2018年の鉄道を振り返る[車両・列車編]

LからGへ、ロマンスカーの世代交代

2018年3月に実施された、小田急電鉄のダイヤ改正にあわせ、新型ロマンスカー70000形「GSE」がデビューした。ロマンスカー伝統の展望席を設置したほか、ローズバーミリオンで塗装した車体にはロマンスカー伝統色であるバーミリオンオレンジの帯を配している。一方、これまで展望席付きロマンスカーが採用してきた連接台車は、GSEでは採用が見送られている。

GSEデビューの一方、長年活躍してきた7000形「LSE」が引退した。展望席を装備したロマンスカーとしては2代目となるLSE。ロマンスカー初の自動乗降扉や小田急電鉄初のワンハンドルマスコンの採用など、エポックメイキングな存在だった。3月のダイヤ改正以降も1編成が残されたLSEだが、7月に定期運転から退き、10月のさよならツアーをもって営業運転を終了した。今後は、2021年に海老名駅付近に開業予定の「ロマンスカーミュージアム」に先頭車両が展示される予定となっている。

往年のカラーが復活 115系などのリバイバル塗装

115系を対象に、2017年から湘南色や初代長野色などの復刻塗装を展開してきたしなの鉄道。同社は2018年、「コカ・コーララッピング車両」を復活した。JR時代に信越本線を走っていたコカコーラのラッピングを、当時と同じ編成にクラウドファンディングを用いて実施。ロゴなどは現代仕様となったものの、往年をイメージさせる塗装が復活した。

同じ115系では、新潟地区で「二次弥彦色」が復活した。二次弥彦色は、弥彦線用の115系2両編成がまとっていた塗装。2015年まで見られた塗装が、約3年で再び新潟地区に現れた。

2018年にはこれらの他にも、箱根登山鉄道で2000形(サン・モリッツ号)登場時の塗装が、近鉄田原本線で820系塗装色が、道南いさりび鉄道でキハ40系の旧国鉄色が、それぞれ復活した。

広がる観光列車、消えるジョイフルトレイン

2018年は、各地で観光列車が続々と誕生した。

1月には、自転車を積載し房総地区へ向けて走る、サイクリスト向けの「B.B.BASE」が運転を開始。また4月には、日光線で「いろは」が運転を始めた。3月から7月にかけては、JR北海道で「北海道の恵み」シリーズが順次登場。定期列車に充当する観光用車両として運転している。また7月には、山陰地区で「あめつち」がデビュー。鳥取や出雲などの地域を巡る観光列車として人気を博している。また私鉄でも、長良川鉄道の「川風号」や、叡山電鉄の「ひえい」、若桜鉄道の「昭和」がデビューしている。

これらの観光用車両は、既存の一般型車両を改造した点が共通している。JR初期世代のジョイフルトレインは特急型車両を改造する例が多かった。気動車では「リゾートしらかみ」や「瀬戸内マリンビュー」など、キハ40系を改造した例はあったものの、近年では電車においても、209系や205系などの一般型車両を種車とする例が増えてきている。

そのJR初期世代のジョイフルトレインは、近年老朽化により引退する車両が相次いでいる。2018年も、1990年に「シルフィード」としてデビューした車両を再改造した「NO.DO.KA」が1月に、485系「リゾートエクスプレスゆう」とキハ58系「Kenji」が9月に、それぞれ引退した。特にKenjiは運用に就いていた最後のキハ58系として注目を集めていたが、約50年という歳月にともなう老朽化には耐えられず、2018年で引退となった。

座って通勤、広がる座席指定列車

首都圏で広まる座席指定制・定員制のライナー列車。2017年に西武鉄道などで「S-TRAIN」が運転開始したことは記憶に新しいが、2018年も新たな列車が設定された。

