船を使ってショートカット! 鉄道とあわせて使いたいフェリー

2018年8月17日(金) 鉄道コムスタッフ

全国のJR線で普通列車が乗り放題となる青春18きっぷ。国鉄末期の発売開始以来、昔も今も変わらず老若男女に根強い人気を誇るきっぷです。

しかしながら、青春18きっぷを取り巻く環境はここ数年で大きく変化しました。新幹線開業にともなう並行在来線移管で利用可能路線が減ったこと、さらに、指定席料金のみで乗車でき、時間も効率的に使えるとして人気を博した夜行快速列車が次々と廃止されたことが、青春18きっぷ利用時のハードルを上げています。夜行快速列車は2018年現在、東海道本線の「ムーンライトながら」と中央本線の「ムーンライト信州」の臨時列車2系統のみ。「ムーンライトえちご」や「ムーンライト九州」など、かつて北日本や九州方面への利用客に愛用された列車は、廃止されて久しくなりました。

ここで、他の交通機関に目を向けてみるのはいかがでしょうか。もちろん青春18きっぷは利用できませんが、夜間に寝ながら移動できるのは、大きなアドバンテージとなります。

今回鉄道コムスタッフがお勧めするのは、日本各地で運航される中長距離カーフェリーです。四方を海に囲まれた日本では、貨物自動車とともに旅客を運べるカーフェリーが多数就航しています。近年は他交通機関との競争も激しく、対抗策としてそのサービスレベルは上昇するばかり。下級の客室ならばホテルよりも安く、寝ながら移動できるとあって、人気を集めています。

青春18きっぷユーザーにとって助け舟となる、魅力あふれるカーフェリーを、モデルルートとあわせてご紹介します。

かつての青函連絡船の足跡を辿る、津軽海峡フェリー

かつて青函連絡船が就航していた函館~青森間。現在は北海道新幹線や津軽海峡線がこの区間を結んでいますが、両線が経由する青函トンネルは鉄道専用で、自動車の往来はできません。この津軽海峡をまたぐ需要に応えるため就航しているのが、 津軽海峡フェリーです。

函館と青森を結ぶ津軽海峡フェリー(提供:津軽海峡フェリー)
函館と青森を結ぶ津軽海峡フェリー(提供:津軽海峡フェリー)

津軽海峡フェリーが就航する函館~青森間の航路、通称「津軽海峡ロード」はで、1日8往復が運航されています。函館0:40発や青森2:40発など、深夜に出港する便も運航しており、これを活用すれば行動範囲が広がります。就航する船舶4隻のうち、3隻はこの5年以内の就航、残りの1隻も8年前にリニューアルを受けており、快適性は折り紙つきです。

津軽海峡ロードの就航船のうち、「ブルーハピネス」「ブルードルフィン」「ブルーマーメイド」の3隻は、「スイート」「コンフォート」「スタンダード」「ビューシート」の4等制。「ブルードルフィン2」のみ、「プレミア」「スイート」「ファースト」「コンフォート」「スタンダード」の5等制となります。このうち、コンフォートとスタンダードが大広間タイプの船室。移動中に横になり、体を休めることができます。また、ブルードルフィン2以外の3隻に設定されるビューシートは、操舵室の直下に設置された展望性に優れた座席。進行方向を向いたリクライニングシートが設置してあり、船長と同じような独特の視点で航海を楽しむことができます。なお、夜間は航海の妨げとなるため、ビューシートから展望はできないのでご注意を。

コンフォート(提供:津軽海峡フェリー)
コンフォート(提供:津軽海峡フェリー)
スタンダード(提供:津軽海峡フェリー)
スタンダード(提供:津軽海峡フェリー)
ビューシート(提供:津軽海峡フェリー)
ビューシート(提供:津軽海峡フェリー)

乗船ターミナルは、函館、青森ともに駅からは離れた駅に設置されているので注意が必要です。函館フェリーターミナルは、函館駅からバスで約30分、道南いさりび鉄道の七重浜駅から徒歩で約20分です。青森フェリーターミナルへは、青森駅からバスで約15分、新青森駅からバスで約10分。徒歩の場合は、青森駅から約45分、新青森駅から約40分です。

