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2019年の鉄道トピックス[車両・列車編]

2019年も続く改変、中央線特急

E353系の導入やE351系の引退など、2018年に転機を迎えた中央線特急。2019年も、中央線特急の車両や列車などの改変は続く。

3月のダイヤ改正では、特急「あずさ」「かいじ」で運用されてきたE257系0番台が定期特急運用から撤退。定期特急列車はE353系に統一される。これにあわせて、E351系の導入以来使用されてきた「スーパーあずさ」の愛称は消滅する。「あずさ」「かいじ」の停車駅も見直され、「かいじ」の四ッ谷駅・三鷹駅停車は取り止めとなるほか、一部の「あずさ」は、従来全列車が停車していた上諏訪駅を通過するなどの変更がある。

E353系を使用する新しい特急列車「富士回遊」も3月より運転開始となる。富士回遊は、新宿~河口湖間を2往復運転。大月~河口湖間は富士急行線に直通するほか、新宿~大月間は「かいじ」と連結して運転する。

通勤時間帯に運転されていたライナー列車「中央ライナー」「青梅ライナー」は、E353系による特急「はちおうじ」「おうめ」に変更される。車両のみを指定する他のライナー列車と異なり、座席を指定するライナー券を発行していた特異な列車だったが、特急列車に置き換えられることで、ライナー券の設定ともども発展的解消となる。

中央線特急では、E353系への統一にあわせて、新たな着席サービスも導入される。高崎線の「スワローサービス」や常磐線特急のシステムと同様に、全席が指定制となり、座席未指定券により空席を利用することもできるものとなる。

デザインさまざま、首都圏で続く新型車両の登場

2018年に東急線直通用の新型車両20000系を導入した相模鉄道。同社は2019年にも新型車両12000系を導入する。12000系は、2019年度末に予定されている相鉄線とJR線の直通運転に対応する車両。「デザインブランドアッププロジェクト」のコンセプトを反映し、塗装不要なステンレス車体ながら「ヨコハマネイビーブルー」で塗装する。営業運転開始は2019年春の予定で、2019年度内に6編成を導入する。

2019年2月中旬には、東京メトロ丸ノ内線の新型車両、2000系が営業運転を開始する。2000系は、丸ノ内線用としては30年ぶりの新型車両。伝統の赤系統色や「サインウェーブ」を取り込んだデザインとしながらも、小物テーブルや荷物掛け、モバイル機器充電用コンセントの設置により、快適性を向上させたサービスを提供する車両となる。

東京メトロではこのほか、日比谷線用の13000系が2019年度に導入を完了する予定。共通設計の東武70000系も同時に導入完了となる予定で、03系や20000系列といった3ドア車両は、日比谷線から順次引退となる。

京成電鉄では、2018年度の同社設備投資計画において、新型車両の導入に着手することを発表。具体的な時期の明言はないが、こちらも早ければ2019年に登場することが予想される。

見たことのない新しい車両 次の100年へ向かう西武特急

2010年の京成電鉄AE形から始まり、2017年の東武500系「リバティ」、2018年のロマンスカー70000形「GSE」と、新型の有料特急車両を登場させてきた関東私鉄。残る西武鉄道においても、2019年に新しい特急車両が導入される。その名は001系「Laview(ラビュー)」。

Laviewは、10000系「ニューレッドアロー」を置き換えるために導入する車両。形式名の001系は「いままでに見たことのない新しい車両」「次の100年に向けた出発点である車両」などを表現したもの。車両は、「都市や自然のなかでやわらかく風景に溶け込む特急」「ただの移動手段ではなく目的地となる特急」をコンセプトにデザインした。

Laviewは2018年度に8両編成2本、2019年度に同5本を導入する。池袋線の運用に就く10000系は7編成のため、2019年度中に池袋線の特急はLaviewへすべて置き換えられる見込み。

時間の壁を越えろ 新幹線の新車計画

1964年の開業以来、速度向上を続けてきた新幹線。現在は最高営業速度が時速320キロだが、2019年には次なる段階への取り組みがスタートする。

JR東日本が導入を予定する試験車両「ALFA-X」。時速360キロでの営業運転を目指す試験車両で、高速走行時の騒音低減やブレーキ制動距離の短縮などを試験する。落成は2019年5月の予定で、将来の北海道新幹線札幌延伸時に導入される新型車両への技術応用が期待される。

