羽田空港アクセス線の現在の工事状況は?
今回は田町駅での線路切替工事が大きなトピックでしたが、その他の区間でも、羽田空港アクセス線の整備工事は進められています。2025年4月時点の状況をご紹介します。
先述したように、羽田空港アクセス線は、東京貨物ターミナル駅以北では大汐線を活用して整備されます。大汐線は、大井(東京貨物ターミナル駅)と汐留駅(新橋駅付近の貨物駅、1986年廃止)を結ぶ路線として、1973年に開業。しかし、貨物列車の運転がなくなったことなどから、1998年をもって休止となりました。
大汐線は浜松町駅が起点ですが、現在は田町~高輪ゲートウェイ間で山手線などとわかれる地点まで、線路ははがされています。JR東日本の公表資料によると、田町駅付近で東海道線とわかれ、地下に潜った羽田空港アクセス線は、高浜西運河の手前で地上に出てくるとのこと。札の辻橋から先、東海道新幹線の本線と回送線が分岐するあたりで、羽田空港アクセス線のトンネルも終わるようです。



大汐線は、山手線などとわかれると、東海道新幹線の大井車両基地に向かう回送線と一体となった高架橋を進みます。大汐線の線路の状態は周囲からほとんど確認できないのですが、架線は取り外されており、線路には木が生えている箇所も存在している状況です。羽田空港アクセス線への転用に際しては、新たに高架橋を建設するような大規模工事は不要なのですが、荒廃した線路を再整備する作業は必要となります。


東京貨物ターミナル駅は、品川区八潮にある、東京の鉄道貨物の拠点駅の一つ。西側には東海道新幹線の大井車両基地、東側には東京臨海高速鉄道(りんかい線)の八潮車両基地も併設されています。羽田空港アクセス線は、東京貨物ターミナル駅とりんかい線八潮車両基地の間を通る計画です。
大汐線と首都高速湾岸線が交差する高架橋の北側は、かつては線路上にかなりの木が生えている状態でした。2025年4月時点では、まだ植物は残っているものの、以前よりもだいぶ減少。重機も入っており、線路復活に向けた作業が進められているようです。


その高架橋を抜けた先には、真新しい線路が敷設されています。単線分のみですが、これが羽田空港アクセス線の線路となるようです。かつてはこの場所にJR東日本東京支社(当時)技術訓練センター「ななかまど」が設置されていましたが、羽田空港アクセス線の整備にともなって撤去されています。


また、この付近では、東京貨物ターミナル駅方面から同駅東の都道へ抜けるための道路の踏切「救援センター踏切」が存在していましたが、現在は撤去されています。当初の計画では、羽田空港アクセス線は踏切周辺を高架化することとなっていたのですが、最新の計画では地表への線路敷設に変更されています。これに対応してか、線路の周辺では、道路用と思しき高架橋の橋脚が姿を現しています。


りんかい線の車両基地付近では、羽田空港アクセス線用の土地が整地されているのが確認できます。ここには車両の留置線などが整備される計画で、複線分の線路以上のスペースが線路敷設に向けて準備されています。



東京貨物ターミナル駅から先、貨物列車が走る東海道貨物線は、トンネルを通って川崎貨物駅(京急線小島新田駅付近の貨物駅)へと向かいます。羽田空港アクセス線もトンネルへと突入するのですが、貨物列車とは別のルートを進むことになります。すでに線路が敷設されていた箇所で工事が始まっており、国鉄時代に建設された貨物列車用の設備から、旅客列車用の設備への改良が進められている状況です。


東京貨物ターミナル駅から先、羽田空港アクセス線は、新設するトンネルを通り、羽田空港へ向かいます。空港駅は、第1ターミナルと第2ターミナルの間、首都高速湾岸線より第2ターミナル側の地下に設置される予定。現在、すでに一部の工事が進められています。
