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イーロン・マスクが鉄道の「衛星電話」事情も変える? 2024年、auのスマホがSpaceXと「直接通信」可能に

2023年9月1日(金) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

KDDIと、イーロン・マスク氏が代表を務めるSpaceXは8月30日、SpaceXが打ち上げた「Starlink」衛星群とauのスマートフォンが直接通信できるサービスを、2024年にも開始すると発表しました。特別な装備は必要なく、現行のほとんどのスマートフォンがそのまま対応できるということ。まずはSMSのサービスを、2025年には音声通話とデータ通信のサービス提供を開始するとしています。

衛星電話用の装備を搭載する、JR東日本の秋田エリア向けGV-E400系
衛星電話用の装備を搭載する、JR東日本の秋田エリア向けGV-E400系

衛星電話のサービスは、現在でもNTTドコモやKDDI、ソフトバンクなどが提供しています。しかし、これらのサービスは、利用には専用の端末の導入が必要でした。今回発表されたStarlink衛星との接続サービスは、特別な装備が必要ないという点で、既存サービスと異なる大きなメリットがあります。

空が開けていればどこでも通信できる衛星電話は、携帯電話の電波が届かない山間部のユーザーや、災害発生時の通信が必要となる事業者など、主に法人向けとして広く提供されています。鉄道業界もその一つ。災害発生時用の通信手段としてのほか、JR東日本の津軽線(中小国~三厩間)や只見線などでは、列車と指令の通信に用いる「列車無線」の代わりとして、衛星電話を採用しています。

これらの路線向けの車両を見てみると、車両上部に衛星通信用のアンテナが設置されています。只見線などの独特の装備となっているアンテナですが、やはりこのような専用の装備を搭載する必要があるのは、手間もコストも掛かります。

津軽線用にGV-E400系が装備する衛星電話アンテナ
津軽線用にGV-E400系が装備する衛星電話アンテナ

auのサービスは、その詳細はまだ発表されておらず、料金、通信品質といった面で、既存の衛星電話に太刀打ちできるかは不明です。しかし、専用アンテナの設置が不要となり、安定した通信が手軽な価格で利用できるのであれば、乗務員に持たせる業務用携帯電話を衛星電話用装備と兼ねることができます。鉄道業界だけでなく、衛星電話ユーザー全体への福音となるかもしれません。

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