その北海道新幹線では、2019年3月16日のダイヤ改正より、一部列車が青函トンネル区間で最高時速160キロでの運転を開始する。青函トンネルは新幹線と在来線貨物列車が共用する区間。新幹線が高速走行をすると貨物列車のコンテナにダメージが及ぶ恐れがあり、速度が抑えられていた。今後は2020年を目処に、さらに列車本数を絞った形で最高時速200キロの運転を開始する予定だ。

JR東日本ではこの他、E7系を上越新幹線に2019年3月より投入する。上越新幹線では、最高時速240キロのE4系を、2020年度までに全廃する方針。2018年10月にはE2系の速度向上試験も実施しており、今後、上越新幹線がE7系とE2系に統一されることによって、営業速度の向上が見込まれる。

新車両や改造車 近畿圏の車両の動き

2019年3月のダイヤ改正では、JR京都線・神戸線の新快速に、有料座席サービス「Aシート」が導入される。既存の223系1000番台2両を改造し、当初は1日2往復を運転する。同改正では、JR神戸線で通勤特急「らくラクはりま」も新設される。南海や泉北高速鉄道の「泉北ライナー」や京阪の「プレミアムカー」、関東圏の「京王ライナー」や「Q SEAT」といった、着席需要の高まりにJR西日本も応える形になる。

また、3月改正では和歌山線・桜井線に227系が新規導入される。和歌山~五条間は全列車を秋ごろまでに227系へ統一し、導入完了は2020年春の予定。従来の117系や105系は、順次役目を終える。

神戸市交通局では、2019年2月より新型車両6000形を西神・山手線に導入する。6000形は2022年度までに導入を完了する予定で、これにより西神・山手線の既存車両は全て置き換えられる計画となっている。

阪急電鉄では、京都線で運行している観光列車「京とれいん」の増発用として、「京とれいん 雅洛」を2019年3月に導入する。車内では丸窓や坪庭を配置することにより、京都を感じられるデザインとする。

蓄電池、ハイブリッド 導入が続く新方式の車両たち

2019年3月のダイヤ改正では、JR九州の香椎線にBEC819系「DENCHA」が導入される。蓄電池を搭載したBEC819系は、2016年に筑豊本線(若松線)でデビュー。2018年現在は若松線のほか、福北ゆたか線などでも運用されている。香椎線への導入により、同線は若松線同様、全ての列車がBEC819系での運転となる。

蓄電池搭載車両と並んで実用化されている新方式の車両、ハイブリッド式気動車。JR東日本では2019年10月に、ハイブリッド式気動車HB-E300系「海里」を導入する。「新潟県・庄内エリアデスティネーションキャンペーン」開催にあわせてのもので、「きらきらうえつ」が走る新潟~酒田間で運転する。同区間は全て電化区間だが、途中で直流と交流が切り替わるデッドセクションを挟む。交直流電車では車両価格が高価となってしまうため、ハイブリッド式車両の導入は同区間に適するといえる。

新潟エリアでは他にも、ディーゼルエンジンで発電し、モーターを回す電気式気動車、GV-E400系の試験が進められている。こちらは2018年1月に量産先行車が登場しており、2019年度中のデビューを予定している。

國鐵廣島、ついに消滅 中国・四国エリアの動き

2015年までは全ての電車列車が国鉄型車両で運転されており、その車両の古さから「國鐵廣島」との呼称もあった広島シティネットワーク。2015年にこの広島エリアへ導入された227系は、2019年3月のダイヤ改正で導入を完了し、エリア内全ての電車列車が227系での運転となる。

227系の導入により、山陽本線では運転体系も変更される。一部時間帯で運転されていた岡山・福山方面~広島・岩国方面の直通列車は系統を分断し、糸崎駅か三原駅での乗り換えが必要となる。

中国・四国エリアでは、2019年3月改正において、瀬戸大橋線を直通する岡山~琴平・観音寺間の普通列車を廃止する。同線を走る旅客列車は特急列車と快速「マリンライナー」のみとなり、JR西日本岡山支社の115系とJR四国の6000系が瀬戸大橋を渡る姿は見られなくなる。

四国では、ダイヤ改正の後も動きが続く。2018年12月に完成し、同月25日に車両メーカーを出場した新型特急車両2700系。今後、2019年内に営業運転を開始する予定で、予讃線や土讃線などで運用中の2000系を順次置き換える。

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