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10月には23区でも運行開始、日本で導入が進む都市型BRT

2020年11月14日(土) 鉄道コムスタッフ 西中悠基

全国各地で導入が進む、バス高速輸送システム「BRT」。10月1日には、東京都初のBRT路線である「東京BRT」が、虎ノ門ヒルズ~晴海BRTターミナル間でのプレ運行を開始しました。

10月1日にプレ運行を開始した「東京BRT」
10月1日にプレ運行を開始した「東京BRT」

BRTは、従来のバスよりも定時性や輸送力の向上を図ったシステム。世界各国の都市部で導入が進められていますが、日本でもBRTを名乗る路線が増えつつあります。

10月1日にプレ運行を開始した東京BRT

東京都初のBRTである東京BRTは、「環二通り」を経由し、都心と臨海地区を結ぶ路線。10月1日の時点では「プレ運行(一次)」として、虎ノ門ヒルズ~晴海BRTターミナル間での運行となっていますが、東京オリンピック・パラリンピック終了後には「プレ運行(二次)」として、虎ノ門ヒルズ~東京テレポート間と新橋~勝どきBRT間、虎ノ門ヒルズ~豊洲市場前間の3系統を運行。2022年度以降に、選手村まちびらき後を走る系統を追加して本格運行に移行する予定です。さらに将来的には、銀座・東京駅方面や、東京港クルーズターミナル方面などへの延伸も計画されています。

本格運行時の東京BRT路線図
本格運行時の東京BRT路線図

従来の路線バス以上の速達性を謳うBRTでは、停留所の削減などで表定速度の向上を図ることが一般的です。東京BRTでも、プレ運行開始時点では停留所を虎ノ門ヒルズ、新橋、勝どきBRT、晴海BRTターミナルの4か所のみ設置。環二通りと平行する「晴海通り」を走る都営バスの都05系統では、新橋~晴海BRTターミナル間とほぼ同じ距離の数寄屋橋~晴海トリトンスクエア前間に8か所の停留所を設置しています。停留所の数が多いほど停車時間が多くなり、表定速度は低下するため、東京BRTではあえて数を絞り、速達運行を目指しています。

なお、停留所については、地域の生活拠点となるよう、上屋の設置や情報提供機能の整備など、「駅」としての機能・構造を持たせた設計とすることを目指しています。現時点では勝どきBRTと晴海BRTターミナルは暫定整備となっていますが、新橋停留所については、停留所名や東京BRTのロゴ、シンボルカラーであるレインボーを配した、本格的なのりばが整備されています。

プレ運行開始と同時に整備された新橋停留所
プレ運行開始と同時に整備された新橋停留所

車両は、一般的な路線バスと同じ単車と、連節バスの2種類。単車は、燃料電池バスのトヨタ「SORA」と、ディーゼルバスのいすゞ「エルガ」で、連節バスは、いすゞ「エルガデュオ」を採用しています。

国産初の連節バスである「エルガデュオ」
国産初の連節バスである「エルガデュオ」
燃料電池バス「SORA」も使用されています
燃料電池バス「SORA」も使用されています

料金は均一運賃で、大人220円、子ども110円。現在は前乗り・後降りとなっていますが、プレ運行開始後に後扉での運賃支払いをトライアルし、本格運行開始後は全扉での乗降を可能とする計画です。

1時間あたりの運行本数(片道)は、現在はピーク時6本、日中4本で、本格運行開始時はピーク時20本、日中12本とする計画。同じく1時間あたりの輸送力(片道)は、現在はピーク時で450人程度ですが、将来はピーク時で2000人程度となる見込みです。

なお、現在の東京BRTはプレ運行と称する通り、BRTとしてのインフラが十分に整っていません。たとえば、バスを優先して信号を制御する「PTPS」(公共車両優先システム)は、対応車両は一部のみに限られているといいます。走行する道路は一般道で、流れが悪い上に工事中の区間もあります。そのため、表定速度は路線バス並みだという時速11~15キロ程度。しかしながら、本格運行を開始した際には、LRTや新交通システム並の表定速度である時速20キロ以上で走ることを目標としています。

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