東武鉄道は2月10日、新型車両「80000系」を報道公開しました。

80000系は、東武野田線(東武アーバンパークライン)に投入する車両。同線向けとしては、2013年デビューの60000系以来となる新型の一般形車両となります。車両のコンセプトは、「人と地球によりそう電車」。安全で快適な車両であることに加え、子育て世代の家族の利用者が快適に利用できる車両構造としています。
これまでの野田線向け車両は、いずれも6両編成となっていました。一方、今回の80000系は、従来より1両分短い5両編成となったことが特徴。これは省エネ化などの環境負荷軽減策が理由で、運転に必要なエネルギーの削減と、適正な列車本数の維持を両立するための方策です。
車両のカラーリングは、60000系で採用した「フューチャーブルー」「ブライトグリーン」を基調とし、野田線の車両だと一目でわかるようなデザインとしました。先頭部のデザインは60000系と異なり、エッジを際立たせることで、先進性を表現しています。また、先頭部の非常扉の窓は、従来車よりも低い位置まで伸びており、背が低い子どもでも前面展望を楽しめる設計としました。

車内のテーマは「リビング」。「『ただいま』って言いたくなる車内」を目指し、乗車した瞬間に気持ちが安らぐような、落ち着いた空間を表現したデザインとなりました。60000系とは床面や座席モケットの色が変わり、乗務員室後ろの壁にも装飾が入っています。


また、一部箇所には「たのしーと」というスペースが設けられました。ベビーカースペースの横に着席できる座席配置としており、子ども連れの利用者に配慮したつくりです。このスペースでは、内装は子ども部屋をイメージしたデザインとなっているほか、車外にも同様の水玉模様が描かれています。



車両機器面では、私鉄の本格搭載例としては初となる、「同期リラクタンスモーター」を採用した車両推進システム「SynTRACS」を採用。また、リチウムイオン二次電池「SCiB」とSIV(補助電源装置)を組み合わせた車上バッテリーシステムも搭載しました。回生ブレーキ作動時に発生した電力を、架線に戻すことなく自車で活用できるシステムとなっており、回生失効を削減し省エネに貢献できるといいます。
また、80000系の一部(今後落成する第4編成など)には、「施設モニタリングシステム」を搭載する予定。架線や軌道、地上子の状態を、営業走行中に確認できるシステムです。
80000系は、今後、8000系や10030型、10050型といった旧型車両を置き換えるため、5両編成25本が投入される計画となっています。なお、東武では3月8日に、野田線で5両編成の営業運転を開始すると発表していますが、この段階では80000系のみが5両編成での運転になるといいます。
また、今回公開された編成は全車両が新造されていますが、今後投入される80000系の一部は、60000系から転用された車両を組み込む計画です。60000系は、80000系の導入にあわせて、全18本が5両編成に改造される予定。抜き取られた60000系の中間車18両は、80000系の中間車として転用されることとなっています。