京王電鉄では2018年2月より、夕方夜間に「京王ライナー」の運転を開始した。新宿駅から京王八王子行きと橋本行きがそれぞれ1時間間隔で運転されており、平日は24時台まで設定されている。また、土曜・休日にも運転していることが特徴で、土休日ダイヤでは新宿駅17時台発からと、行楽・ショッピングの帰宅時に利用しやすい設定となっている。使用車両は、ロングシートとクロスシートのモードを切り替えられる5000系。京王ライナーの運転時にはクロスシートで運転している。なお京王電鉄では、京王ライナーが運転されない時間帯にも、行楽シーズン限定の臨時列車として、「Mt.TAKAO号」や「高尾山ハイキング号」などを5000系で運転している。

2017年に池袋線系統へS-TRAINを導入した西武鉄道。もう一つの新宿線系統でも、2018年3月にライナー列車「拝島ライナー」の運転を始めた。拝島ライナーは、新宿線の西武新宿駅と拝島線の拝島駅を結ぶ。西武新宿駅を出ると高田馬場駅、小平駅と停車し、小平駅以降は各駅に停車。同駅以降は座席指定券は不要となる。使用するのはS-TRAINと同じ40000系で、10両編成で運転している。

これまでの首都圏私鉄の座席指定列車は、列車全車両が特別料金が必要な設定となっていた。だが、2018年12月より東京急行電鉄が導入した「Q SEAT」は、列車中1両のみを指定席とする、首都圏私鉄では珍しい設定。Q SEATは、東急大井町線の大井町駅から、田園都市線の長津田駅までを走る下り急行列車に連結して運用される。急行列車自体は通常運賃のみで乗車可能だが、Q SEATの利用時には、他私鉄のライナー列車と同様に指定券の購入が必要となる。サービス設定区間も独特で、急行停車駅のうち、大井町~自由が丘間は乗降可能、二子玉川~鷺沼間は降車のみ可能、たまプラーザ以遠は指定券なしで乗降可能と、細かく分けられている。

世代交代の中央線特急

2018年3月、JR東日本のE351系が定期運転を終了し、4月のさよなら運転をもって現役を退いた。1993年にデビューしたE351系は、JR東日本では初めてかつ営業用車両では唯一の振り子装置を搭載し、中央本線の看板列車「スーパーあずさ」などで活躍してきた。速達性を考慮したE351系だが、既存車両を全て置き換えるだけの増備はされず、スーパーあずさ以外の中央本線特急には非振り子車のE257系が投入された。そして、そのE351系も老朽化には勝てず、車体傾斜式車両のE353系に置き換えられ、現役を退いた。

一方、かつてE351系やE257系に置き換えられ、波動用として3本が残されてきた国鉄形特急車両189系も、2018年初旬に相次いで引退した。189系は、かつては碓氷峠越えのために上野~長野間の特急「あさま」で使用されており、1997年の北陸新幹線(長野新幹線)開業後は、一部が中央本線に活躍の場を移し、ほぼ同設計の183系とともに特急「あずさ」「かいじ」などで活躍していた。これらの車両の引退により、かつて房総方面や上越線の特急列車で活躍した183・189系は、長野総合車両センターに在籍する6両編成1本のみとなった。

続々登場、新世代の通勤型車両たち

2018年2月にデビューした相模鉄道20000系。2022年度の開業を目指す相鉄新横浜線を経由して行われる、東急線などへの直通運転に対応した車両で、アルミ車体ながら「ヨコハマネイビーブルー」で塗装している。同時期にデビューした京浜急行電鉄の1000形1200番台でも「京急らしさ」を追求し、塗装の必要がないステンレス車体を全塗装しており、今後はアルミ・ステンレス車体への塗装も広まっていく可能性がある。

3月に営業運転を開始したのは、田園都市線向けの東急2020系。同線で活躍する旧型車両を置き換えるために導入が進められている。大井町線仕様の6020系も同時に営業運転を開始しており、東急の新たな顔としての活躍が期待される。