函館フェリーターミナル(提供:津軽海峡フェリー)
函館フェリーターミナル(提供:津軽海峡フェリー)
青森フェリーターミナル(提供:津軽海峡フェリー)
青森フェリーターミナル(提供:津軽海峡フェリー)

8往復が運行される津軽海峡ロード。日中便も利便性は高いですが、鉄道とあわせて使う際にもっとも効果を発揮するのは、夜行便ではないでしょうか。2018年8月現在のダイヤでは、函館0:30発~青森4:10着、青森2:40発~函館6:20着の2便が、船内で夜を過ごすのに使いやすい時間設定です。

首都圏から青春18きっぷで北海道方面へ移動する場合、上野駅を5:13に出発する高崎線の始発列車に乗車し、高崎線~上越線~信越本線~羽越本線~奥羽本線と経由すると、青森駅に22:52に到着します。この先も普通列車のみで移動する場合、翌日6:15発の津軽線まで待つ必要がありますが、津軽海峡ロードを使用すればほぼ同時刻に函館に到着している、というのは大きなアドバンテージでしょう。

津軽海峡ロードの所要時間は約3時間40分と、北海道新幹線の新青森~新函館北斗間の約1時間とは大きな差があります。しかしながら、青春18きっぷ縛りでの函館~青森間の移動では、2300円の「北海道新幹線オプション券」の購入が必須。さらに、オプション券での乗車可能区間の入り口となる奥津軽いまべつ駅は、およそ2時間おきに7往復が停車するのみの駅。奥津軽いまべつ駅の接続駅である津軽線の津軽二股駅も列車本数が少ないとあって、利便性がいいとは言えません。この点、青春18きっぷは使えないものの、本数が多い津軽海峡ロードを利用すれば、旅のプランニングの選択肢は広がるでしょう。

運航時間
1日あたり8往復 24時間運航
所要時間
函館港~青森港 3時間20分~40分
運賃
スタンダード:2,220円~
ビューシート:2,750円~
コンフォート:3,290円~
主な割引:インターネット予約割引、学生割引、往復割引

日本海側の移動に最適!新日本海フェリー

北陸本線や羽越本線などからなる日本海縦貫線は貨物列車の大動脈ですが、この区間で競合しているのが、舞鶴や敦賀、新潟と北海道を結ぶ新日本海フェリーです。日本最大かつ大型船では日本最速のカーフェリーが舞鶴~小樽間を約21時間で結ぶなど、特徴が多い新日本海フェリー。今回は、同社の4つある航路のうちの1つ、敦賀~苫小牧航路の経由便をご紹介します。

敦賀~苫小牧航路に就航する「らいらっく」(提供:新日本海フェリー)
敦賀~苫小牧航路に就航する「らいらっく」(提供:新日本海フェリー)

敦賀と苫小牧の間を約31時間かけて航海するこの航路。途中、新潟と秋田に寄港するダイヤ設定ですが、注目したいのは北行きの便。新潟発が23:05、秋田着が5:40と、夜行快速列車のように短時間の乗船ができるのです。首都圏方面から上越線などを経由し夜間に新潟に到着し、フェリーで睡眠。翌朝、秋田から青森・北海道方面へ移動するといった、効率よく移動できるプランを組むことができます。

この航路に就航しているのは、「らいらっく」と「ゆうかり」の2隻。リーズナブルな等級では、1人用ベッドルームの「ツーリストS」、二段ベッドのような配置ながらもカーテンが閉められプライバシーを確保できる「ツーリストA」、通常の二段ベッドの「ツーリストB」、大広間タイプの「ツーリストJ」があります。もちろん「スイートルーム」などの上級船室もあります。このほか、共用スペースとしてレストランや大浴場を設置。最上階には屋外デッキもあります。

ツーリストB(提供:新日本海フェリー)
ツーリストB(提供:新日本海フェリー)
ツーリストJ(提供:新日本海フェリー)
ツーリストJ(提供:新日本海フェリー)

乗船場所は、新潟港が山の下ふ頭の新潟フェリーターミナル、秋田港が中島ふ頭の秋田フェリーターミナルです。両港とも駅からはバスで連絡。新潟港には、新潟駅からバスに20分ほど乗車し、徒歩連絡。秋田港には、秋田駅からバスで30分ほどとなります。秋田フェリーターミナルは土崎駅から2キロ弱の距離に位置するため、同駅まで20分ほど歩くのも候補に上がるでしょう。

