準が定められていますが、鉄道の場合では「点灯していれば良い」という扱いとなっており、その明るさは規定されていません。一部の私鉄では、日中には前照灯を消灯していることもあります。

2つ目のライトとして挙げられるのが「尾灯」、いわゆるテールライト。こちらも正式には「後部標識」と呼ばれる標識の扱いです。そのため、貨物列車などではライトに代えて赤色の反射板を装着している例も多く見受けられます。

そして3つ目が「通過標識灯」。鉄道事業者によっては「急行灯」などとも呼ばれています。この標識灯の役割は、列車種別を識別できるようにすること。このライトが点灯していれば特急列車などの優等列車、消灯していれば各駅停車と、遠方からも確認できるようにするための装備です。この標識灯を設置している車両はほとんどが大手してつのもので、JR各社やその前身の国鉄での装備例はわずかです。また、このライトは通信設備が充実していない時代に考案されたもので、無線や列車運行システムが整備されてからはその必要性が薄れました。現在では、設置や日中点灯を取り止めた事業者も増えています。

また、これら3つのライト以外にも、濃霧などの視界不良時に使用される「フォグランプ」を搭載した車両も存在します。

さて、最初の疑問に戻りましょう。関東やその他の私鉄各社では、優等列車は通過標識灯を点灯、各駅停車は消灯、といった2パターンが標準的です。しかしながら、写真の近畿日本鉄道を始めとする関西大手私鉄各社では、標識灯を向かって右側・左側だけ点灯というパターンを組み込み、合計4パターンで種別を表しています。点灯パターンは事業者によって異なりますが、近畿日本鉄道の場合、向かって左側の点灯で準急・区間準急、右側の点灯で急行・区間急行、両側の点灯で快速急行以上の各種別となっています。

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