新京成14年ぶりの新型「80000形」 共同開発でも独自仕様さまざま

2019年12月9日(月) 

新京成電鉄は、新型車両「80000形」を報道陣に公開しました。2005年に導入したN800形以来、14年ぶりの新型車両となります。

新京成電鉄の新型車両「80000形」
新京成電鉄の新型車両「80000形」

80000形は、10月にデビューした京成電鉄の新型車両「3100形」と共同開発した車両です。新京成電鉄の「新技術を積極的に採用する」という伝統の継承や、車内空間の快適性向上といった「新たな価値の創造」をコンセプトとして開発されました。この共同開発により、開発費の削減などのメリットが生まれたといいます。

10月にデビューした京成電鉄の「3100形」。80000形との共同開発により生まれた形式です
10月にデビューした京成電鉄の「3100形」。80000形との共同開発により生まれた形式です

新京成電鉄は、京成3000形と同一設計のN800形を2005年に導入していますが、こちらは共同設計ではなく、京成電鉄が設計した3000形をカスタマイズした形式のため、新京成のカラーが薄い形式でした。一方、今回の80000形と3100形は、新京成電鉄と京成電鉄の双方が持つノウハウを活かすべく、それぞれの技術やアイデアを持ち寄り設計された車両となっています。

「ジェントルピンク」に彩られた車体

ピンク色のデザインが特徴的な80000形。新京成標準の「ジェントルピンク」を採用しています。車両上部にもラインを太く配置し、高架区間の走行時にもコーポレートカラーを視認できるようにしました。

「ジェントルピンク」を採用した外観。車両上部にも太いラインを配置しています
「ジェントルピンク」を採用した外観。車両上部にも太いラインを配置しています

一方で、車体そのものは、京成3100形と同じデザインです。質実さ、実用本位を基本としつつ、丸みを帯びた形状となっています。N800形や3000形と比較すると、角目となった急行灯・尾灯が目立ちますが、こちらは新京成電鉄の意見が反映されたそうです。

新京成電鉄の意見が反映されたという急行灯・尾灯
新京成電鉄の意見が反映されたという急行灯・尾灯

側面の行先表示器は、N800形の約2倍に拡大。視認性の向上を図っています。また、前面・側面ともに、駅ナンバリングの表示にも対応しています。12月1日の高架化とあわせて折り返し対応駅となった新鎌ヶ谷駅行きの表示にももちろん対応しています。

N800形の約2倍に拡大した側面行先表示器
N800形の約2倍に拡大した側面行先表示器

新たな価値を提供し、伝統も受け継ぐ車内

車内は、袖仕切りや車両間の扉に強化ガラスを採用。開放感を演出しています。

強化ガラスを採用し、開放感を演出した車内
強化ガラスを採用し、開放感を演出した車内

座席は、背もたれが高いハイバック式。座面も厚くなり、座り心地の向上を図っています。なお、京成3100形が導入した折りたたみ式の荷物置き場は、80000形では採用していません。

ハイバック式を採用した座席
ハイバック式を採用した座席

車内案内表示器は、17インチサイズのものを採用。新京成電鉄では初めての大型LCDによる車内案内表示器で、2つの画面で4か国語による案内が可能です。また、一部の案内表示器横には防犯カメラを設置しています。

17インチサイズの車内案内表示器。新京成電鉄初の大型LCDです
17インチサイズの車内案内表示器。新京成電鉄初の大型LCDです

先頭車の車いすスペースに加え、各中間車にはフリースペースを新たに設置。バリアフリーに配慮しています。

中間車に設置したフリースペース
中間車に設置したフリースペース

空調系では、暖房を2系統とし、きめ細やかな温度設定や能力向上を実現。天井には、新京成電鉄初採用となるプラズマクラスターイオン発生装置を、1両あたり4台設置しています。

なお、ドアの横には、新京成伝統の鏡が設置されています。ちなみにこの鏡、80000形のコンセプトにある「伝統」のひとつでありますが、新京成電鉄の担当者曰く「あって当然のもの」なのだとか。

新京成伝統の鏡
新京成伝統の鏡

新京成の「伝統」が光る新技術の機器類

制御装置は、8800形リニューアル車に続き、三菱電機製のフルSiC素子適用VVVFインバータを採用。1基で主電動機4台を制御するVVVFインバータ制御装置を2群ずつ搭載する、1C4M2群制御となっています。主電動機(モーター)の定格出力は155キロワット。全閉式三相かご型誘導電動機を作用し、騒音低減や省メンテナンス化を図っています。

三菱電機製のフルSiC素子適用VVVFインバータ制御装置「MAP-168-15V331」
三菱電機製のフルSiC素子適用VVVFインバータ制御装置「MAP-168-15V331」

なお、京成3100形の制御装置や主電動機は、東洋電機製造製のものです。両形式で製造メーカーが異なる理由について、新京成電鉄の担当者は、「グループ内で供給先を2社とすることで、両社での競争原理が働くためコストを抑制できる。またラインも確保しやすくなり、納期の長期化も抑制できる」と説明しました。

空気圧縮装置(コンプレッサー)は、オイルフリータイプのスクロール式を採用。両先頭車に設置しています。補助電源装置(SIV)は、3号車と4号車に設置。3レベルIGBT静止型インバータで、低騒音化や省エネルギー化を図っています。

3レベルIGBT静止型インバータの補助電源装置。京成3100形と同等品です
3レベルIGBT静止型インバータの補助電源装置。京成3100形と同等品です

運転台は、全体的な配置はN800形に近いものの、マスコンハンドルのノッチ段が、ブレーキ5段から7段に。8900形や8800形と同様の段数へと回帰した形となりました。なお、力行段はN800形と同じ5段です。

80000形の乗務員室
80000形の乗務員室
3100形と同一設計ですが、機器配置に細かな違いがあります。右下には京成線直通用の切り替えスイッチが
3100形と同一設計ですが、機器配置に細かな違いがあります。右下には京成線直通用の切り替えスイッチが

また、8900形更新車のものをベースとしたタッチパネル式モニタ装置を採用。行先表示器や放送装置を自動で制御できるようになっています。このモニタ装置は京成3100形にも導入されているものと同一品。新京成電鉄のモニタ装置を、京成電鉄が採用したこととなります。なお、放送装置については、曲線の多い新京成線の条件を考慮し、騒音に追従して音量を調整できるものを搭載しています。

乗務員室には、京成線乗り入れ時に使用する切り替えスイッチがありますが、今回導入した80011編成は、京成電鉄への乗り入れには現時点では対応していないといいます。

80000形は、12月27日に営業運転を開始する予定。先述の通り京成線への直通には対応していないため、当初は松戸~京成津田沼間の新京成線内のみでの運用となります。新京成電鉄の担当者によると、将来的な京成線への直通は検討はしているものの、詳細な時期は不明とのことでした。また、80000形の導入により、8000形や8800形は今後順次置き換えられることになるといいます。

80000形の導入により、8000形や8800形は今後置き換えられることとなります
80000形の導入により、8000形や8800形は今後置き換えられることとなります

※12月9日18時50分追記:記事発出時より、一部記述を修正いたしました。

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