リニアで変わる、令和時代の鉄道未来年表

2019年5月6日(祝) シバタススム

平成から令和へ、新しい時代の到来に鉄道はどうなっていくのでしょうか? 令和では、昭和と平成で続けられてきた在来線の長距離新線の建設はほぼ無くなり、長距離鉄道路線の新設は北海道、北陸、九州新幹線の延伸のみとなっています。令和時代の鉄道は、人々の生活の変化に合わせて新駅の開業や従来区間の延伸、鉄道資産を活用した再構築、リニューアルなどを行う成熟期に入っていきます。しかしこれはレールを使用する厳密な意味での「鉄道」に限ったことです。令和時代の最大のトピックはJR東海が令和9年(2027年)に開業を予定している「リニア中央新幹線」といえるでしょう。世界最高速を誇る日本のリニア技術を活かした長距離路線の実用化は、まさに日本と世界で人々の暮らしに大きな変化をもたらす出来事です。日本の鉄道にどんな未来が訪れるのか、現時点で予定されている主なものを見ていきましょう。

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令和1年(2019年)「相鉄・JR直通線」開業

今年最大の出来事といえば、関東では11月30日に予定されている、「相鉄・JR直通線」の開業です。これは、相模鉄道(相鉄)西谷駅とJR東海道貨物線を接続し、相鉄からJR新宿駅まで直通列車を運行するルートとなります。従来、相鉄線から東京都心へ行こうとすると、横浜駅でJR東海道線などに乗り換えるか、小田急電鉄と接続する大和駅、海老名駅などにまわるかの選択肢がありました。しかし、この新線の直通列車を使うことで、例えば相鉄線二俣川~新宿間は、横浜駅経由で59分掛かってたところが、乗り換え無しの44分で到着します。また、この直通列車は横須賀線の武蔵小杉駅を経由するため、ここで降りて同じホームで横須賀線の列車を待てば、東京駅はもちろん、将来のリニア始発駅となる品川駅へも簡単にアクセス可能となります。

このほか関西では、既に3月16日から営業を始めている「おおさか東線」の新大阪~放出間の開業です。既に開業しているため詳しい解説は割愛しますが、どちらも従来からある貨物線を旅客用に転用することで、住宅地域から主要駅への直通列車を運行し所要時間を短縮させる「鉄道資産の再構築」といえるでしょう。

令和2年(2020年)「高輪ゲートウェイ駅」開業

五輪イヤーの令和2年は、春にJR東日本の「高輪ゲートウェイ駅」が山手線・京浜東北線の田町~品川間に開業します。開業当初の駅前は、五輪の中継などを行うイベント会場になるようですが、令和6年(2024年)には品川駅をも一体化したこの地域に新しい街を作る大規模なプロジェクトが予定されています。これも品川駅を起点とするリニアと、来たるリニア時代の布石といってよいかもしれません。

また東京メトロ日比谷線の「虎ノ門ヒルズ駅」も五輪開催前に暫定開業が予定されています。

令和4年(2022年)「九州新幹線(長崎ルート)」 武雄温泉~長崎間 開業(年度内)

令和4年には、まず「宇都宮ライトレール」の開業が予定されています。「富山ライトレール」がJRの「富山港線」の大部分を継承して再利用したものに対して、宇都宮のライトレールは、新線をフルに建設するという、平成にはなかった新しい試みです。先行して開業する「JR宇都宮駅東口」~「本田技研北門」間(いずれも仮称)は全長14.6キロ、停留場数は全部で19という本格的なものです。宇都宮市は駅の東側に工業団地や宅地が広がっており、朝夕は慢性的な交通渋滞が発生しています。これを低減し時刻表どおりに運行できる交通機関が必要とされています。宇都宮ライトレールは専用の軌道を使用する部分があるため、道路の交通渋滞の影響を受けにくいという特性があります。この宇都宮ライトレールが成功するか否かで、日本の中核市における交通整備の在り方が変わってくるでしょう。