新潟フェリーターミナル(提供:新日本海フェリー)
新潟フェリーターミナル(提供:新日本海フェリー)
秋田フェリーターミナル(提供:新日本海フェリー)
秋田フェリーターミナル(提供:新日本海フェリー)

この航路の乗船には、新潟駅に遅くとも21:30には到着していることが望ましいです。この時刻から逆算すると、東海道本線~高崎線~上越線~信越本線経由では米原駅6:27発(土休日は6:36発)の列車から乗継が可能です。首都圏発ならば、午前中に都心を発ち、東北本線~磐越西線と経由しても間に合います。翌朝は、秋田駅までバスで移動すると7:00頃に到着。8:20発のリゾートしらかみ1号に間に合う時刻です。また、土崎駅まで徒歩で移動すれば、7:35発の奥羽本線普通列車に乗車することも可能です。

ご紹介した敦賀~苫小牧航路経由便以外にも、新潟~小樽航路など多数の便を運航する新日本海フェリー。18きっぷ使用中に効率よく移動する、といった用途には適さない航路もありますが、リーズナブルかつ早く移動できるクルーズは魅力的。ぜひ、新日本海フェリーを活用したさまざまなプランを検討してみてはいかがでしょうか。

運航時刻
敦賀~苫小牧航路(寄港便)
敦賀港(10:00発)~新潟港(22:05着、23:05発)~秋田港(翌5:40着、6:50発)~苫小牧東港(17:20着)
苫小牧東港(19:30発)~秋田港(翌7:35着、8:35発)~新潟港(同15:30着、16:30発)~敦賀港(翌々5:30着)
新潟~苫小牧間は新潟・苫小牧各日曜日発の設定はなし
敦賀発は敦賀港基準で月曜日のみ運行
敦賀行きは苫小牧港基準で土曜日発のみ運行
運賃(新潟~秋田間)
ツーリストJ:4,310円~
ツーリストB:4,840円~
ツーリストA:5,440円~
ツーリストS:7,190円~
主な割引:学生割引、往復割引

日本一の豪華さが特徴 太平洋フェリー

鉄道業界の「ブルーリボン賞」と同様、船舶業界にも数々の賞があります。その一つ、船舶雑誌での読者投票による賞「クルーズ・シップ・オブ・ザ・イヤー」。この賞のフェリー部門「フェリー・オブ・ザ・イヤー」において、なんと26年間連続受賞を達成しているのが、苫小牧~仙台~名古屋間を結ぶ太平洋フェリーの船舶です。

豪華さがウリの太平洋フェリー「いしかり」(提供:太平洋フェリー)
豪華さがウリの太平洋フェリー「いしかり」(提供:太平洋フェリー)

「エーゲ海の輝き」をイメージした「いしかり」と、「南太平洋のしらべ」がコンセプトの「きそ」。いしかりは2011年の就航以来7年連続で、きそも2005年の就航からいしかりの就航まで6年連続で賞を受賞しており、そのサービスや内装の豪華さは他の追随を許さないレベルです。この2隻と「きたかみ」の3隻が就航する苫小牧~仙台間、この区間も18きっぷとあわせて使える航路です。

苫小牧~仙台間で就航する「きたかみ」(提供:太平洋フェリー)
苫小牧~仙台間で就航する「きたかみ」(提供:太平洋フェリー)

いしかり・きその2隻は、就航年は離れているものの、準同型の姉妹船。等級も共通となっており、相部屋ながら個室感覚で利用できる「S寝台」、二段ベッドながらプライベート空間も確保した設計の「B寝台」、大広間タイプの2等和室といった船室が設けられております。もちろん上級船室も充実しており、最上級の「ロイヤルスイートルーム」はリビングと寝室が別となった豪華な空間。お値段も高くなりますが、いつかは利用してみたい船室です。

いしかりのS寝台(提供:太平洋フェリー)
いしかりのS寝台(提供:太平洋フェリー)
いしかりのB寝台(提供:太平洋フェリー)
いしかりのB寝台(提供:太平洋フェリー)
いしかりの2等和室(提供:太平洋フェリー)
いしかりの2等和室(提供:太平洋フェリー)