6月にデビューした東京都交通局の5500形は、浅草線向けとしては約20年ぶりの新型車両。従来の5300形よりも性能を向上し、京成成田スカイアクセス線のアクセス特急に求められる時速120キロ運転にも対応している。

東急2020系と都営5500形は、車両制御システムに「INTEROS」を採用しているという共通点がある。E235系が初導入となったINTEROSは、それまでのモニタ装置と比較して扱える情報量が増大したほか、構成部品に汎用品を使用することにより、コストカットも実現している。

20年前のあのとき

おかげさまで鉄道コムは20周年

鉄道コムが創設された1998年には、209系950番台、後のE231系試作車となる車両が登場している。新型の車両制御システム「TIMS」の採用など、鉄道史に欠かせない車両となった。

都市部を駆けた大ベテランら、続々引退

東急2020系や都営5500形などの新型車両デビューの裏では、長年の活躍に終止符を打つ車両もあった。

東京メトロ千代田線で活躍してきた6000系は、10月に営業運転を終了した。1968年に斬新なデザインと先進的な技術を採用した試作車が登場して以来、50年にわたって千代田線や直通運転先のJR線、小田急線で活躍してきた。

1987年に就役した東京急行電鉄の7700系は、11月にさよならイベントとして特別運転を実施し、東急線での活躍を終えた。7700系は、1962年にデビューした7000系を改造した車両。足回りは約30年前のVVVFインバータ制御装置などを搭載していたものの、車体は約55年も使われたベテランだった。だが、7700系の活躍はこれにとどまらず、今後は三重県と岐阜県を走る養老鉄道に譲渡され、30年ほど運用されるという。

関西地区では、大和路線や阪和線羽衣支線で活躍していた103系が、後継車両の投入により、1月から3月にかけて順次引退した。12月現在では103系の運用が続く奈良線でも、2018年3月のダイヤ改正より205系が導入されており、予断を許さない。今後も活躍が見込まれるのは播但線や加古川線、和田岬線といった数路線を残すのみとなり、製造数3447両を誇った103系も、今後が見えてきたものと思われる。

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1998年には、京浜東北線から103系が撤退している。関東圏の103系は、1985年の山手線205系導入時から置き換えが開始されており、最後まで残された常磐線快速用の車両も、2006年に引退した。

復活と引退、そして運休 大きく動いたSL

1979年より山口線で運転されている「SLやまぐち」。同列車のけん引機は主にC57-1が務めるが、この予備機として長年活躍したC56-160が、2018年5月に本線運行を終了した。SLやまぐちのほか「SL北びわこ」などでも活躍してきたC56-160。2017年に本線復帰したD51-200と交代で本線での現役を退き、京都鉄道博物館館内の「SLスチーム号」けん引用車両として余生を送ることとなった。

2018年は、SL列車関連のトラブルも相次いだ。磐越西線を走る「SLばんえつ物語」は7月から機関車故障の影響により運休。秩父鉄道が運行する「パレオエクスプレス」も同じく機関車の故障により、9月から電気機関車けん引列車として運転した。東武鉄道のSL「大樹」も同様に機関車が故障し、2018年末はディーゼル機関車がけん引する列車として運転した。真岡鐵道では、SL運転をサポートするディーゼル機関車の故障により、11月からSL列車の運休が続いた。経年機であるSLは整備の難度も高く、安定運行を続けることは難しい。そこで東武鉄道はSL大樹のけん引機を増備するため、北海道で保存されていた蒸気機関車1両を2018年に取得。2020年の復活を目指し整備を開始した。

20年前のあのとき

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1998年は、真岡鐵道がC11-325を動態復活した。同機は1946年に落成し、茅ヶ崎機関区や米沢機関区、新津機関区を経て引退し、新潟県内で保存。真岡鐵道の動態保存機増備時に状態が良いことから抜擢され、1998年に復活した。なお真岡鐵道は財政難のため同機の売却を検討している。

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