次に同年下期には、令和1年に開業する「相鉄・JR直通線」の羽沢横浜国大駅から分岐して、東急電鉄東横線・目黒線の日吉駅まで接続する新線が予定されています。これにより、相鉄線から東横線の渋谷駅方面、目黒線の目黒駅方面への乗り入れが行われるようです。途中に東海道新幹線、横浜線の新横浜駅と接続する駅が新設されるため、相鉄線の沿線の人はもちろん、日吉駅以北などの東急沿線の人にとっても新幹線へのアクセスが向上するというメリットがあります。

そして、博多~長崎間を結ぶ予定の通称「長崎新幹線」のうち、武雄温泉~長崎間約66キロが先行開業します。途中の博多~新鳥栖間は、既存の九州新幹線の線路を共用します。ただ、新鳥栖~武雄温泉間約51キロに関しては、沿線である佐賀県との調整が難航しており、未だにどのような形で開業するのか決まっていません。仮に従来の新幹線と同じ規格(フル規格)で整備されれば、新大阪駅から長崎駅へ直通で行けるようになるかも知れません。

最後に、福岡市営地下鉄七隈線が延伸します。福岡市の中心から西南部へアクセスする七隈線は、九州の1大ターミナルである博多駅にはアクセスしておらず、七隈線の利便性は十分とは言えませんでした。この年、天神南~博多間1.4キロが延伸開業することで、博多駅との接続が果たされ、新幹線や在来線のほか、地下鉄空港線などへの乗り換えがより便利になります。

令和5年(2023年)「北陸新幹線」金沢~敦賀間 延伸開業

平成27年(2015年)に長野~金沢間が延伸され、東京駅から金沢駅まで運行されている北陸新幹線。令和5年に、金沢駅から西へ延伸し、福井駅などを経て敦賀駅まで延びます。福井駅、敦賀駅の利用者は、在来線特急を米原駅まで乗り、東海道新幹線に乗り換えて東京駅まで行っていたところ、乗り換え無しの直通で行けるようになります。所要時間は、福井~東京間で3時間25分掛かっていたところが2時間53分となり、約30分短縮されます。

令和6年(2024年)「大阪メトロ中央線」コスモスクエア~夢洲間 延伸開業(年度内)

ネモフィラ畑が有名で年間200万人が来園する「国営ひたち海浜公園」は鉄道の最寄り駅がありません。そこでJR勝田駅から阿字ヶ浦駅まで結ぶひたちなか海浜鉄道湊線を公園の西口付近まで約3.1キロ延伸して最寄り駅を作ろうというプロジェクトがあり、同年の開業を予定しています。「ひたちなか海浜鉄道」は一時期、廃線がささやかれたローカル線ですが、見事に黒字転換を果たし、延伸まで計画されているのというのは、現状の赤字であえぐ日本のローカル線にとって明るいニュースといえるでしょう。

2025年に開催が決定した2回目の「大阪万博」が大阪湾に浮かぶ人工島「夢洲」で開催されます。このアクセスのために大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)中央線を延伸させる計画です。夢洲は万博開催後にカジノを含む統合型リゾート(IR)を誘致する場所としても注目を浴びています。  

令和7年(2025年)「広島電鉄駅前大橋線」駅前大橋ルート及び循環ルートの整備

広島の市電の改良計画です。猿猴橋町停留場を経由する路線をなくし、う回する形で市の中心地へ向かう現行のルートから、「駅前通り」に新線を作ることで、中心地への短縮ルートを設け、所要時間の短縮を図る計画です。また同時に本線と皆実線を繋いだ循環ルートも新設される予定です。なお、これに併せて広島駅は大規模な建て替え工事が予定されており、新幹線、在来線から路面電車への乗り換えルートが、バリアフリー化するようです。このように従来からある市電を活用して新線を作るという計画は、愛媛県の伊予鉄道松山市内線でもあります。この市内線を海側へ延伸して松山空港と接続し、市内と空港とのアクセスを向上させるという計画です。

