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国鉄末期の近郊型車両211系 東海では最後の国鉄型に

2021年6月26日(土) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

活躍の場は東京圏から長野・高崎へ

国鉄末期からJR初期における新型近郊型電車として投入された211系ですが、国鉄分割民営化、VVVFインバータ制御などの新技術の実用化といった時代の節目に生まれたこともあり、製造は1000両未満で終了。新車投入は次世代の車両へとバトンタッチしています。

JR東日本では、従来車両を置き換える近郊型電車として、1994年にE217系の営業運転を開始。2000年にはE231系の近郊タイプが登場し、113系や115系の置き換えを進めていきました。

2004年から始まった東海道本線113系の置き換えに際しては、113系に組み込まれていた2階建てグリーン車を、211系に編入する方針が立てられました。113系からの編入で東海道本線のグリーン車を全て2階建て車とする一方、余剰となった平屋グリーン車を含むユニットを東北・高崎線へ転用し、両線でも上野駅発着の全列車でグリーン車を連結することとしたのです。

この113系の2階建てグリーン車であるサロ124形・サロ125形は、211系の2階建てグリーン車と同時期に製造された車両。ブレーキ装置のほか、一部車両で帯色パターンや台車が異なる以外は、211系の2階建てグリーン車と同じ設計でした。

それまで平屋グリーン車を組み込んでいた東海道本線の211系は、これを113系から捻出された2階建てグリーン車に交換。編成から抜かれた平屋・二階建て各1両のグリーン車ユニットと、113系捻出の残りの2階建てグリーン車ユニットは、半自動ドアスイッチ設置などの工事を受け、東北・高崎線用の211系へと組み込まれました。

東北・高崎線へ転用されたグリーン車
東北・高崎線へ転用されたグリーン車
211系グリーン車の組み替え
211系グリーン車の組み替え

また、このグリーン車組み込みの対象とならなかった東北・高崎線用211系は、E231系によって置き換えられました。この際捻出された編成は、房総地区へ転用されることに。従来の房総地区車両の「スカ色」とは異なる「房総色」をまとい、2006年から内房線や外房線、総武本線などの運用に投入されました。

房総地区へ投入された211系
房総地区へ投入された211系

ここまで東海道本線の東京口や東北・高崎線の上野口で活躍してきた211系ですが、上野東京ラインの開業を前に、E233系による置き換えが始まります。2011年には東海道線211系置き換え用のE233系がデビューし、同線の211系は2012年に運用を終了。東北・高崎線でも2012年にE233系の投入が始まり、2014年をもって両線の上野口における211系の運用は終了しました。加えて、房総地区へ転用されたグループも、京浜東北線からの209系の転用によって、2013年で運用を終了しています。

東海道本線や東北・高崎線、房総地区での運用を終了した211系は、長野地区へと転用されることとなりました。元東海道本線用車両は6両編成、元東北・高崎線、房総地区用車両は3両編成となり、帯色も「長野色」へ変更。2013年に運用を開始し、それまでの115系を順次置き換えていきました。

長野地区用の211系
長野地区用の211系

また、高崎地区においても、長野地区へ転用されない編成が、4両編成または3両編成へと組成を変更。2016年に改めて信越本線や上越線などでの運用を開始し、115系や107系の置き換えに活用されました。

主要路線からは撤退し、現在はローカル線での運用が主体となっているJR東日本の211系。デビューから35年が経過していますが、2021年6月現在では具体的な置き換え計画の発表はなく、今後もしばらくは各線での運用が続く見込みです。

JR東海が導入した独自仕様

国鉄時代には4両編成2本の投入で終了した東海エリアの211系ですが、JR東海発足後には、新番台の211系が大量投入されました。

JR東海によって投入された211系5000・6000番台は、国鉄・JR東日本の211系とは一部設計が変更された改良版となっていました。外観はほとんど同じですが、車内では乗務員室後ろの窓の拡大、座席の改良といった変更が加えられています。

静岡エリアの運用に就く、JR東海の211系
静岡エリアの運用に就く、JR東海の211系

同社では、1989年より新型の近郊型電車として311系を投入しましたが、こちらは転換クロスシートを装備した東海道本線の快速系用車両で、ロングシートの211系とは立ち位置が異なります。211系は、1990年最終製造の311系と並行して投入され、1991年にかけて242両が製造されました。

現在は東海道本線熱海~豊橋間、中央本線、関西本線などで運用されている211系ですが、かつては東海道本線名古屋地区でも運用されていました。また、2005年に開催された「愛・地球博」では、名古屋駅から愛知環状鉄道線に乗り入れて万博八草駅(当時)を結ぶシャトル列車「エキスポシャトル」にも充当され、現在も同線への直通列車で使用されています。

JR東海の各線で長年活躍してきた211系ですが、いよいよ置き換えが開始されます。代替となるのは、新型の一般型車両、315系。211系同様にロングシートの車両で、2021年度から2025年度にかけて352両が投入される予定。211系のほか、213系や311系を順次置き換えていきます。

国鉄時代に製造された最後のJR東海車両である211系。また、JR東海のオリジナル要素は含むものの、国鉄型車両である211系。315系の投入によって211系が置き換えられることで、JR東海から国鉄型車両は消滅することとなります。

JR東海最後の国鉄時代製造車両のうちの1本、211系K51編成
JR東海最後の国鉄時代製造車両のうちの1本、211系K51編成

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