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助川康史の「鉄道写真なんでもゼミナール」

~春色の鉄道風景を求めて~ 花と鉄道写真を絡めた撮影方法は?

2022年3月5日(土) 鉄道カメラマン 助川康史

彩り豊かな季節到来!

今冬は例年以上に雪が多く、また寒い冬でした。美しい雪景色が撮れたという方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。逆に豪雪地帯にお住まいの方は、毎日どころか1日数回の除雪作業に「もう見たくない……」と感じた方もさらにたくさんいらっしゃるかもしれません。

しかし、その冬もようやく終わりを告げ、いよいよ大地から生命の力強い鼓動を感じる季節が始まります。「春」。その彩り豊かな景色は日本中に広がり、誰もが心奪われます。そんな素晴らしい景色は是非鉄道写真にも生かしたいですね。

いよいよ春到来!
いよいよ春到来!

ということで、今回の「鉄道写真なんでもゼミナール」は、春の鉄道風景写真の撮り方について、お話しいたします。

百花斉放、百花繚乱の鉄道風景写真

四季の彩りが特に美しいと言われる日本。冬と夏の気温差があり、清らかな水が豊かな世界的にも稀な国だからこそ、四季にメリハリがあり、季節ごとの彩りも鮮やかになります。

そんな日本の四季の彩り中でも、春はまた格別。「百花斉放」「百花繚乱」という言葉の通り、日本人の心として様々な文化に影響を与えている桜や梅をはじめ、桃や菜の花など、温かで華やかな花々が咲き誇ります。

さまざまな花が咲き誇る日本の春
さまざまな花が咲き誇る日本の春

そして、そんな春の花と鉄道を絡めた写真を撮る人も多いのではないでしょうか。一昔前は鉄道写真=編成写真というイメージが多かったですが、今は鉄道もフォトジェニックな写真被写体として認識されていて、鉄道風景写真を楽しむ方が増えているのは大変良い傾向ですね。

さて、話を本題に戻しますが、そんな春の花と鉄道を撮る場合も、ちょっとした工夫で大きく仕上がりも変わってきます。それでは、続いて場面ごとの鉄道と花の狙い方をお話ししようと思います。

咲き方が違う桜・桃・梅

先述しましたが、一口に春の花といっても、桜や梅など、その種類は豊富です。鉄道写真をたしなむ人にとって鉄道車両の知識は重要ですが、鉄道風景を撮影する場合は、花や木の特徴を覚えることも作品を作る上では大切な知識です。

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桜(手前)や桃(奥)など、春の花はさまざま例えば、春の花でおなじみの桜。桜といっても、ソメイヨシノや河津桜、ヤマザクラなど様々ありますが、花の咲き方はほぼ同じです。桜は枝の節から延びた花軸から、さらに花柄(花だけが咲く茎)が数本出て花が複数咲きます。花の数が多いので、満開になると木全体が花に覆われる

読者からの質問コーナー

読者から頂いた質問にお答えするこのコーナー。今回は2つの質問をいただいています。

Q.身近な路線で綺麗な写真を撮るスポットの簡単な探し方を教えて欲しいです。

A.地図アプリを使用してロケハンします。

身近な場所で良い写真が撮れるというのは本当にお得感がありますね(笑)。

良い写真というのは編成写真なのか、鉄道風景写真なのか、はたまた流し撮りなのかは質問からは読み取れませんが、私がロケハン(ロケーションハンティング=撮影地探し)をするときは、頭の中にある撮りたい写真の想像に近い場所を、まずは航空写真モードのある地図アプリ(Googleマップなど)を使用します。航空写真モードで線形や線路周りの建物や風景、架線柱や線路施設の有無を見ます。ストリートビューなどの車載カメラから撮影したモードがあるときは、踏切などで線路の状態や背景を確認することもできます。

Googleマップなどでロケハンしよう(イメージ・編集部撮影)
Googleマップなどでロケハンしよう(イメージ・編集部撮影)

それを元にある程度の撮影地の目途をつけて置き、改めて現場にアプローチするようにしています。もちろん、現場に行ってみて草が多かったり、背景が思った以上にうるさかったりと、うまくいかないことも多いですが、新たな撮影地を見つけるには良い手段だと思っています。

鉄道写真の世界も情報力がモノを言います。是非出発前の下準備として、地図アプリなどで撮れる場所がないか、くまなく調べてみてください。

Q.「流星流し」や「彗星流し」という流し撮りがあると聞いたのですが、綺麗に撮ることができません。どうすればうまく撮れるのでしょうか。

A.難易度は高いですが、練習あるのみです。

実を言うと「流星流し」や「彗星流し」という言葉を初めて聞きました(笑)。

調べてみると流し撮りの要領で、途中で被写体を追い抜くように振り抜く撮影方法ですね。追っかけている被写体は止まりつつも筋のように大きく流れる表現も含まれていて、その他背景はさらに大きく流れます。名前は知りませんでしたが、私もこれは何度か挑戦したことはあります。

途中で被写体を追い抜くように撮影する流し撮り(編集部撮影)
途中で被写体を追い抜くように撮影する流し撮り(編集部撮影)

「流星流し」「彗星流し」は、被写体を追い続ける流し撮りと違い、途中までは普通の流し撮りをして、シャッターが閉じる前に大きく追い抜く動きをしなくてはなりません。そのためシャッター速度が1/60秒や1/30秒程度の速さでは一緒に追っかけるのが精いっぱいで追い抜く前にシャッターが閉じてしまいます。そのため、NDフィルター(露光倍数を下げる=暗くする)フィルターを使って1/4秒や1/2秒ほどのかなり低速のシャッタースピードにする必要があります。

コツとしては、たとえば1/2秒のシャッタースピードで撮る場合、シャッターが開いてから1/4秒は列車を追いかけた流し撮りをして、残り1/4秒で一気に追い抜くように振るということになります。

ただこれがまたかなり難易度が高く、人間の感覚で1/4秒というタイミングを計ることは難しく、もともと1/2秒という超スローの流し撮り自体、非常に難しいテクニックでもあります。

私も実際に何度か挑戦してみたのですが、ほとんど流し撮りと変わらなかったり、逆にただブレただけの流し撮りになってしまったりと、想像通りの絵柄に仕上がりませんでした。道路を走る車や、歩行者のように、シャッターチャンスが多い被写体だと良いのですが、シャッターチャンスが少ない列車では、成功率も下がります。

ただ「できない」撮影方法ではないので、練習あるのみですね。私も機会があれば挑戦してみたいと思います。お互い頑張りましょう!!

次回、助川康史の「鉄道写真なんでもゼミナール」は、花の鉄道風景写真に続いて、夏本番を前にした、夏の鉄道風景写真のお話をしたいと思います。ご期待ください!

また、鉄道写真やカメラ、レンズに関わる質問も随時募集しております。あわせてよろしくお願いいたします。

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