令和9年(2027年)「リニア中央新幹線」品川~名古屋間 開業

令和時代に間違えなく変化をもたらすのがこの「リニア中央新幹線」です。営業運転速度は時速500キロ、約40分で品川~名古屋間が結ばれます。神奈川県、山梨県、長野県、岐阜県にもそれぞれ駅ができるため、東京~名古屋間もさることながら、これらの県から東京や名古屋へアクセスする所要時間も大幅に短縮されます。運賃は現在の新幹線より1000円前後上がる程度と言われているため、東海道新幹線の代替ルートとして利用できるのもメリットです。乗り換えが面倒になりますが、東海道新幹線の名古屋~新大阪間の所要時間が約50分ですので、品川~新大阪間でトータルで90分、乗り換えを考えても実質100分程度と、大幅に所要時間が短縮できます。

令和10年(2028年)「羽田空港アクセス線」新宿/東京/千葉~羽田空港 開業(時期未定)

明確に開業時期は定まっていませんが、都心から羽田空港へアクセスする鉄道路線が3つ整備されます。

1つ目の「東山手ルート」は、上野東京ラインを田町駅付近から分岐させ、国鉄時代に貨物線として作られた「大汐線」を経由し、東京貨物ターミナルから羽田空港まで新線を作って結ぶものです。これが実現すれば東京駅はもちろん、宇都宮、高崎、常磐の各線方面から羽田空港まで乗り換えなしでアクセスできる路線が誕生します。

2つ目の「西山手ルート」は、大崎駅から出ているりんかい線の品川シーサイド駅付近から分岐し、東京貨物ターミナルまで新しい地下新線を作るルートです。東京貨物ターミナル~羽田空港間は「東山手ルート」と共用です。こちらは、湘南新宿ラインや埼京線の列車が乗り入れることができるため、新宿や埼玉方面から羽田空港へ乗り換えなしで到着できます。

3つ目の「臨海部ルート」は東京貨物ターミナルの近隣にあるりんかい線の八潮車両基地へ通じるルートを改良して、りんかい線の新木場方面から羽田空港へアクセスできるルートです。りんかい線の新木場駅とJR東日本の京葉線は直通運転できる設備があるため、羽田空港と東京ビッグサイト、幕張メッセと日本有数の展示場を1本で結ぶことができる路線が誕生します。

令和13年(2031年)「北海道新幹線」新函館北斗~札幌間 開業

東北新幹線と接続され新函館北斗駅まで開業している北海道新幹線のメイン区間となる新函館北斗~札幌間が開業します。これで東京~札幌間が直通で結ばれる見込みです。ただ所要時間が5~6時間前後掛かるため、航空機の羽田~新千歳間の所要時間(1時間30分)と比べると、競争力が弱いのが課題です。これをいかに短縮できるか、東北新幹線のスピードアップに向けた技術開発が進められています。

このほか、「なにわ筋線」が開業します。大阪駅の北部地区の地下に建設中の北梅田駅(仮称)からJRの難波駅、南海鉄道の新今宮駅を結ぶ予定の新線です。路線の途中で分岐してそれぞれの駅に乗り入れます。大阪の中心部から関西国際空港へのアクセス改善が目的です。

令和19年(2037年)「リニア中央新幹線」名古屋~大阪間 延伸

リニア中央新幹線が、名古屋駅から大阪まで延伸され、約67分で東京と大阪が結ばれます。ただ、どのルートを通るかはまだ検討中です。飛行機で羽田空港~伊丹空港の所要時間が約65分前後なので、なんと所要時間が航空機と新幹線で肩を並べます。さらに羽田空港と伊丹空港がそれぞれ都心の中心部から離れており、飛行機は搭乗手続きに時間の余裕を持って行うことを考えると、トータルの所要時間と「乗りやすさ」という利便性でリニアの方が遙かに有利になります。

この他にも首都圏では、有楽町線の豊洲~住吉間の延伸や銀座から臨海部へアクセスする地下鉄なども計画されています。関西圏では、北大阪急行線や大阪モノレールの延伸なども予定されています。また「富山ライトレール」と「富山地方鉄道」の路線接続や、岡山市電の駅移設など、地方の路面電車の路線を再構築して利便性をより高めていこうという動きもあります。リニアに関しては具体的な路線計画は品川~大阪間以外にはないものの、今後路線の新設や車両の技術が安定してコストダウンが進めば、東北・北海道や九州方面などへの新路線の可能性も出てくるでしょう。拡大から成熟へ入った令和時代の鉄道、それがどう洗練されていくのか楽しみですね。

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