東急電鉄は6月20日、大井町線の各駅停車用として導入する6020系を報道公開しました。

大井町線では現在、急行列車用車両の6000系と6020系、各駅停車用車両の9000系と9020系の4形式が運用中です。今回公開された6020系は、各駅停車用の既存車両を置き換えるために製造された車両。大井町線用の新車としては急行用6020系以来約7年ぶりの投入ですが、同線の各駅停車用として直接投入される車両としては、1988年投入の9000系9007編成以来、約37年ぶりとなる新車です。

6020系は、田園都市線に投入された2020系の大井町線バージョンとして、急行用車両が2018年3月に営業運転を開始しました。このグループは急行用車両の増結および輸送力増強を目的に投入されており、製造数は2本のみという小所帯となっています。

各駅停車用の6020系は、急行用をベースとしつつ、各駅停車の運用に必要な機能・機器を搭載した車両となりました。編成は、急行用より2両少ない5両編成に。また、車両番号は6050番台とされ、たとえば今回公開された編成は6151編成となっています。
6020系6050番台は、5両編成18本が、2025年から2027年ごろにかけて順次導入される計画。投入が完了すれば、6020系は車両数では大井町線の主力車両となります。
6020系を含む2020系シリーズのエクステリアは、コンセプトカラー「INCUBATION WHITE」(美しい時代へ孵化していく色)を基調とし、車両の先頭形状は「まるみを帯びたやわらかみのある顔」をイメージさせるデザイン。前面や側面には各線のラインカラーを施しており、6020系ではオレンジ色の帯が巻かれています。

6020系の急行用と各駅停車用は、基本的なデザインに違いはありません。ただし、各駅停車用であることを識別できるよう、先頭車前面には「5CARS」ステッカー、車両側面ドア横には青色のステッカーが掲出されています。


車内も急行用車両と基本的には同一。空気清浄機を設置しているほか、座席はハイバック仕様を採用。ドア上のデジタルサイネージを搭載した一方、田園都市線2020系と異なり、座席上のデジタルサイネージが省略されている点などは変わりありません。


目立つ相違点としては、ドア脇の手すりが、シンプルな形状に変更されたこと。また、座席モケットは新デザインとなっています。このほか、車間の貫通扉には、アシスト機能つきの取っ手が設置されました。この取っ手は急行用6020系などにも後付けで設置されていますが、製造時から搭載しているのは、東急では初めてのことだといいます。

また、大井町線の各駅停車では、九品仏駅のホームが5両に満たないことから、同駅停車時に溝の口・長津田方の先頭車1両のドアを締め切る「ドアカット」を実施しています。各駅停車用6020系でも、もちろんドアカットに対応。該当車両のドア付近には、九品仏駅ではドアが開かないことを知らせるステッカーが貼り付けられています。


車内外のデザインは既存の6020系を踏襲した各駅停車用6020系ですが、機器面では細かい部分で違いがあります。
各駅停車用6020系の編成は、大井町方から、Tc1+M1+M2+M3+Tc2という構成。M3となるデハ6220形は、パンタグラフを1基のみ搭載するという、急行用6020系にはなかったタイプの車両です。同様にパンタグラフを1基のみ搭載するM3は、10両編成の2020系には存在しています。しかし、6020系のM3では、2020系のそれと異なり、コンプレッサーを搭載しているという違いもあります。

また、3号車に搭載する補助電源装置(SIV)は、ダウインサイジング化を目的とした、待機二重系のものに変更。車両内の設置位置も急行用から変更されています。

乗務員室内の仕様は、急行用の6020系を踏襲しています。ただし、運転台コンソールには、ワンマン運転用、ATO(自動運転)用のボタンが設置されています。なお、現時点では大井町線のワンマン運転導入は発表されておらず、今回公開された車両のワンマン運転用設備も準備工事段階のようです。


各駅停車用の6020系は、7月2日に営業運転を開始する予定。第1編成(6151編成)では、乗務員がデザインしたというデビュー記念ヘッドマークステッカーが、12月ごろまで掲出される予定です。


また、6020系の投入によって置き換えられる9000系と9020系は、「サステナ車両」として西武鉄道に譲渡され、2025年度中に営業運転を開始する予定。今後、西武の多摩川線、多摩湖線、西武秩父線、狭山線に投入される計画です。