もう1隻の就航船であるきたかみは、いしかり・きそとは異なる内装の船。カプセルホテルタイプの「A寝台」や、かつての寝台列車のA寝台のような「B寝台」、大広間タイプの「2等和室」などがあります。どちらかといえばレトロな内装のきたかみですが、デッキ先端には操舵室直下の展望室が。船長と同じ目線で航海を楽しめるパブリックスペースは、太平洋フェリーではきたかみのみの特権です。

きたかみのB寝台(提供:太平洋フェリー)
きたかみのB寝台(提供:太平洋フェリー)
きたかみの展望室(提供:太平洋フェリー)
きたかみの展望室(提供:太平洋フェリー)

苫小牧~仙台~名古屋と、最長で約40時間となる航路を運航する太平洋フェリー。長時間の航海でも乗船客を退屈させないよう、さまざまな設備が設けられています。大浴場や屋外デッキといった施設はもちろんのこと、バイキング形式のレストランや軽食を提供するスタンド、さらには映画を上映したりアーティストによる生演奏が楽しめるシアター・ラウンジなど、他のフェリー事業者とは一線を画すスペースが目を引きます。もちろん、大浴場やシアター・ラウンジの利用は無料です。

きその大浴場(提供:太平洋フェリー)
きその大浴場(提供:太平洋フェリー)
きそのシアタールーム(提供:太平洋フェリー)
きそのシアタールーム(提供:太平洋フェリー)

太平洋フェリーが発着するのは、苫小牧港フェリーターミナルと仙台港フェリーターミナル。苫小牧港へは、苫小牧駅からバスで約15分。札幌駅や新千歳空港からの直通バスも運行されています。仙台港へもバスでのアクセスとなります。仙台駅から約45分の乗車ですが、仙石線の多賀城駅や中野栄駅からも6~15分程度でバスが運行されており、青春18きっぷとあわせた利用ならば、こちらの両駅の利用が便利でしょう。

苫小牧港フェリーターミナル(提供:太平洋フェリー)
苫小牧港フェリーターミナル(提供:太平洋フェリー)
仙台港フェリーターミナル(提供:太平洋フェリー)
仙台港フェリーターミナル(提供:太平洋フェリー)

仙台駅からバスに乗車しフェリーターミナルへ向かう場合、仙台駅から17:40頃に出発するバスを利用します。この便に間に合う乗継経路は、東京駅を10:00頃に出発するプラン。浜松や小淵沢からも乗継が可能です。フェリーの下船後は、バスに乗り継ぐと苫小牧駅に12:00頃に到着。12:14発の普通列車に乗車すれば、札幌駅には13:31に到着します。

苫小牧港から乗船する場合は、札幌駅15:11発の普通列車、もしくは北広島駅で同列車と乗り換えられる快速エアポート152号が最終接続列車。苫小牧駅前16:55発のバスに乗車します。仙台港からは、10:20頃に出発する仙台駅行きのバスに乗車。仙台駅には11:10頃に到着します。また、このバスは中野栄駅も経由するため、石巻方面へ移動する場合や、バスの定時性に不安な場合は、こちらで乗り換えるのも選択肢の一つです。

フェリー・オブ・ザ・イヤーの連続受賞記録を誇る太平洋フェリー。青春18きっぷと合わせた利用としては所要時間が長めになりますが、その豪華さは特筆すべきもの。本州~北海道間の移動として、検討してみてはいかがでしょうか。なお、太平洋フェリーでは2019年1月25日から、現在のきたかみに代わる新造船、ニュー「きたかみ」が就航するとのこと。現在のきたかみと同様、豪華さよりはカジュアルさに重点を置いた船ですが、大広間タイプの船室は姿を消し、リーズナブルながらもプライバシーを確保した客室へと進化しています。

運航時刻
苫小牧~仙台~名古屋航路
苫小牧港(19:00発)~仙台港(翌10:00着、12:50発)~名古屋港(翌々10:30着)
名古屋港(19:00発)~仙台港(翌16:40着、19:40発)~苫小牧港(翌々11:00着)
仙台~名古屋間は隔日運航
運賃(苫小牧~仙台間)
2等和室 いしかり・きそ:8,300円~ きたかみ:7,200円~
B寝台 いしかり・きそ:10,400円~ きたかみ:9,300円~
A寝台 きたかみ:10,300円~
S寝台 いしかり・きそ:11,900円~
主な割引:インターネット割引、早割、学生割引、往復割引
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